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Youtube 病気辞典
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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の「よく体をかく・かゆがる」症状とは

様々な原因が考えられます。

犬が体を痒がる場合、様々な原因が考えられます。愛犬が体を痒がっている場合、悪化する前に一度動物病院に受診することをお勧めいたします。アレルギー性の疾患、感染性の疾患など痒みの原因によって対処方法も異なるためです。

犬が体を痒がっている時、紅斑(皮膚が赤くなる)、丘疹(皮膚のブツブツ)、痂皮(かさぶた)、脱毛などが同時によく見られます。

犬の「よく体をかく・かゆがる」症状の考えられる病気(原因)とは

アレルギー性皮膚炎・ノミアレルギー性皮膚炎・アトピー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎とは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)に反応して発症する皮膚炎で、強い痒みを引き起こします。慢性の疾患ではありますが、アレルゲンの除去や内科的な治療に対して比較的反応性が良く、きちんとした治療や日常ケアを行うことで長期的に症状を抑えることができます。
顔面、四肢の末端、尾部、内股などの特定の部位において皮膚の炎症を伴った慢性的な強い痒みを引き起こします。紅斑や丘疹、脱毛などの皮膚症状が見られ、これらの症状が慢性的に存在することにより苔癬化や色素沈着を引き起こします。


ノミアレルギー性皮膚炎とは、外部寄生虫であるノミの感染によって引き起こされるアレルギー性の皮膚炎のことを言います。
紅斑(皮膚が赤くなる)、丘疹(皮膚のブツブツ)、痂皮(かさぶた)、脱毛などが見られます。痒みの程度は様々ですが、比較的強い痒みが多く見られます。症状は背中に見られることが多く、とくに腰から尾の付け根に症状が強く出ます。
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの唾液成分に対する全身的なアレルギー反応によるものです。咬傷部位の限局的な皮膚炎はノミ刺症などと呼ばれ、ノミアレルギー性皮膚炎とは区別されます。ノミ刺症の場合は、ノミの寄生された数によって皮膚炎の重症度が比例しますが、ノミアレルギー制皮膚炎の場合は、ノミの寄生された数が少なくても重い症状が見られることがあります。


アトピー性皮膚炎とは、遺伝的素因を背景とした、慢性の痒みが見られる皮膚疾患です。アトピー性皮膚炎の発症には多くの要因がありますが、室内飼育の犬ではハウスダストマイトが最も認められる要因です。
発症年齢は一般的に6ヶ月~3歳頃が多いとされています。痒みから誘発された自傷により脱毛、糜爛、潰瘍、苔癬化、色素沈着などを引き起こします。

疥癬症・毛包虫症

犬の疥癬症とは、イヌセンコウヒゼンダニの感染による皮膚疾患です。ヒゼンダニは皮膚の角質層に寄生し、トンネルをつくってその中で排泄したり産卵します。その結果、様々な皮膚症状を引き起こします。
疥癬の症状としましては、非常に強い痒みが特徴です。鱗屑と呼ばれる皮膚がガサガサになった状態が特徴とされる角化型疥癬と、様々な皮膚症状が見られる通常疥癬があります。角化型疥癬は、イヌセンコウヒゼンダニの多数寄生しており、若齢の犬や高齢の犬でよく見られます。耳、肘、踵に症状がよく見られ、全身に拡大することもあります。通常疥癬は、イヌセンコウヒゼンダニは少数寄生とされ、強いアレルギー反応が原因とされています。皮膚には紅斑(皮膚の赤み)、丘疹(皮膚のブツブツ)、脱毛など様々な症状が見られます。


毛包虫症とは、ニキビダニの増殖を特徴とした炎症性皮膚疾患になります。感染の成立は、生後48~72時間で母犬から移行するとされています。ニキビダニが増殖する背景として、若齢では十分な皮膚免疫力が無いこと、高齢では皮膚免疫力を低下させる基礎疾患の存在があります。
ニキビダニの症状としましては、痒み、脱毛、鱗屑、色素斑、紅斑などが見られます。症状は顔や四肢端などに限局している場合と、体全体に見られる場合があります。

膿皮症・皮膚糸状菌症・脂漏症

細菌感染が原因となる皮膚疾患を膿皮症と呼びます。膿皮症は、細菌感染の深さにより表在性膿皮症と深在性膿皮症に区別されます。犬でよく見られる皮膚疾患の一つです。
表在性膿皮症は、表皮や毛包への細菌感染で引き起こされます。皮膚表面の赤み、痒みなどが見られ、表皮小環と呼ばれる円形の鱗屑が見られます。色素増加もよく認められます。
深在性膿皮症は、毛包よりも深い組織に細菌感染が起こることで発症します。細菌感染を受けた毛包に潰瘍が形成され、体重がかかる箇所や胴体に見られることが多く、脱毛、皮膚組織の浮腫、炎症が見られます。


皮膚糸状菌症とは、真菌(カビ)の仲間である皮膚糸状菌が原因となる皮膚疾患です。
皮膚糸状菌症は人獣共通感染症ですので、愛犬が皮膚糸状菌症になってしまった場合は飼い主様も注意が必要で、人間が発症すると、皮膚にリングワームと呼ばれる円形の紅斑や痒みが見られます。
犬の皮膚糸状菌症の症状としましては、皮膚がガサガサになる鱗屑、発赤を伴う脱毛がよく見られます。頭部、四肢端に発症することが多く、痒みは軽度であることが多いですが、強いこともあります。


