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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「歩き方がおかしい」症状とは

足をかばって歩く、ふらつくなどという異常がみられます。

歩き方の異常は脳や神経、四肢の筋肉や骨、靱帯、肉球などの組織に何らかの異常が起こった時にみられることがあります。
様々な原因によって歩き方に異常がみられますが、その様子をよく観察すると、診断のヒントが見つかることがあります。

歩き方の異常には以下のようなものがあります。
・四肢のどれかを着地せずに歩く
・足を引きずって歩く(跛行)
・手足の甲を擦って歩く
・歩いている途中に足をケンケンする
・くるくる回ってしまう(旋回)
・壁を伝って歩く
・少し歩くと座り込む
・後ろ足を踵までべったりとつけて歩く
・手足を大げさに持ち上げて歩く
・ぶつかりながら歩く
・無目的に歩き続ける

このような症状がみられる場合、歩き方の変化の他に足の腫れ、出血、元気・食欲の変化、吐き気、飲水量の変化、意識状態の変化、性格の変化などがみられることがあります。

歩行異常がいつからみられるようになったのか、症状は進行しているかどうか、食欲など他に変化がみられる症状はないかなど、気づいたことをメモしておき、できるだけ早く病院を受診しましょう。

猫の「歩き方がおかしい」症状の考えられる病気(原因)とは

四肢の異常によって起こります。

四肢に何らかの異常が起こると炎症や痛みが生じ、患肢をかばって歩くために足を引きずったり患肢を挙げて歩くようになります。

多いのは外傷によるもので、猫同士のケンカによる傷、交通事故や高所からの転落による骨折、熱いものに触れて肉球をやけどした場合、または巻き爪が刺さって化膿している場合など原因は様々です。

外傷以外では、四肢の皮膚や筋肉、骨にできる腫瘍などが原因のことがあります。
中でも骨の腫瘍は腫瘍細胞によって骨が破壊されて疼痛が強く現れ、病的に骨折してしまうこともあります。

関節の異常では関節炎や脱臼、靱帯損傷などが考えられます。
股関節や肩関節の脱臼では患肢が脱力したようにだらんとして力が入らず、膝蓋骨脱臼では後ろ足を着地せずにケンケンして歩いたり、足を引きずって歩いたりします。

脳や神経の病気によって起こります。

四肢の動きに指令を出す脳の異常や、それを伝える神経の異常によっても歩行異常が起こります。

先天的なものでは小脳低形成などが考えられ、離乳し自立して歩くようになった頃からふらつきや手足を必要以上に大きく動かすような歩き方がみられます。

後天性のものでは、頭部の外傷による脳や神経へのダメージ、脳炎、脳腫瘍などが原因になることがあります。
交通事故や高所からの落下などによって脊髄や神経の損傷が起こった場合には、足の甲を擦って歩くような様子や、足に力が入らない様子、下半身あるいは四肢の麻痺などが見られます。

その他の異常によっても歩き方に異常が現れることがあります。

目や耳の病気、内科疾患や加齢によっても歩行異常がみられることがあります。
代表的なものは以下の通りです。

・視力の低下、失明
・中耳炎、内耳炎など耳の異常
・特発性前庭疾患
・重症筋無力症
・糖尿病による末梢神経障害
・認知症
・加齢による筋力低下
・心筋症に伴う動脈血栓塞栓症

視力を喪失した場合には、ものにぶつかって歩いたり段差で転ぶ様子が見られます。

中耳炎、内耳炎や耳の腫瘍、あるいは原因不明の前庭疾患(特発性前庭疾患)などでは、体の平衡感覚がうまくつかめなくなり、首が傾く、まっすぐ歩けない、眼振などが現れ、立てなくなる場合もあります。

重症筋無力症では少し動いただけで脱力して座り込む様子が見られ、重度の糖尿病で末梢神経に障害が起こった場合には後ろ足を踵までベッタリとつけて歩く様子が見られることがあります。

加齢に伴う脳機能の低下ではクルクル回る、壁に頭を押し付ける、狭いところに入り込んで出られなくなる、ひたすら歩き続けるなどといった様子がみられます。

心筋症をかかえている猫では、心臓内に形成された血栓が動脈内に流れ込み、足の付け根の血管分岐部で詰まって血流が途絶え、急激に足が麻痺して立てなくなることがあります。
この場合、猫は強い痛みから興奮状態になり、患肢は血流がなくなるために冷たくなるため比較的鑑別はしやすいですが、非常に重篤な状態です。

猫の「歩き方がおかしい」症状の好発品種について

好発する品種はありません。

歩き方の異常は様々な原因で起こるため、特定の品種による好発傾向はありません。

猫の「歩き方がおかしい」症状の予防方法について

不慮の事故などを防ぐために室内で飼育しましょう。

外傷による怪我の多くは屋外で起こります。
外猫とのケンカや交通事故、高所からの落下などによる怪我を防ぐためには、室内飼育を徹底することがある程度効果的です。

定期的に健康診断を受けましょう。

心筋症や糖尿病、加齢に伴う関節炎などは健康診断を受けていれば早期に発見することも可能な病気です。
早めに対策できれば効果的に進行を抑制でき、将来的に起こる合併症なども回避できます。

猫の「歩き方がおかしい」症状の治療方法について

外傷の治療を行います。

外傷による歩行異常では、原因となっている外傷に対する治療が必要です。

ケンカなどによる傷の場合は爪や牙が深部に達していると感染をおこして膿瘍を形成することが多いため、傷に対するケアに加えて抗生物質を投与します。

骨折や靱帯の損傷などに対しては必要に応じて外科手術を行います。

原因疾患に対する治療が必要です。

関節炎などに対しては消炎剤や関節の保護剤などを投与し、中耳炎や内耳炎など、耳の炎症が問題となっている場合には抗生物質の投与や必要に応じて外科処置を行います。

前庭疾患や脳炎、脳腫瘍などが原因と考えられる場合、それぞれの疾患に対する詳しい検査と治療が必要です。
脳の状態はレントゲンでは確認できないため、麻酔をかけて行うMRI検査などを元に診断を行い、治療計画を立てます。

動脈血栓塞栓症の場合は緊急治療が必要です。
血栓を溶解する治療と心筋症に対する投薬治療などが行われますが、治療が遅れると命を落としてしまうことがあり、発症してしまった時点で状況はかなり厳しいと考えられます。

治療が難しい場合には環境改善や対症療法を行います。

歩行異常を示す原因の中には加齢によって起こるもの(認知症や筋力低下)や不可逆的な変化(失明、麻痺など)によって治療が困難なものがあります。

その場合には、二次的な怪我を予防するために段差や転落の危険のないスペースで生活させる、危険な場所には入れないようにサークルやゲートを設置する、床の滑り止めやコーナーガードなどを設置するなどといった環境整備をしてあげましょう。

椎間板ヘルニアや脊髄の損傷などによって麻痺が残った場合でも、リハビリを行うことで症状が改善することがあります。
あきらめずにリハビリを継続しましょう。

また、様々な症状の進行を抑制するために消炎剤やビタミン剤などを投与する場合もあります。

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