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Youtube 病気辞典
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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の「突然立てなくなる」症状とは

様々な問題で突然立てなくなることがありますが、早急な治療が必要です。

犬が突然立てなくなった場合、様々な原因が考えられますが、足腰の状態や全身状態がさらに悪化してしまう可能性があるため、早急に動物病院で診てもらいましょう。
足腰の問題なのか、脳神経系の問題なのか、臓器の問題なのか、早急に原因を究明して治療をスタートしなければ命にかかわってきます。
突然立てなくなるのと同時に吐き気が見られたり、足腰に麻痺が見られることもあります。

犬の「突然立てなくなる」症状の考えられる病気(原因)とは

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアにはHansen Ⅰ型とHansen Ⅱ型があり、Hansen Ⅰ型は椎骨と椎骨の間のクッションの役割である椎間板の弾力性の低下によって変性した髄核が脱出する急性の疾患です。Hansen Ⅱ型は椎間板の加齢性変化によって線維輪が背側へ突出する慢性の疾患です。
椎間板ヘルニアの発生個所には頚部と胸腰部があります。頚部椎間板ヘルニアでは、頚部痛、四肢の歩行異常などが見られます。胸腰部椎間板ヘルニアでは、背部痛、両後肢の歩行異常、深部痛覚の消失などが見られます。

前庭疾患

前庭疾患は、高齢犬でしばしば遭遇する疾患で、前庭神経の炎症が原因とされていますが、明確な原因はわかっていません。前庭疾患の発症は急性であり、軽度から重度まで幅があります。

病変部への首斜頸、水平眼振あるいは回転眼振、運動失調、病変側への旋回運動、横臥状態でごろごろと横方向に転がる、などが見られます。意識ははっきりしていて、四肢の姿勢反応の異常、顔面麻痺、ホルネル症候群などの神経症状は認められません。嘔吐や流涎が同時に見られることもあります。

糖尿病

糖尿病は原因の違いによりⅠ型糖尿病、Ⅱ型糖尿病に区分されます。
Ⅰ型糖尿病ではインスリンを分泌する組織である膵臓がウイルスや自己免疫疾患(免疫機構が自己組織を攻撃する)、急性膵炎などの原因によって破壊され、インスリンを分泌することができなくなる、もしくはほとんど分泌できない状態になります。クッシング症候群、ステロイド剤の長期投与が原因となることもあります。
Ⅱ型糖尿病ではインスリン分泌能ではなく、細胞のインスリンを受け入れる力が低下します(インスリン抵抗性が発生する)。遺伝的要因や肥満などの因子によりⅡ型糖尿病は発生しますが、犬では稀です。
また、避妊手術を受けていない雌の場合、発情後の黄体期にインスリン抵抗性が見られることで糖尿病を発症することがあります。

糖尿病の急性合併症としてもっとも重要なものが糖尿病性ケトアシドーシスと呼ばれるものです。高血糖、脱水、電解質異常、肝臓でのケトン体の生成、といった状態が続くことで血液が酸性化し引き起こされ、昏睡の状態になります。

犬の「突然立てなくなる」症状の好発品種について

全犬種で好発します。

ミニチュアダックスフンド、フレンチブルドッグ、ウェルシュコーギーペンブローク、ビーグル、シーズー、ペキニーズなどは軟骨異栄養性犬種と呼ばれ、椎間板ヘルニアの好発犬種となります。

前庭疾患はどのような犬種でも起こり得ます。

糖尿病は、ゴールデン・レトリーバー、キースホンドが好発犬種とされています。

犬の「突然立てなくなる」症状の予防方法について

早期発見・早期治療

椎間板ヘルニアなど、疾患によっては肥満にさせないことが発症のリスクを軽減してくれる可能性がありますが、早期発見・早期治療が重要と言えます。

犬の「突然立てなくなる」症状の治療方法について

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアの治療は、重症度によって治療が選択されます。
疼痛のみのグレードⅠの場合、鎮痛剤や副腎皮質ホルモン剤などによる内科的治療を選択されことが多いです。起立歩行可能な不全麻痺が見られるグレードⅡや起立歩行不能で横臥位になってしまうグレードⅢ以上の場合は、外科的治療が選択されることがあります。
運動制限をおこなう治療であるケージレストも推奨されています。犬は自発的に運動制限ができないため、狭いケージやサークルに閉じ込めて安静にさせる必要があります。破綻した椎間板線維輪の修復、椎間板物質のさらなる脱出の予防、脊髄や靭帯の炎症が治まるのを待つことが目的です。

前庭疾患

前庭疾患は効果的な治療法が無いため経過観察となりますが、多くの場合は48~72時間程度が改善傾向が認められます。眼振が消失し、運動失調、捻転斜頸が改善され、3~4週間で症状が消失します。ただし、回復にかかる期間は個体差があります。

嘔吐が見られる場合は全身状態の悪化につながりやすいため、制吐剤を投与したり、脱水の程度に合わせて皮下補液をおこないます。

予後は良好ですが、捻転斜頸や軽度の運動失調は残ってしまうことがあります。

糖尿病

糖尿病性ケトアシドーシスになってしまった場合、入院管理が必要になります。高血糖およびケトン体産生に対してはインスリンの投与、脱水および電解質異常に対しては輸液にて対処します。食欲低下~廃絶している場合が多いですが、自力で摂食・飲水が可能となることが目標になります。

犬の糖尿病ケトアシドーシスの状態が改善出来たら、糖尿病の維持のための治療をおこないます。一般的には1日2回のインスリンの皮下投与をおこないます。定期的な検査を受け、その都度インスリンの投与量や食事量の調節が必要となることもあります。また、食事は糖尿病療法食が推奨されます。これは、低炭水化物、高繊維のフードによって食後の高血糖が抑えられるためです。しかしながら、インスリンの投与で良好な血糖コントロールが出来ている場合は、一般の総合栄養食の給与も可能とされています。

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