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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫のフィラリア症とは

犬糸条虫が猫に感染して起こります。

フィラリア(犬糸状虫)という白い細長い寄生虫が、血管や心臓の中に寄生することによって様々な症状を起こす病気です。
一般的には犬の病気として認識されていますが、フィラリアは猫やヒトにも寄生することがあります。

猫では犬ほど一般的な病気ではありませんが、発症すると呼吸器症状や心不全症状、時には突然死を起こすこともある要注意の病気です。

暑い時期に蚊が媒介して感染するため、どんな猫でも感染リスクはあるといえます。
正しい知識を付け、フィラリアから猫を守ってあげましょう。

猫のフィラリア症の症状とは

無症状~呼吸器症状など症状の出方は様々です。

フィラリアに感染しても、無症状のままで過ごす猫はたくさんいます。

時期によって多少異なりますが、症状として見られるものには以下のようなものがあります。

・喘息のような咳
・呼吸が苦しい
・運動をするとすぐに疲れる
・嘔吐
・食欲不振
・疲れやすい
・寝てばかりいる
・腹水が溜まる
・呼吸困難
・ショック症状
・失神
・突然死

フィラリアは感染時には幼虫の状態で体に侵入します。
この幼虫が成長しながら血流に乗り、肺の血管に到達すると、免疫反応によって急性の炎症が起こり、喘息やアレルギー性気管支炎に似た呼吸器症状を示します。

猫の体の中では犬のように多数の幼虫が成虫まで成長することはなく、幼虫の大部分は成長段階で死んでしまいます。
成虫まで生き延びたとしても大体1~2匹、多くても5匹を超えることはあまりありません。

成虫になると、肺動脈や右心室など、比較的スペースの広い血管腔内に寄生するようになります。

猫は成虫が寄生していても無症状のことが多いのですが、中には血液の流れを成虫が邪魔することにより、心臓に負担がかかることもあります。
その症状として、呼吸困難や咳、腹水・胸水、疲れやすい、失神といった症状や、慢性的な全身状態の悪化から食欲不振や体重減少などが起こります。
ただし、犬のフィラリア症で見られるほど、一般的な症状ではありません。

成虫は犬では5~7年生存しますが、猫の体内では成虫の寿命はやや短く2~4年です。
寄生する成虫が少ないため、オスまたはメスのどちらかしかいないことが多く、たくさんの子虫(ミクロフィラリア)を産むということも少ないようです。

中には突然死する場合もあります。

無症状のまま、成虫が寿命を迎えて自然治癒する例もありますが、死んだ虫体が血流に流されて細い血管に流れ込んだり、死んだ虫体に対して免疫反応が強く起こることで血管が詰まってしまう(梗塞する)こともあります。
梗塞した血管の部位によっては、急性の呼吸困難やショック状態、神経症状などを示し、運が悪ければ突然死してしまうこともあります。

猫のフィラリア症の原因とは

蚊が媒介してフィラリアの幼虫が体に入ることで起こります。

フィラリアの感染は蚊が媒介しておこります。

フィラリアに感染した動物の血液内には、成虫が生んだ子虫(ミクロフィラリア)がたくさんいます。
その血を吸血した蚊の体内にミクロフィラリアが入ると、蚊の体内で脱皮を繰り返して幼虫に成長します。
その状態の蚊が猫を吸血すると、蚊の唾液腺から猫の体に成長した幼虫が侵入し、感染が成立します。

幼虫は猫の体内で数カ月かけて成長しながら血管内に移動し、成虫になると、心臓の肺動脈や右心室という部分に寄生します。

犬に比べて猫の感染例が少ないのは、猫の体内ではフィラリアがうまく成長できないことが多いためと考えられています。

猫のフィラリア症の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。

猫のフィラリア症の予防方法について

蚊に刺されないように気を付けることが予防になります。

この病気は蚊が媒介する病気なので、蚊に刺されないように心がけることで、感染の機会を減らすことができます。
外に出ないようにすれば、蚊に刺される頻度は減らせます。

しかし、実際には家の中にいても刺されてしまうことがあるので、100%の予防はできません。

フィラリア予防薬を投与することで予防できます。

犬では一般的な方法ですが、体に侵入した幼虫が成虫になる前に殺してしまうことで、フィラリア症の発生を予防できます。

フィラリア予防薬は幼虫を死滅させる効果はありますが、ある程度の段階を過ぎて成長した幼虫や成虫には効果がありません。
そのため、蚊が出るシーズンに一度だけ使用するのではなく、毎月繰り返しお薬を投与することで、体に入ったフィラリアの幼虫を成長する前に退治する必要があります。

予防薬としては、ノミ・ダニに加えてフィラリア予防も含まれたスポットタイプのお薬があります。
背中に垂らすだけの負担の少ないお薬なので、欠かさずつけて予防してあげましょう。

初めて予防薬を使用する際や、フィラリア症を疑うような症状が出ている猫の場合は、使用に注意が必要です。
必ず病院を受診してから使用するようにしましょう。

猫のフィラリア症の治療方法について

無症状の場合は経過観察します。

成虫が心臓にいても無症状の場合は、経過観察をしながら成虫が寿命を迎えて死滅するのを待ちます。
成虫が死んだことは、抗原検査で確認できるので、半年おきに検査を受けながら経過を観察していきます。

呼吸器症状がある場合には対症療法を行います。

急性期の呼吸器症状がある場合には対症療法を行います。
炎症を抑えるためにステロイド剤や気管支拡張剤などで咳を軽減し、重度の場合には一時的に酸素吸入などを行います。

成虫の駆除はあまり行いません。

成虫を駆虫剤で殺す治療は、成虫の寿命が比較的短く、死んだ虫体によって血管が詰まったり、免疫反応が過剰に起こってアナフィラキシーショックを起こす可能性があるため、あまり積極的には行いません。
成虫を薬剤で駆除したからといって、猫自身の寿命が延びるということにもならないようです。

しかし、あまりにも重篤な症状が出ている場合には、吊り出し術といって、首の血管から専用のカテーテルを入れて、大静脈や心臓(右心房)に移動した成虫を取り出すという手術をすることもあります。
この方法は犬に比べて体の小さい猫ではあまり行われることはなく、実際に行っている獣医師もあまりいません。
さらに、元々全身状態が悪い中で行うハイリスクな手術なので、治療後に死亡してしまう場合もあります。

多くの場合は成虫が寿命を迎え、自然に死滅するのを待ちます。

肺や心臓のダメージをケアする治療を行います。

フィラリアがいることによって心臓や肺に負担がかかった結果、肺や心臓にダメージが残ってしまう場合もあります。
その場合には、負担を軽減するために血管を拡張させるお薬や、気管を拡張させるお薬を継続して投与し、症状を緩和してあげる治療を行います。

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