脂漏症は角化異常症に分類され、過剰な鱗屑やクリーム状の質感を呈する皮膚や被毛が認められます。様々な皮膚疾患や内分泌疾患に続発して見られる続発性脂漏症、遺伝的背景が疑われる原発性脂漏症に分類されます。初期は痒み、紅斑、丘疹が見られ、慢性化すると脱毛、苔癬化、色素沈着が見られるようになります。

犬の「よく体をかく・かゆがる」症状の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

アレルギー性皮膚炎は、ウェストハイランドホワイトテリア、秋田犬、ジャーマンシェパード、柴犬などが好発犬種であるとされています。

膿皮症や急性湿疹は、ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリバー、柴犬などアンダーコートの密度が高い犬で発症が多い傾向があります。

ヨークシャーテリアは皮膚糸状菌に感染しやすい傾向があるとされています。

脂漏症は遺伝的な背景が疑われており、シーズー、アメリカンコッカースパニエル、ウェストハイランドホワイトテリアバセットハウンド、ミニチュアシュナウザー、ジャーマンシェパードが好発とされています。

犬の「よく体をかく・かゆがる」症状の予防方法について

正しいスキンケアをおこないましょう。

とくに高温多湿の時期に正しいスキンケアをおこないます。高頻度のシャンプーやしっかり乾かさないなど間違ったスキンケアをしてしまいますと、皮膚が蒸れてしまい皮膚のバリア機能が低下してしまう可能性があります。正しいスキンケアは痒みの予防につながると言えます。

外部寄生虫の予防をおこないましょう。

ノミアレルギー性皮膚炎、疥癬症、毛包虫症などの外部寄生虫が関与している疾患は、ノミダニ予防薬で発症を予防出来る場合があります。特にイソキサゾリン系化合物の駆虫剤による外部寄生虫の予防をお勧めいたします。

犬の「よく体をかく・かゆがる」症状の治療方法について

アレルギー性皮膚炎・ノミアレルギー性皮膚炎・アトピー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎の治療は、内科的治療、減感作療法、アレルゲンの除去などを行います。内科的治療では、新しい治療薬である分子標的薬が用いられることが増えています。他にも副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤などが用いられることがあります。

ノミアレルギー性皮膚炎の治療は、ノミの成虫の駆虫をおこないます。ノミアレルギー性皮膚炎から膿皮症を続発してしまっている場合は抗菌シャンプーを用いて薬浴をしたり、抗生物質などの内服薬を用いて治療します。

アトピー性皮膚炎は、根治できない疾患であり、治療の目的は痒み、皮膚炎の管理にあります。治療としましては、アレルゲンの除去、二次的な感染症の管理、分子標的薬、副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤などの投与、スキンケアなどをおこないます。

疥癬症・毛包虫症

疥癬症の治療は、イヌセンコウヒゼンダニの駆除をおこないます。イヌセンコウヒゼンダニの駆除には、イソキサゾリン系化合物の駆虫剤が使用されます。イソキサゾリン系化合物の駆虫剤は、ノミやマダニの駆虫剤として認可されていますが、イヌセンコウヒゼンダニの駆除にも効果が報告されています。

毛包虫症の治療は、ニキビダニの駆除をおこないます。イヌセンコウヒゼンダニと同様に、ニキビダニの駆除にはイソキサゾリン系化合物の駆虫剤が使用されます。

膿皮症・皮膚糸状菌症・脂漏症

表在性膿皮症の場合、抗生物質の内服を2~3週間程度おこないます。病変部位が小さい場合や抗生物質の内服の補助として、抗生物質の外用薬の塗布や抗菌シャンプーによるスキンケアをおこないます。
深在性膿皮症の場合、表在性膿皮症と同じく抗生物質の内服をおこないますが、4~6週間程度投薬する必要があります。
深在性膿皮症は表在性膿皮症が進行した結果であり、既に抗生物質の内服をしている場合や薬剤耐性菌が発生している場合が多いため、細菌培養検査、薬剤感受性試験を実施し、効果が期待できる抗生物質を選択することが望ましいとされています。また、病変部位が大きくない場合は局所療法をおこないます。毛刈り、消毒をすることで皮膚の汚れを取り除き細菌数を減らすことが期待出来ます。

皮膚糸状菌症の治療は、抗真菌薬を投与して全身療法をおこないます。皮膚糸状菌が感染している毛が生えかわり消失するまで投与を継続する必要があるため、長期間投与することになります。
皮膚糸状菌に感染している毛を減少させるために毛刈りをおこない、抗真菌薬の経口投与と毛刈りに平行して抗真菌薬を含むシャンプー剤の洗浄、抗真菌薬の外用薬を塗布することもあります。

脂漏症の治療は、脂漏に対するスキンケアおよび全身療法、抗真菌薬による局所および全身療法をおこないます。脂漏に対するスキンケアは、洗浄や保湿を実施しますが、皮膚症状に合わせて洗浄剤を選択します。重症度が高い場合は、副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤、ビタミン剤、必須脂肪酸などを与えます。

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