猫の臍ヘルニアとは
腹腔内の脂肪や腸が臍輪から皮下に脱出した状態です。
ヘルニアとは、体内のある臓器が本来あるべき場所から脱出してしまった状態を指す言葉です。
臍部分に起こるヘルニアを臍ヘルニアといい、腹腔内にある脂肪や腸が、臍輪という穴から脱出した状態となります。
軽度のヘルニアでは脂肪だけが脱出するため、特に症状はなく、やわらかい膨らみとして触知されるだけですが、ヘルニア輪が大きく、腸管が脱出している場合には、腸閉塞を起こす危険性があります。
スキンシップの一環としてヘルニアが急に大きくなった、赤く腫れているということがないかどうかはチェックする必要があります。
猫の臍ヘルニアの症状とは
多くは無症状です。
ヘルニアがあっても、脂肪が脱出しているだけの場合には全く症状はありません。
臍部分のやわらかい膨らみとして触知され、指で押すと、中の脂肪をお腹の中に戻すことができます。
既にヘルニア輪が閉じている場合には腹腔内に脂肪は戻せませんが、それ以上大きくなることもありません。
ヘルニア輪が大きい場合や腸管が脱出している場合は注意が必要です。
ヘルニアの起こっている部分に開いている穴をヘルニア輪といいますが、ヘルニア輪が大きい場合は注意が必要です。
腸管が脱出してしまうことがあり(脱腸)、脱出した腸が多いと外から圧迫しても腹腔内に戻せなくなり、ヘルニア輪でその付け根が締め付けられると腸閉塞や腸の壊死が起こります。(嵌頓ヘルニア)
また、強い腹圧がかかる状態(便秘時や妊娠時)にヘルニア輪が広がり、より多くの腸や脂肪が脱出し、嵌頓してしまうこともあります。
腸閉塞を起こした場合には急性の症状が見られます。
・嘔吐
・食欲不振
・ヘルニア部の硬結
・ヘルニア部の熱感、痛み
・元気消失
などが起こり、緊急手術が必要です。
猫の臍ヘルニアの原因とは
臍輪の閉鎖不全によっておこります。
臍輪は、胎児期に母体とつながるへその緒として血管が出る部分で、出生後、へその緒を切ると内側に腹膜が形成され、自然に閉じる部分です。
そこが完全に閉じ切らなかった場合や、閉じきる前に脂肪などが挟まって閉じた場合に臍ヘルニアとなります。
遺伝などで起こる可能性も示唆されていますが、詳細は不明です。
猫の臍ヘルニアの好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
猫の臍ヘルニアの予防方法について
予防方法はありません。
ヘルニアを予防する方法はありません。
ヘルニアのふくらみは子猫の時から確認することができますので、経過をよく見て、必要があればすぐ治療ができるように心がけましょう。
猫の臍ヘルニアの治療方法について
手術で整復します。
ヘルニアを治す方法は外科手術です。
腸や脂肪が脱出している穴を縫合して閉じる手術を行います。
穴が小さく、たまに脂肪が出ては戻る、という程度であれば、あえてそこを修復するためだけに手術することは少なく、経過観察し、避妊・去勢手術で麻酔をかけた際に一緒に整復することが多くなります。
一方、腸管が出ている場合や、以前より膨らみが大きくなった、ヘルニア輪が大きくなったという場合には、将来的に腸閉塞につながる可能性が高いので、予防的に手術で整復します。
嵌頓ヘルニアとなり、腸閉塞が生じた場合は緊急手術が必要です。
嵌頓した腸は血行障害によって壊死してしまうので、その部分を切除し、腸と腸をつなぐ手術が必要になります。
腸閉塞を起こしてしまうと痛みや吐き気などを生じ、全身状態も非常に悪くなりますので、そうなる前に予防的に手術をしておくことをお勧めします。