犬の「歩き方がおかしい」症状とは
様々な症状から歩き方がおかしくなることがあります。
犬の歩き方がおかしくなってしまった時、様々な症状が考えられます。
足や腰などが痛い、足に力が入らない、などの症状がある場合、歩き方がおかしくなってしまうことがあります。
足や肉球の外傷、骨折、脱臼などが原因で歩き方おかしい場合は、問題となっている箇所の治療をおこないます。しかしながら、外観からはわかりにくいような様々な骨、関節、神経の疾患によって歩き方がおかしいという症状が見られる場合もあります。
犬の「歩き方がおかしい」症状の考えられる病気(原因)とは
関節の疾患
関節疾患(脊髄疾患)として椎間板ヘルニアが挙げられます。
椎間板ヘルニアにはHansen Ⅰ型とHansen Ⅱ型があり、Hansen Ⅰ型は椎骨と椎骨の間のクッションの役割である椎間板の弾力性の低下によって変性した髄核が脱出する急性の疾患です。Hansen Ⅱ型は椎間板の加齢性変化によって線維輪が背側へ突出する慢性の疾患です。
椎間板ヘルニアの発生個所には頚部と胸腰部があります。頚部椎間板ヘルニアでは、頚部痛、四肢の歩行異常などが見られます。胸腰部椎間板ヘルニアでは、背部痛、両後肢の歩行異常、深部痛覚の消失などが見られます。
筋肉の疾患
筋肉の疾患として重症筋無力症が挙げられます。
重症筋無力症は、神経筋接合部における自己免疫性疾患であり、神経筋伝達の異常に起因した骨格筋虚弱が見られる疾患です。
重症筋無力症には限局性、全身性、劇症型に分類されます。限局性重症筋無力症では、足の虚弱を伴わない嚥下障害、吐出などが見られます。全身性重症筋無力症では、嚥下障害、吐出を伴うあるいは伴わない全身性の四肢の虚弱が見られます。劇症型重症筋無力症では、急性の全身性虚弱および呼吸筋虚弱による呼吸不全を引き起こします。
脳・神経系の疾患
脳神経系の疾患としましては、脊髄空洞症、前庭疾患、ウォブラー症候群などが挙げられます。
脊髄空洞症は、様々な原因によって脊髄内の異常な液体貯留を特徴とする疾患です。
脊髄空洞症の症状は、痛み、前肢の虚弱や筋委縮、後肢の運動失調や虚弱、歩行異常などが挙げられます。
前庭疾患は、高齢犬でしばしば遭遇する疾患で、前庭神経の炎症が原因とされていますが、明確な原因はわかっていません。
前庭疾患の症状は、眼振、斜頸、運動失調、旋回運動が見られます。嘔吐や流涎が同時に見られることもあります。
ウォブラー症候群は、椎間板の圧迫などにより頚部脊髄と神経根への圧迫が原因となります。
ウォブラー症候群の症状は、数週間から数か月にわたって進行し、典型的なものは後肢の歩行異常が見られ、進行しますと歩行不可能な四肢不全麻痺へと進行することがあります。
犬の「歩き方がおかしい」症状の好発品種について
以下の犬種で好発がみられます。
- ウェルシュコーギーペンブローク
- キャバリアキングチャールズスパニエル
- グレートデーン
- ゴールデンレトリバー
- シーズー
- ジャックラッセルテリア
- スコティッシュテリア
- チワワ
- ドーベルマン
- バーニーズマウンテンドッグ
- ビーグル
- フレンチブルドッグ
- ペキニーズ
- ミニチュアダックスフント
- ラブラドールレトリバー
ミニチュアダックスフンド、フレンチブルドッグ、ウェルシュコーギーペンブローク、ビーグル、シーズー、ペキニーズなどは軟骨異栄養性犬種と呼ばれ、椎間板ヘルニアの好発犬種となります。
重症筋無力症の好発犬種としては、ジャックラッセルテリア、チワワ、スコティッシュテリア、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーなどが挙げられます。
脊髄空洞症は、チワワなどの小型犬種で見られますが、特にキャバリアキングチャールズスパニエルでよく見られます。
ウォブラー症候群は、大型犬で発生が多くドーベルマン、グレートデーン、バーニーズマウンテンドッグが好発犬種とされています。
犬の「歩き方がおかしい」症状の予防方法について
肥満にさせない
椎間板ヘルニアなど、疾患によっては肥満にさせないことが発症のリスクを軽減してくれる可能性があります。
早期発見・早期治療が重要と言えます。
犬の「歩き方がおかしい」症状の治療方法について
内科療法
鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤などを投与することが多いと言えます。
重症筋無力症は、自己免疫性疾患ですので、免疫抑制剤を投与することもあります。
前庭疾患は効果的な治療法が無いため経過観察となりますが、多くの場合は48~72時間程度が改善傾向が認められます。嘔吐が見られる場合は制吐剤を投与します。
外科療法
椎間板ヘルニア、ウォブラー症候群、脊髄空洞症は外科療法がおこなわれることもあります。