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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の胆石症とは

胆嚢内に結石が存在する状態です。

胆石とは胆汁中の成分が凝縮して形成された結石です。
ヒトの胆石ではコレステロール結石が多いのですが、犬猫ではビリルビンカルシウムなどの色素成分の胆石が多いとされています。

胆石は胆嚢内で形成されますが無症状のことも多く、レントゲン検査や超音波検査で偶発的に発見されるケースも少なくありません。
このような場合は必ずしも外科治療が必要ではなく、経過観察することもあります。

しかし胆石が存在することによって胆嚢炎を起こしたり、胆石が細い胆管や総胆管で閉塞を起こすと胆汁が肝臓に逆流して重度の肝障害を起こし、急性の消化器症状や黄疸を発症することがあります。
さらに、胆嚢破裂を起こすと重度の腹膜炎から命に関わる状態に陥ってしまいます。

そのため、胆嚢炎や胆石の閉塞が起こった場合には状況に応じて外科手術が必要になりますが、全身状態が非常に悪化している場合には周術期に命を落としてしまうケースも少なくなく、慎重かつ迅速に治療を進める必要があります。

猫の胆石症の症状とは

消化器症状や黄疸、腹痛が認められます。

胆石が形成されても、全く無症状の場合もあります。
しかし、胆石によって胆嚢炎や胆管閉塞が起こると、以下のような症状を示します。

・食欲不振
・元気がない
・嘔吐
・下痢
・腹痛
・発熱
・黄疸

これらの症状は膵炎や胆管肝炎など、他の消化器疾患でも認められる症状のため、その鑑別が重要になります。

診断は血液検査やレントゲン検査、超音波検査の他、胆嚢に針を刺して胆汁を採取し菌の培養を行う検査などに基づいて行われます。
胆石に細菌感染が起こり胆嚢炎に発展した場合は、抗菌薬の投与中には症状が改善し、投薬をやめると症状が再発することが特徴です。

猫の胆石症の原因とは

胆汁がうっ滞することによって結石ができます。

胆石は胆汁の流れが滞ることによって胆汁の成分が変化して結石状になることで形成されます。
コレステロールや中性脂肪などの脂質代謝異常があると起こりやすい傾向があります。

胆道閉塞や胆石に細菌感染が起こることで発症します。

胆石が存在するだけでは症状を示さないこともありますが、胆石が胆汁の排泄経路(総胆管など)で閉塞を起こしたり、胆石に腸内細菌が上行性に感染を起こすと再発性の胆嚢炎などに発展して消化器症状や黄疸などを示します。

猫の胆石症の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

アビシニアンには遺伝性疾患であるピルビン酸キナーゼ欠損症による溶血性貧血が起こることがあり、その疾患と関連して胆石症が認められることがあります。
アビシニアンの系統であるソマリも同様です。

猫の胆石症の予防方法について

高脂血症に気を付けましょう。

高脂血症の動物では胆石症や胆泥症のリスクが高くなります。
高脂血症であるかどうかは血液検査で調べることができますので健康診断を受けたときに高脂血症を指摘された場合には、治療が必要かどうかかかりつけの先生とよく相談しましょう。

高脂血症は生まれつきの体質として起こることもありますが、食生活の乱れでも起こることがあります。
おやつの与えすぎやヒトの食べ物を頻繁に与えることはやめましょう。

猫の胆石症の治療方法について

無症状の場合は治療は必要ありません。

症状を全く示さず、健康診断時や他の疾患の検査時に偶発的に胆石が発見されることがあります。
胆石が存在しても臨床症状や血液検査上の異常が認められない場合には、治療を行わず経過観察することがあります。

ただし、後に胆石に細菌感染や胆道閉塞が起こると急激に症状が出ることがあるため、胆石が存在するということは頭に置いておく必要があります。

内科治療を行います。

胆石を内科治療で溶解することは困難ですが、胆汁のうっ滞によって肝酵素が上昇している場合には、胆汁の流れを良くして悪化を予防するために利胆剤や肝保護剤などで内科治療を行いながら経過を観察していきます。

外科手術が必要になることもあります。

胆石が胆管を閉塞させた場合や胆嚢炎を繰り返す場合には、外科手術によって胆道閉塞を解除したり、胆嚢ごと胆石を摘出する手術(胆嚢切除)が必要になります。

胆道閉塞時や重度の胆嚢炎では重篤な肝障害が起こることによって全身状態が非常に悪くなってしまうため、全身麻酔をかけて手術を行うリスクが高くなってしまいます。
そのため、閉塞の危険が高まってきた場合には完全に閉塞してしまう前に手術を行うことが望ましいですが、そのタイミングを測るのは実際には非常に難しくなります。

胆嚢に問題がある場合には、後に手術が必要になる可能性についてかかりつけの先生とあらかじめよく相談しておき、定期的に受診して経過観察するようにしましょう。

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