猫の卵巣嚢腫とは
卵巣に嚢胞ができ、発情が持続した状態になります。
卵巣嚢腫とは卵巣の中に液体が溜まった袋状の膨らみができた状態です。
卵巣嚢腫には「卵胞嚢腫」と「黄体嚢腫」がありますが、猫は交尾排卵動物で、交尾刺激がないと排卵して黄体が形成されないため、黄体嚢腫はほとんどできません。
卵巣嚢腫の多くは卵胞嚢腫となります。
猫は季節性繁殖動物で、春になり日照時間が長くなると発情が誘発され、日照時間が短くなると発情期が終わります。
多くは年に2~3回発情期を迎え、日本では1~8月が繁殖の時期に当たり、中でも春(2~4月)と夏(6~8月)がピークとなります。
発情はメス猫に起こり、オス猫はその鳴き声やフェロモンに反応して発情が誘発されます。
妊娠すると発情兆候は収まりますが、妊娠しなくても通常は2週間ほどで発情が収まり、発情休止期(1~2週間ほど)を挟んで再び発情が始まります。
卵巣嚢腫ができると、発情の休止期や繁殖期ではない冬期間にも発情が持続する様子が見られます。
猫の卵巣嚢腫の症状とは
発情が1か月以上持続します。
卵巣からは発情に関わる女性ホルモン(エストロジェン)が放出されています。
発情期にはエストロジェンの効果によって以下のように発情の兆候が見られますが、卵巣嚢腫ではそれが収まらずに長期にわたって継続します。
・足ふみ行動
・独特な大きな鳴き声
・人にすり寄ってくる行動
・しつこく甘える
・床でくねくねと体を擦り付ける
・お尻を高く持ち上げた姿勢をとる
・オスの様にスプレー状におしっこをまく
・食欲が低下する
このような様子は通常は発情期間中持続します。
猫の発情期は「発情前期」→「発情期」→「発情後期」→「発情休止期」というサイクルで繰り返され、上記のような発情行動は1~2週間ほどで一旦落ち着くのが普通です。
しかし卵巣嚢腫(主に卵胞嚢腫)ができていると、発情兆候に途切れがなく、1か月を過ぎても発情が持続した状態になります。
重篤な症状が出ることはありませんが、発情の持続により食欲が低下し、痩せてしまうこともあります。
猫の卵巣嚢腫の原因とは
卵巣の細胞が過剰に増殖して起こります。
何回か発情を経験した猫では、卵巣の細胞が過剰に増殖して水疱状の卵胞や充実性の膨らみを作ることがあります。
これが卵巣嚢腫で、腫瘍とは異なり過形成と呼ばれます。
持続性の発情兆候は排卵しないまま卵胞が成長し続けることによって起こります。
卵胞嚢腫からエストロジェンが分泌されるため発情兆候が見られますが、中にはエストロジェンを分泌しない卵胞嚢腫もあり、その場合は発情兆候は見られません。
猫の卵巣嚢腫の好発品種について
全猫種で好発します。
好発品種は特になく、避妊手術を行っていない雌猫ではどんな猫でも起こる可能性があります。
猫の卵巣嚢腫の予防方法について
避妊手術で予防できます。
避妊手術(子宮卵巣摘出術)を行っていれば卵巣嚢腫が形成されることはありません。
猫の卵巣嚢腫の治療方法について
根本的には子宮卵巣摘出術を行います。
卵巣嚢腫の治療の第一選択は子宮卵巣摘出術です。
将来的に繁殖を望まないのであれば、他の病気(子宮蓄膿症や乳腺腫瘍)の予防の観点からも子宮卵巣摘出術を行うことをお勧めします。
手術を選択できない場合には排卵誘起処置を行います。
繁殖を希望する場合や手術を実施できない事情がある場合には、注射でホルモン剤を投与することで排卵を促す処置を実施します。
しかしこの処置はうまくいかない場合もあり、特に卵胞が大きい場合などは成功率が低いようです。
また、うまく排卵が誘起され発情が収まった場合でも、次の発情で再発する確率が高いとされています。