猫の「口臭がひどい」症状とは
口の中の炎症や体調不良により呼気に独特な匂いが生じます。
ヒトのように自分で歯磨きすることができない猫や犬では、口腔内のトラブルが起きやすい傾向があり、そのサインの一つに口臭の変化があります。
猫の口の臭いを嗅ぐ機会はそれほど多くないかもしれませんが、あくびをした際などに口の臭いが気になるようなことがあれば、一度口の中をチェックしてみましょう。
また、口臭が気になる場合には、以下のような症状がみられないかどうかもチェックしてみましょう。
・涎を垂らすことが多い
・涎に血が混ざっている
・食べづらそうにしている
・食べこぼしが多い
・硬いものが食べれなくなった
・口の周りがただれている
・食欲不振
・吐き気や嘔吐
・水をたくさん飲む
・尿量が非常に増えた
・痩せてきた
口臭の原因は口腔内にあることもあれば、内臓の不調から生じている場合もあります。
いずれの場合も放置すると猫自身の生活の質を低下させてしまうことにつながるため、一度病院でその原因を調べてもらいましょう。
猫の「口臭がひどい」症状の考えられる病気(原因)とは
口腔内に問題が起こっているサインです。
猫の口臭の原因として最も多いのは歯肉炎や口内炎、歯周病です。
猫の口内炎はカリシウイルスや猫エイズウイルスなどウイルスに感染することによって起こるものが多くみられます。
また犬と同様に、口腔内に残った食べ物のカスや歯垢の中などで口腔内細菌が増殖して起こる歯肉炎や歯周病も、割と若齢(3歳未満)からみられることが多いと報告されています。
他には猫特有の病気として、自身の歯に対する免疫異常が起こり、重度の歯肉口内炎を起こすものなどがあります。
このように口腔内に炎症が起こっている時には口臭が強くなります。
また、口腔内にできる腫瘍(主に扁平上皮癌)などが出血を起こしたり壊死したりしている場合にも悪臭を放つようになります。
内臓疾患が原因でも口臭が変化します。
高齢猫では慢性腎臓病の発症が多くみられますが、進行した腎臓病では尿毒症を起こし、体にたまった老廃物(尿素窒素やアンモニア)の臭いが呼気に出るためにアンモニア臭がすることがあります。
重度の糖尿病では、糖をエネルギーとして利用できないために体の脂肪を分解してエネルギーを産生するようになり、その結果として体内にケトン体という物質が生成されます。
それが呼気に混ざって出てくると、アセトン臭という独特な甘酸っぱい匂いがします。
胃の調子が悪い時にも呼気に臭いの変化が出ることがあります。
口腔内に異常がないのに口臭が気になる場合は、これらの疾患の可能性を考え、尿検査や血液検査、レントゲン検査、超音波検査などをする必要があります。
猫の「口臭がひどい」症状の好発品種について
好発する品種はありません。
特に好発品種はありません。
猫の「口臭がひどい」症状の予防方法について
デンタルケアを心がけましょう。
猫の歯磨きは非常にハードルの高いケアですが、デンタルケアを行うと効果的に歯肉炎や歯周病を予防することができます。
また、日ごろから口腔内を見る機会を作っておくと異常の早期発見につながります。
歯ブラシを使った完璧な歯磨きでなくとも、水に混ぜるタイプのデンタルリンスやデンタルスプレーを使用したり、歯磨き効果のある食事にするなど、できる範囲でデンタルケアを行い、同時に口腔内をチェックできるようにしておきましょう。
猫の「口臭がひどい」症状の治療方法について
歯科処置で口腔内の治療を行います。
初期の歯肉炎は、デンタルケアを行うことで改善がみられることがあります。
進行してしまった歯肉炎の治療には抗生物質や消炎剤の投与が必要になり、より積極的なデンタルケアによって口腔内の衛生状態を改善する必要があります。
歯石が重度に付着したり、歯根が露出するような歯周病を起こしている場合や、免疫の異常によって歯肉に重度の炎症が起こっている場合には、麻酔をかけて歯石を除去したり抜歯が必要になります。
ウイルス感染が原因で歯肉炎や口内炎が起こっている場合には、インターフェロンや抗生物質の投与を行い、症状を抑える治療を行います。
猫の口腔内にできる腫瘍には特に扁平上皮癌が多くみられます。
進行すると骨にも浸潤して骨を溶かしてしまうため、できるだけ早い段階で発見し、切除することが重要です。
内臓疾患の場合はそれぞれの治療を行います。
腎臓病による尿毒症が原因の場合、腎臓病はかなり進行した状態です。
点滴治療や血管拡張剤、活性炭などの吸着剤の経口投与などを行い、体にたまった老廃物を排泄する補助を行いながら進行を抑えていく治療が必要です。
糖尿病で口臭がひどい場合もまたあまり良い状態とは言えません。
長期間高血糖状態にあったために食欲は低下し、脱水やケトアシドーシスによって命の危険がある状態の場合もあります。
まずは点滴治療で体の状態を安定させつつインスリン治療を行い、自力で食事をとれるような状況になったら食事療法と自宅でのインスリン治療に切り替えていきます。
胃炎などによって口臭が変化している場合には胃粘膜の保護剤などで対症療法を行います。