犬の鼠径ヘルニアとは
内腿にできるヘルニアです。
生後精巣が腹腔から陰嚢内に移動する際に通過する穴(鼠経輪)を通して脂肪や臓器が皮膚の下に脱出している状態です。
鼠径ヘルニアには、先天的なものと後天的なものがあります。先天的な鼠径ヘルニアの場合、生後数か月の仔犬で確認出来ますが、必ずしも病的なものとは言い切れません。成長とともにヘルニアが小さくなり、目立たなくなることもあります。
鼠経ヘルニアは、腸管などの臓器が鼠経輪で絞められてしまう状態(嵌頓)にならないように注意して観察する必要があります。
犬の鼠径ヘルニアの症状とは
ヘルニアが嵌頓していないか注意しましょう。
ヘルニアとは、臓器や脂肪などが組織の隙間を通って本来のあるべき場所から脱出してしまっている状態のことを言います。生後精巣が腹腔から陰嚢内に移動する際に通過する穴(鼠経輪)を通して脂肪や臓器が皮膚の下に脱出している状態を鼠経ヘルニアと呼びます。生後数か月の仔犬では鼠経ヘルニアの状態は必ずしも病的なものとは言い切れず、経過観察となる場合も多いです。
鼠経ヘルニアは、腸管などの臓器が鼠経輪で絞められてしまう状態(嵌頓)にならないように注意して観察する必要があります。
鼠径ヘルニアの内容が脂肪のみであった場合は大きな症状が見られませんが、腸管であった場合は便秘や嘔吐などの消化器症状、時に痛みを伴うこともあります。また、鼠径ヘルニアの内容が膀胱であることもあり、そういった場合は排尿障害が見られることがあります。
鼠経ヘルニアにおいて最も注意すべき状態は、ヘルニア内容が鼠経輪で拘束されてしまう嵌頓の状態です。ヘルニアが嵌頓状態になると、血流を止めてしまい、ヘルニア内容を壊死させる可能性があります。鼠経ヘルニアの様子がいつもと異なり熱を持っている、赤くなっている、などの症状が見られた場合はすぐに動物病院を受診してください。
犬の鼠径ヘルニアの原因とは
先天的なものと後天的なものがあります。
先天的な鼠経ヘルニアは生後数か月の仔犬で確認できます。仔犬の精巣は生後、鼠経輪を通じて陰嚢内へと移動します。鼠経輪は成長とともに筋肉によって閉鎖されますが、鼠経輪の大きさと、閉鎖の進み具合は犬によって異なり、生後数か月で鼠経輪がほぼ閉鎖されている、鼠経輪から脂肪が少し出ている、鼠経輪が大きく腸管などの臓器が出ている、など様々な状態が見られます。
後天的な鼠径ヘルニアの場合、交通事故などの大きな衝撃、出産時における過度な腹圧、などが原因となります。また、肥満によって腹圧がかかり鼠径ヘルニアが発症することもあります。
犬の鼠径ヘルニアの好発品種について
全犬種で好発します。
鼠経ヘルニアは仔犬であればどの犬種でも起こり得ますが、雄で見られることが多いです。鼠経ヘルニアが病的なものであるか気になる、治療の必要性が気になる場合は、かかりつけの獣医師に相談してみるといいでしょう。
犬の鼠径ヘルニアの予防方法について
先天的なものには予防方法はありません。
先天的な鼠径ヘルニアは予防することはできません。
後天的な鼠径ヘルニアは、避妊手術を受けて妊娠出産させないようにする、肥満にさせないよう栄養管理をおこなう、といったことが予防につながると言えます。
犬の鼠径ヘルニアの治療方法について
外科的な鼠経輪の閉鎖をおこないます。
鼠経ヘルニアが腸管などの臓器が脱出してしまう大きさである場合は、外科的な縫合で鼠経輪を閉じることで治療を行います。緊急性がない鼠経ヘルニアでは、犬の成長による鼠経輪の閉鎖を待つ場合や、去勢手術・避妊手術の実施のタイミングを待って同時に鼠径ヘルニアの手術を行う場合があります。
鼠経ヘルニアが嵌頓してしまった場合、緊急の開腹手術を行います。ヘルニア内容を腹腔内に戻し、必要であれば壊死した部分を除去します。