監修: 葛野 宗 獣医師
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犬のキシリトール中毒とは
キシリトールが含まれる食材による中毒です。
キシリトールは糖の一種であり、ブドウ糖のようにエネルギー源として効率よく利用できない特徴を持ちます。この特徴を利用した虫歯菌の抑制などを目的としてキシリトールはさまざまな食品に利用されており、犬用のおかしなどにも含有されている場合があります。
キシリトールは過剰摂取により犬の糖の利用や肝臓機能に障害を引き起こすことがあります。犬用のおやつを常識的な範囲で与えている場合に中毒が引き起こされる可能性は低いと考えられますが、犬に与えることを考慮されていない食材や多量の誤食などでは中毒がおきる可能性はあります。
犬のキシリトール中毒の症状とは
低血糖や肝不全の症状がみられます。
嘔吐や虚脱、意識の消失、運動失調や発作などの低血糖症状、粘膜色が黄色になる黄疸や皮下の出血、血下痢や黒色便などの肝障害による症状などがみられる可能性があります。
低血糖は命の維持に必要な糖が不足している状態であり、できるだけ早くの動物病院への受診が必要です。
犬のキシリトール中毒の原因とは
キシリトールが原因になります。
キシリトールはブドウ糖などの体内の利用が容易な糖ではありません。キシリトールの大量摂取は体内の糖分の不足である低血糖を引き起こすことがあります。
キシリトールによる肝障害は機序が明らかにされていませんが、前述した糖の利用障害が引き金になっている可能性があります。
犬のキシリトール中毒の好発品種について
全犬種で好発します。
どのような犬でもみられる疾患です。
犬のキシリトール中毒の予防方法について
誤食の予防を徹底します。
キシリトールが含まれている食材の誤食や、犬用のおやつの過度な多給や盗み食いを予防する必要があります。
犬のキシリトール中毒の治療方法について
低血糖の治療などをおこないます。
ブドウ糖の静脈投与などの低血糖に対する治療や、催吐処理や吸着などの誤食物の除去をおこないます。