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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫パルボウイルス感染症とは

重度の下痢・嘔吐を起こす感染症です。

パルボウイルスの感染によって、下痢や嘔吐を起こす感染症です。
特徴的な症状の一つとして白血球の減少症が認められることから、「猫汎白血球減少症」とも呼ばれます。

症状は急性で重度の下痢や嘔吐で、集中治療しなければ死に至ることのある病気です。
特に体力・免疫力のない仔猫での感染は非常に深刻で、治療しても回復できずに死亡してしまうことも少なくありません。

感染力も強く、多頭飼育やシェルターなどに感染が起こると、環境が汚染されることにより全頭に感染が広まることもあり、非常に注意が必要な病気です。

猫パルボウイルス感染症の症状とは

重度の消化器症状が特徴です。

パルボウイルスに感染すると、発症するまでの潜伏期間は数日から2週間程度とされています。

発症すると以下のような症状を示します。
・食欲不振
・元気消失
・発熱
・嘔吐
・下痢、血便
・白血球減少症
・貧血
・脱水

症状は非常に激しく、腸でウイルスが増殖するために腸炎を起こし、下痢を繰り返すうちに血便となることもあります。

嘔吐と下痢が非常に頻繁に起こるために体力を消耗する上に、脱水と電解質の異常からぐったりと元気がなくなり衰弱し、積極的に治療しなければ1日~数日で死亡してしまいます。
特に仔猫は体が小さく、予備体力が低いために死亡率が高くなります。

妊娠した母猫が感染した場合には流産や死産となることが多く、生まれてきた仔猫も小脳形成不全などの障害が残る場合があります。

猫パルボウイルス感染症の原因とは

感染猫の体液や排泄物から感染します。

猫パルボウイルスは、感染猫の排泄物や吐物、血液を経口・経鼻摂取することによって感染します。
また、胎盤を介しても感染します。

パルボウイルスは非常に感染力が強く、環境中でも数カ月~1年ほど感染性を維持できます。
そのため、感染猫の嘔吐物や排泄物の処理には注意を払う必要があり、汚染されたケージや床は徹底して消毒し、布製のもの(タオルやベッド)はできれば処分したほうが安全です。

消毒は石鹸やアルコール、熱湯では不十分で、塩素系の消毒薬などを使用します。
次亜塩素酸などを適切に希釈して、床や壁、ケージを消毒し、食器などはつけ置きで消毒しましょう。

症状が回復しても、3カ月ほどは糞便中にウイルスを排泄します。
治ったと思っても、再び環境がウイルスに汚染されてしまうため、消毒はしばらく徹底して続け、多頭飼育の場合は他の猫にうつさないよう隔離を続ける必要があります。

ヒトが媒介してしまうこともあります。

ヒトの手を介しても感染がおこってしまいます。
多頭飼育で感染猫がいる場合はもちろん注意が必要ですが、下痢をしている野良猫を触ってしまうなど、知らず知らずのうちに衣服や手にウイルスを付着させて帰ってしまうこともあります。
室内飼育であっても、感染のリスクがあるということになります。

猫パルボウイルス感染症の好発品種について

好発する品種はありません。

どんな猫でも感染が起こります。
主に仔猫での感染が多く、ワクチン接種をしていなければほぼ100%発症してしまいます。

猫パルボウイルス感染症の予防方法について

ワクチン接種で予防できます。

猫のコアワクチンである3種混合ワクチンには、パルボウイルス感染症のワクチンが含まれています。
接種可能な月齢に達したらできるだけ早く接種し、その後も定期的に追加接種を受け、体にしっかり免疫をつけておきましょう。
ワクチン接種を受けていれば感染リスクをかなり抑えることができます。

外に出さないことが予防策の一つです。

外に自由に出かける猫は、感染のリスクが非常に高くなります。
パルボウイルスは環境中でも非常に安定しているため、野良猫が感染し、汚染された環境や感染猫自体と接触することで感染してしまいます。
ウイルスがどこにいるかはわからないため、少しでも感染リスクを減らすためには室内飼いを徹底しましょう。

また、動物病院へ行く際などもケージに入れ、待合室で外に出したりすることはやめましょう。
ワクチン接種が終わっていない、あるいは定期的にワクチン接種していない場合は、他の猫が集まるペットホテルやトリミングサロンにも連れていくべきではありません。

新しい猫を迎える際には健康観察期間を設けましょう。

先住猫がいるお家に新しく猫を迎える際には、念のため2週間ほどは別々の部屋で生活させましょう。
ペットショップで購入した猫であっても、拾った猫であっても、パルボウイルスや他の感染症にかかっている可能性はゼロではありません。

健康診断を受け、日常生活で消化器症状などがみられないことをしばらく観察したうえで、問題がなければ徐々に先住猫と一緒に生活させるようにします。

猫パルボウイルス感染症の治療方法について

輸液療法を行います。

パルボウイルス感染症は非常に強い消化器症状を起こすため、治療をしなければ高い確率で死亡してしまいます。
しかし、パルボウイルスを特異的に抑える抗ウイルス薬はないため、治療は支持療法を行います。

感染猫は頻繁に嘔吐と下痢を繰り返すため、脱水や電解質の異常を起こしています。
そのため、軽度の脱水であれば皮下点滴を、重度の脱水や電解質の異常がある場合には静脈点滴を行います。

血便による貧血や、白血球減少症が重度の場合には、輸血を行う場合もあります。

吐き気止めを投与します。

頻回の嘔吐による脱水や、電解質の異常、体力の消耗を防ぐために、吐き気止めを注射して少しでも食事や水分が摂れるようにします。

抗菌剤を投与します。

パルボウイルス感染症では、腸管で増殖するウイルスによって腸粘膜が炎症をおこし、腸管粘膜の免疫機構が破綻してしまいます。
白血球の減少も伴い、全身性に細菌感染などを起こす場合があるため、抗菌剤の投与を行います。

インターフェロンで免疫力を高めます。

ウイルスに対する体の免疫を活性化するために、インターフェロンを投与し、体の抵抗力を上げる補助をします。

栄養補給もできるだけ行いましょう。

激しい嘔吐と下痢が主な症状のパルボウイルス感染症ですが、長期間は絶食させないようにします。
絶食状態が続くと、体力の低下だけでなく腸管の粘膜細胞も萎縮してしまい、回復が遅くなってしまいます。

制吐剤を使用しながら、高栄養の缶詰などをほんの一口ずつでも食べさせるようにし、栄養を少しでも補給します。
食べられるようになってきたら、徐々に量を増やしていきましょう。

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