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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬のチョコレート中毒とは

チョコレートなどのカカオ類による中毒です。

犬がチョコレートなどのカカオ類を誤食し中毒症状を引き起こす疾患です。消化器症状、筋肉や神経に起因する症状、心肺に関する症状などが引き起こされます。

チョコレートは犬に対して危険な食べ物ですが、甘く美味しい為、間違って与えてしまうことが多い一面もあります。犬は人の友ですが、人と同じ動物種ではありません。そのことをしっかりと理解し、共に歩んでいきましょう。

犬のチョコレート中毒の症状とは

全身臓器の過興奮により様々な症状がみられます。

カカオ類の原因物質(詳細は原因の項で説明しています)により全身の臓器が過剰な興奮状態に陥ります。その結果、嘔吐・下痢、痙攣・感覚過敏、頻回の浅い呼吸・呼吸困難、チアノーゼ、不整脈による突然死などの症状がみられます。

犬のチョコレート中毒の原因とは

カカオ類に含まれるメチルキサンチンアルカロイドが原因です。

チョコレートなどのカカオ類にはメチルキサンチンアルカロイド(テオブロミン、カフェイン)という成分が含まれています。人においてチョコレートやコーヒーを飲食した際、ほっとする、目が覚めるなどの効果がある成分ですが、犬はメチルキサンチンアルカロイドを分解する能力が低く、過剰な興奮作用として中毒症状を引き起こす原因になります。

メチルキサンチンアルカロイドは、細胞内における興奮の情報伝達を司る物質であるcAMPを活性化→不活性化する経路を阻害します。つまり、cAMPが常に働いている状態になり、細胞は過剰な興奮状態に陥ります。

メチルキサンチンアルカロイド中毒を防ぐために肝臓で特定の酵素により分解されますが、犬では人の3倍近く分解に時間がかかるため病的な細胞の興奮状態が続き、全身性の中毒症状としてみられます。

犬のチョコレート中毒の好発品種について

全犬種で好発します。

チョコレートを誤食することにより発生する疾患であり、好発犬種はありません。

犬のチョコレート中毒の予防方法について

犬にチョコレートなどのカカオ類を食べさせない、誤食させないことで予防します。

チョコレートやカカオの含まれる食品を食べさせないことで予防することができます。人間の食べ物は犬には与えない。食材を犬が出入りできる場所や、手の届く場所に置かない。もしくは犬がいたずらできないような頑丈で、蓋をロックできる入れ物で保管する。具体的には以上のような対策を行うことができます。

チョコレートは嗜好性が高く、人が食べて美味しいからという安直な理由で犬が口にすることがあります。飼い主が気をつけていても、家族がチョコレート中毒の危険性を十分に周知していない場合、事故が起こる可能性があります。家族会議などでしっかりと「犬を飼うこと」について十分にコミュニケーションをとるようにする必要があります。

犬のチョコレート中毒の治療方法について

主に対症療法を行います。

チョコレート中毒の原因物質であるメチルキサンチンアルカロイドには直接の解毒剤はありません。催吐剤による胃内容物の除去、活性炭などの多孔質の薬剤による腸管内の原因物質除去、輸液による中毒物質の希釈・排出などの治療を行います。

特に催吐剤による胃内容物の除去は、誤食後数時間に行わないと効果がありません。チョコレートの誤食に気が付いたときは、すぐさま動物病院を受診する必要があります。

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