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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「お腹が膨れている(腹水)」症状とは

お腹の中に何らかの原因で体液が貯留した状態です。

腹水は健康な猫のお腹の中にも微量ですが存在しています。
健康であれば産生される腹水と吸収される腹水のバランスがとれており、生理的な腹水は臓器の表面をうっすらと湿潤させる程度にしか存在しません。

しかし猫のお腹が急に膨らみ、触るとタポタポと波動感がある場合には、病的に腹水が溜まっている可能性があります。
病的に貯留した腹水の内、炎症などに伴って貯留したタンパクを多く含む腹水を『滲出液』、血液中のタンパク濃度の低下や血液のうっ滞によって血液から滲み出して貯留したほとんどタンパクを含まない腹水を『漏出液』といいます。
これらの他には腹腔内で出血が起こり、血液が貯留している場合もあります。

腹水が貯留するとお腹が異様に膨らんで垂れ下がり、触ると波動感といって中で液体がチャポチャポ動く様子を感じることができます。
多量の腹水が溜まると動くことが億劫になり、少し動いてはすぐに座り込んだり、たまった腹水によって横隔膜が圧迫され、肺が十分に膨らめないことから呼吸が苦しくなる様子も見られることがあります。

他には、腹水による圧迫によって腸管などの臓器の動きが悪くなり、下痢や嘔吐、食欲不振、元気がないなどといった全身症状や、原因疾患によっては発熱、呼吸が速い、粘膜の色が白っぽいあるいは黄色っぽい、ショック状態などといった症状も見られることがあります。

同様にお腹が膨らむ疾患の中には、妊娠や子宮蓄膿症、排尿障害による異常な尿の貯留、巨大な腹腔内腫瘍などもあり、いずれの場合であっても病院への受診が必要な状態です。

猫の「お腹が膨れている(腹水)」症状の考えられる病気(原因)とは

滲出性の腹水は腹膜炎などによって貯留します。

お腹の中に何らかの原因で炎症が起こると、炎症反応によって腹水の産生と吸収のバランスが崩れ、徐々に腹水が貯留します。

その主な原因としては膵炎や消化管穿孔、胆嚢破裂などによる腹膜炎や、腫瘍の形成、感染症などが考えられ、このような腹水は炎症によるタンパク質を多く含んだ『滲出液』となります。

猫の腹水が貯留する原因として代表的な感染症に「猫伝染性腹膜炎」という病気があります。
この病気は突然変異した猫コロナウイルスによって全身の血管に炎症が起こる病気です。
ウェットタイプ・ドライタイプの2つの型があり、ウェットタイプでは粘性の高い腹水や胸水が大量に貯留するのが特徴です。
比較的若い猫や子猫でも発症が見られ、発症すると現段階ではまだ効果的な治療方法がありません。

うっ血や低タンパク血症では漏出液が貯留します。

心臓病によって静脈に血液がうっ滞した状態になると、血管内から水分が漏れ出て腹水や胸水が貯留します。

また肝臓の病気や腸の病気、腎臓の病気によって血液中のタンパク濃度が低下すると、血管内に水分をとどめておくことができず腹水が貯留したり、体のむくみが起こったりします。

このような状態のときに漏れ出てくる腹水はタンパク質をほとんど含まない『漏出液』となります。

外傷や腹腔内にできた腫瘍からの出血が起こっている場合もあります。

高所からの転落や交通事故などで腹部を強打して臓器損傷が起こった場合や、腹腔内に形成された腫瘍が破裂し、そこから出血して血液が貯留している場合もあります。
腹腔内出血では多量の出血によってショック状態に陥っていることも多く、迅速な処置が必要です。

猫の「お腹が膨れている(腹水)」症状の好発品種について

好発する品種はありません。

好発品種は特にありません。

猫の「お腹が膨れている(腹水)」症状の予防方法について

効果的な予防方法はありません。

それぞれの原因疾患を効果的に予防する方法はありません。
健康診断などで早期発見に努めることが重要です。

ストレスを軽減してあげましょう。

猫伝染性腹膜炎の原因は猫コロナウイルスの突然変異ですが、発症にはストレスが関与しているのではないかと言われています。
特に多頭飼育のストレスによって発症することが多いと考えられているため、むやみにたくさんの猫を飼育しない、それぞれのトイレや生活スペース、くつろげる場所を確保してあげる、たくさん遊んであげるなど、ストレスを軽減できるような環境づくりに努めましょう。

室内飼育を推奨します。

感染症や交通事故の予防には、室内飼育を徹底することがある程度効果的と考えられます。

猫の「お腹が膨れている(腹水)」症状の治療方法について

原因疾患によって治療は様々です。

腹水が貯留している場合は、まず腹水を抜去してみて、その性状や含まれる細胞の検査を行います。

炎症によって起こっていることが疑われる場合にはどこに炎症が起こっているのかを超音波検査などで調べますが、状況によっては試験回復を行い、原因病巣の検査・切除、腹腔洗浄などの治療を同時に行う場合もあります。

タンパクをほとんど含まない漏出液が抜去された場合には、肝臓疾患や腸の炎症性疾患、糸球体腎炎などの腹腔内臓器の疾患や心臓の機能を検査し、鑑別します。
血液中のタンパクが低下するような疾患の場合、原因疾患に対してそれぞれ消炎剤や肝臓の保護剤、免疫抑制剤などでの治療を行い、臓器の状態を改善させることで血中タンパクの低下を防ぎ、腹水が貯留しないように治療を行います。

心臓疾患には投薬治療を行います。

心臓疾患に伴ううっ血によって腹水が貯留している場合は、心臓の機能を改善させるお薬や利尿剤などを投薬して治療を行います。

猫伝染性腹膜炎を完治させる治療方法はまだありません。

猫伝染性腹膜炎は現段階では難治性の病気です。
ステロイド剤や血管炎を抑える治療薬、インターフェロンなどの投薬は症状の緩和に一定の効果がありますが、持続性はなく、徐々に衰弱して多くの場合は数カ月以内に命を落としてしまいます。

しかし近年は猫伝染性腹膜炎に対する新しいお薬が開発され研究されています。
一部の症例では効果があったという報告もあり、これからの報告が期待されています。

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