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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の機能性イレウスとは

消化管の動きが低下した状態です。

イレウスとは消化管の内容物が流れなくなっている状態を指します。
「イレウス=腸閉塞」と訳されることもありますが、閉塞していなくても腸管の通過障害があればイレウスとなり、機能性イレウスは小腸の蠕動運動を司る様々な神経ホルモンの調和が破綻して起こる消化管の運動機能障害で、麻痺性イレウスとも呼ばれることもあります。

様々な消化器疾患や消化器以外の内科疾患、重度のストレスなどに続発して起こることがあり、重症疾患に続発しておこる場合には、疼痛や栄養状態の悪化から全身状態をさらに悪化させて命を脅かすこともあるため、慎重に対応することが必要です。

猫の機能性イレウスの症状とは

嘔吐やお腹の張りが認められます。

機能性イレウスでは消化管の運動低下に伴って以下のような症状が認められます。

・食欲低下
・元気がない
・涎を垂らす
・吐き気、嘔吐
・腹痛による腹部の緊張
・腹部の膨満
・脱水

多くの場合は腸の動きが悪くなることによって腸内にガスが貯留し、腹痛が起こることで動きたがらず、うずくまって沈鬱になっている様子が見られます。
吐き気を繰り返すために水分摂取もうまくできず、脱水を起こしてしまうこともあるため、できるだけ早く病院で適切な治療を行うことが必要です。

猫の機能性イレウスの原因とは

消化管の問題によっておこります。

消化管の炎症や感染症、腫瘍などによって消化管が正常に機能するために必要な神経ホルモンの分泌がうまくできなくなり発症します。
原因となる消化器疾患には以下のようなものがあります。

・炎症性腸疾患
・消化管潰瘍
・消化管感染症(パルボウイルス感染症、寄生虫感染症、細菌感染症など)
・消化管腫瘍(リンパ腫、腺癌、肥満細胞腫、平滑筋肉腫など)

消化管以外の原因に続発して起こります。

消化器疾患以外の原因によって消化管の運動性に障害が起こることがあります。

・腹腔内の炎症(腹膜炎・膵炎など)
・電解質の異常(低カルシウム血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症)
・代謝性疾患(尿毒症、肝性脳症、アジソン病、アシドーシスなど)
・薬物投与の副作用
・重度の肥満
・重度のストレス
・敗血症(全身性の感染症)
・腫瘍
・糖尿病
・麻酔処置後   など

猫の機能性イレウスの好発品種について

好発する品種はありません。

品種による好発傾向は特にありません。

猫の機能性イレウスの予防方法について

肥満にならないように気を付けましょう。

重度の肥満は腸の蠕動運動を低下させる原因になります。
食事管理に気を付け、太らせないようにしましょう。
また、適度に運動させることは肥満予防に効果があるだけでなく消化管の運動を促進するのにも効果的です。

ストレスにも気を配りましょう。

性格的に神経質な気質の猫はストレスを感じやすく、環境の変化などによって重度のストレスを受けてしまいます。

引っ越しや家族が増えるなどといった大きなイベントが発生する際には、使い慣れたベッドやお気に入りのタオル、おもちゃなどを身近に置くようにし、落ち着いて過ごすことができるような静かな場所を確保してあげるようにしましょう。

また飼い主さんもこまめにスキンシップをとるようにしてストレスを発散させてあげましょう。

猫の機能性イレウスの治療方法について

消化管の運動を改善するお薬を投与します。

機能性イレウスの治療は、消化管の運動性を改善させることです。
そのためには消化管の蠕動運動を促すお薬を投与することが必要ですが、機能性イレウスの際には吐き気や嘔吐も繰り返し起こるため、その治療も併せて行います。

治療の初期は吐き気があるため、お薬を経口投与することは難しいことが多く、必要に応じて点滴などを行いながら注射剤で吐き気を抑えます。
吐き気が落ち着き投薬ができるようになったら内服薬へ切り替え、少しずつ食事も与えます。

腹痛が強い場合には痛み止めを使用することもありますが、痛み止めには消化管の動きを抑える副作用がある薬剤が多いため、慎重に使用する必要があります。

栄養療法を行います。

消化管内を長期間食物が通過しない状態が続くと、消化管の粘膜に存在する絨毛が萎縮し、また腸内細菌の腸粘膜への侵入リスクも上がるとされています。

そのため、吐き気が落ち着いたらできるだけ早く少量ずつでも食事を摂らせることが必要ですが、なかなか食欲が出ない場合も多く、その場合はカテーテルで給餌することを検討します。

最も負担が少ないのは鼻から入れる経鼻カテーテルで、鼻の局所麻酔だけで挿入可能ですが、カテーテルの径が細いものしか入らないため、かなり流動性の高い食事しか投与できません。

より太いカテーテルであれば食道チューブや胃瘻チューブとなりますが、麻酔をかける必要があるため、全身状態やチューブの設置期間などを考慮して検討します。

原因疾患の治療を行います。

イレウスの治療と合わせて、原因疾患の治療も重要です。
全身的な検査を行い、原因となっている疾患を正しく診断・治療する必要があります。

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