猫のタマネギ中毒とは
赤血球が破壊されて貧血になります。
犬や猫がタマネギを摂取すると、タマネギに含まれる成分によって赤血球が破壊され、溶血性貧血を起こします。
特に猫は犬よりも感受性が高く、重度の場合は死に至ることがあります。
原因はタマネギを含む食事の誤食です。
誤って猫がタマネギを口にすることがないように、食べ物の管理に気をつけましょう。
猫のタマネギ中毒の症状とは
特徴は溶血による尿の変化と貧血です。
タマネギを食べると、以下のような症状が現れます。
・元気消失
・食欲不振
・頻脈
・頻呼吸や呼吸困難
・粘膜が白い(貧血)
・粘膜が黄色い(黄疸)
・赤~茶色の尿
・嘔吐
・下痢
タマネギを大量摂取した場合はその日に症状が出ることもありますが、通常は数日たってから症状が現れます。
尿の変化は、血液の中の赤血球が破壊されて血液の色素が尿に出るために起こり、血尿ではなく血色素尿といいます。
尿検査をすると、その違いがわかります。
貧血が重度になると、体に酸素を運ぶ赤血球が不足することにより体が酸欠状態となるため、呼吸が速くなり、口腔粘膜や舌、耳などは貧血と酸欠により蒼白になります。
また、壊された赤血球の色素が体で処理しきれなくなると、黄疸として認められることもあります。
猫のタマネギ中毒の原因とは
タマネギの誤食によっておこります。
犬や猫はタマネギの成分で中毒を起こすことは広く知られているため、ペットフードにタマネギが含まれていることはありません。
また、生のタマネギを猫がかじるという状況もあまり考えられません。
多いのは、タマネギを調理した食事を猫が誤食(盗食)することによっておこる場合です。
猫がヒトの食べ物を誤って食べることがないよう、飼い主さんが気をつけなくてはいけません。
溶血性貧血を起こすタマネギの原因物質、アリルプロピルジスルフィドは、加熱や加工(乾燥粉末、スープなどのエキス)されても毒性は変わりません。
また、ニンニクやニラ、ネギなどユリ科ネギ属に属する他の植物にも含まれ、同様の症状を起こします。
体重1kgあたり、5g程度のタマネギを摂取すると中毒症状が認められるとされていますが、猫によってはそれより少量でも症状が出る場合がありますので、誤食を認めた場合には少量であってもかかりつけ医を受診しましょう。
猫のタマネギ中毒の好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
どんな猫でもタマネギを誤食すると発症します。
猫のタマネギ中毒の予防方法について
食べ物の管理に気を付けましょう。
猫が盗食をしないように飼い主さんが食べ物の管理に気をつけることしか予防方法はありません。
日常的にヒトの食べ物を食べる習慣があると盗食も増えるので、ヒトの食べ物を与えることもやめましょう。
猫のタマネギ中毒の治療方法について
催吐処置を行います。
誤食をして間もない場合は、催吐処置をすることで体に吸収される前に除去することができます。
催吐処置には吐き気を起こす薬剤を注射する、あるいは薬品の経口投与などの方法が用いられます。
中にはしばらく吐き気が続く場合もあるので、処置が終わった後には吐き気止めなどでアフターケアをします。
吸着剤の投与と点滴で排泄を促します。
催吐処置をするのが少し遅れてしまい、すでに中毒成分が吸収されていることが予想される場合には経口吸着剤(活性炭など)を投与して少しでも体への吸収を減らすとともに、点滴をして排泄を促す処置を行います。
貧血に対しては輸血が必要なこともあります。
誤食に気付かず、重度の貧血症状が現れしまった場合には、輸血を行うことがあります。
輸血にはドナーが必要なので、ドナーを探し、血液が合うかどうかを検査した上で行わなくてはなりません。
重度の貧血では酸素を運ぶ赤血球が不足するために、酸欠によって呼吸が苦しくなる場合があるため、その場合は輸血までの間酸素吸入などで呼吸状態を管理します。
支持療法で全身状態の回復を図ります。
貧血以外にも、吐き気や下痢などの消化器症状、脱水、低血圧などの症状がみられます。
それらに対して、点滴や吐き気止め、消化管保護剤などを投与して状態が改善するまで治療を継続します。
また、ビタミンCやビタミンE、アセチルシステインなどの抗酸化剤が赤血球の傷害を抑制するのに役立つとも考えられており、点滴や経口剤で投与することもあります。