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Youtube 病気辞典
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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の尿道結石とは

尿道に結石が詰まる疾患です。

尿が通る道を尿路と呼びますが、その中で膀胱から尿が対外へ排泄されるまでの道を尿道と呼びます。オスのペニス、メスの外陰部の尿の出口である尿道の先端部を外尿道口と呼びます。尿道結石とは、尿道に結石がひっかかったり、詰まってしまう疾患です。結石が尿道を完全に塞いでしまった場合、緊急事態になってしまいます。

犬の尿道結石の症状とは

血尿、乏尿、無尿、腹痛などの症状がみられます。

まず、膀胱内に結石があると膀胱炎症状が見られます。血尿、頻尿、排尿痛などが見られ、細菌感染がある場合は尿臭が変化します。膀胱内の結石が尿道に流れ落ちることで、尿道が不完全閉塞もしくは完全閉塞を引き起こします。メスではあまり尿道結石による尿道閉塞を起こしません。多くの場合、オスの陰茎骨内もしくは陰茎骨尾側に結石が流れることで尿道閉塞を引き起こします。猫では炎症産物なども尿道閉塞を引き起こすと言われていますが、犬ではあまり見られません。

犬は猫と比較すると完全閉塞を起こすことは少ないとされていますが、尿量が減ってくると急性腎不全を引き起こします。急性腎不全になりますと、食欲不振、嘔吐、下痢、乏尿、無尿、腹痛などが見られるようになります。さらに症状が進行しますと、虚脱、痙攣などの症状が見られることがあります。

犬の尿道結石の原因とは

ストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石が原因になります。

腎臓や膀胱でできた結石が尿道に移動し尿道を塞栓させますが、この結石にはストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石の2種類がよく見られます。2000年以前はほとんどがストルバイト結石だったと言われていますが、2000年以降はストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石が同程度見られるようになりました。また、6歳まではストルバイト結石の方が多く、7歳以降はシュウ酸カルシウム結石の方が多くなる傾向があると言われています。
尿路感染がありますと、尿のpHを上昇させることがあります。これがストルバイト結石の形成の要因になるため、尿路感染には注意が必要です。また,食餌内容によっても尿のpHは変化します。動物性食品(肉など)を多く摂取すると酸性に傾きやすく、植物性食品(野菜など)を多く摂取するとアルカリ性に傾きやすいと言われています。

犬の尿道結石の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

シー・ズー、ウェルシュ・コーギー、柴犬が好発犬種です。

シュウ酸カルシウム結石

ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリア、ラサアプソ、パピヨンが好発犬種です。

犬の尿道結石の予防方法について

結石ができにくい生活を送りましょう。

健康診断や膀胱炎などの疾患の際、尿検査を受けることがありますが、ストルバイト結晶やシュウ酸カルシウム結晶が見つかった場合は注意が必要です。結石の生成を防ぐためには、結晶ができにくい療法食を与える、おやつを与え過ぎない、など食餌面で気を付けましょう。

また、結石の予防には飲水量の管理も重要と言われています。飲水量を増やすことで結石のもととなる物質の濃度を薄めることが結石の予防に有効とされています。ウェットフードを与える、ドライフードをふやかして与えるなどして、飲水量の確保をしましょう。

犬の尿道結石の治療方法について

尿道結石では結石の状態により治療が異なります。

尿道結石がストルバイト結石のような溶解性の結石である場合は、内科療法を試みます。ストルバイト結石である場合、同時に細菌感染が認められることが多いため、抗生物質の投与をおこないます。尿のpHを低下させる療法食やサプリメントを摂取し、飲水量を増やすようにします。

尿道結石が非溶解性であるシュウ酸カルシウム結石である場合や、完全閉塞を起こしている場合は、外科療法が第一選択となります。尿道結石を膀胱に押し戻して膀胱切開して結石を取り除きます。尿道結石を膀胱に押し戻せない場合は、尿道切開をおこないます。

予後は良好ですが、すぐに再発することがあります。食餌、飲水量の管理を徹底しましょう。

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