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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の胆嚢炎とは

胆嚢に炎症が起こった状態です。

胆嚢炎とは胆嚢に起こった炎症性疾患の総称で、急性胆嚢炎、慢性胆嚢炎、気腫性胆嚢炎、壊死性胆嚢炎などに分類されます。

猫では胆管炎や肝外胆管閉塞、膵炎、腸炎、消化器型リンパ腫などといった他の疾患に併発することが多い疾患です。
中でも小腸に存在する細菌が胆管を上行して胆嚢に感染を起こし胆嚢炎となるものが多く、胆汁の培養検査では腸内細菌が高率に分離されます。

ガスを産生する細菌の感染によっておこる気腫性胆嚢炎や壊死性胆嚢炎は重症化することが多く、胆嚢破裂や腹膜炎、エンドトキシン血症、ショックなどに発展することがあり、発見・治療が遅れると命に関わります。

猫の胆嚢炎の症状とは

病態によって症状は無症状から重症まで様々です。

胆嚢炎の症状は病態によって異なり、慢性胆嚢炎の場合はあまり症状がはっきりと現れないこともあります。
見られる症状としては以下のような症状があります。

・食欲不振
・元気がない
・嘔吐
・下痢
・黄疸
・腹痛
・発熱

胆管炎や膵炎を併発している場合には黄疸が認められることが多く、症状もより重いものとなります。

猫の胆嚢炎の原因とは

細菌感染によっておこります。

猫の胆嚢炎の多くは小腸から細菌が上行性に感染することによっておこります。
胆汁は肝臓で作られ、胆嚢に一時的に蓄えられて濃縮されたのち、胆嚢管、総胆管を通って十二指腸に分泌されます。
途中、膵臓から膵液を分泌する膵管も合流して十二指腸につながります。

膵炎や腸炎、そのほかの消化器疾患によって嘔吐や下痢が起こると、十二指腸から総胆管に逆流が生じることがあり、その際に小腸内の細菌が上行性に感染を起こしたり炎症が波及することで胆嚢炎を起こしてしまいます。

胆汁や胆嚢自体の問題によっておこります。

胆嚢内に胆石ができて胆嚢粘膜に炎症や壊死を起こしたり、胆汁がドロドロになりすぎて細い胆嚢管や総胆管内での流れが悪くなりうっ滞することで起こることがあります。
猫ではあまり多くありませんが、胆嚢内に胆汁がうっ滞し、ゼリー状に固まってしまう胆嚢粘液嚢腫が起こっていることもあります。

腫瘍や膵炎などに併発します。

胆汁の排泄経路が腫瘍の形成などによって圧迫されて閉塞したり、膵炎や腸炎などの炎症性疾患によって狭窄・閉塞すると、胆汁がうっ滞した状態になり、胆嚢炎に発展することがあります。

猫の胆嚢炎の好発品種について

好発する品種はありません。

品種による好発傾向は特にありません。

猫の胆嚢炎の予防方法について

消化器症状が見られたら早めに対処しましょう。

嘔吐や下痢などの消化器症状がある場合はできるだけ早く病院を受診し、検査や治療を受けるようにしましょう。
一過性の急性症状であっても、膵炎や胆嚢炎を惹起してしまうことがあり、そうなると症状が重度となり治療にも時間がかかるようになります。

高脂血症に気を付けましょう。

高脂血症の動物では胆汁がドロドロになりやすい傾向があります。
体質的に高脂血症を起こしやすいケースもありますが、食事管理も重要です。
ヒトの食べ物は猫にとっては塩分・糖分・脂質などが過剰になりやすいため与えないようにしましょう。

血液検査で高脂血症が指摘されている場合には脂質対策用のフードに切り替えたり、高脂血症を改善する治療を行う必要があるかどうか、かかりつけの先生とよく相談しましょう。

猫の胆嚢炎の治療方法について

内科治療を行います。

胆嚢炎の際には細菌感染を伴っていることが多いため、胆汁の培養検査の結果に基づいて抗菌薬を選択し投与します。
また、経口投与が可能な状態であれば肝臓の保護剤なども併用します。

重症例では嘔吐や腹痛などの症状を伴い食事が困難となることもあるため、その場合には入院下で静脈点滴を行い、注射で抗菌薬や吐気止め・鎮痛剤を投与します。

膵炎や消化器型のリンパ腫などに伴って胆嚢炎を発症している場合にはステロイド剤が有効です。
リンパ腫などの腫瘍の場合は必要に応じて抗がん剤治療を検討します。

長期間の食欲不振が続くと猫は肝リピドーシスという状態に陥り、より状態が悪化して命に関わることがあるため、吐き気を治療しながら少量ずつ食事を摂取させるケアも重要になります。

また重度の肝障害を起こしたり食事が長期間摂取できないでいると、ビタミンKの欠乏から血液の凝固系に異常が生じ出血傾向がみられることがあり、その場合はビタミンKを投与して治療します。

外科治療が必要な場合もあります。

内科治療だけでは治療効果が期待できない場合や、すでに胆嚢破裂や腹膜炎を起こしている場合には外科治療によって胆嚢切除や肝外胆管閉塞の解除、腹腔内の洗浄が必要となります。

重度の腹膜炎や敗血症を起こしている場合には、周術期に命を落としてしまう確率も高いため、術前・術後は特に集中的な治療が必要になります。

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