ウィズぺティ
初めての方へ会員登録ログイン買い物かご
TOP > 猫の病気辞典 > 猫の「よだれが大量にでる」症状
Youtube 病気辞典
Youtube 病気辞典

執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「よだれが大量にでる」症状とは

口の周りが涎で濡れたようになったり涎を垂らした状態になります。

猫は通常口を閉じて鼻で呼吸をするため、口が開いていること自体が少なく、涎を垂らしたりすることもありません。
しかし涎の分泌が過剰になったり、口を閉じにくい、呑み込みがうまくできないときなどには涎を垂らすことがあります。

涎が大量に出るときには以下のような症状を伴っていることがあります。

・涎に血が混ざる
・口臭がひどい
・食べにくそうにしている
・食べこぼしが多い
・うまく呑み込めない
・舌の動きが悪い
・口を開けていることが多い
・食べたものを戻す
・首が傾いている、捻じれている(捻転斜頚)
・眼が規則的に揺れている(眼振)
・嘔吐する
・食欲がない
・痙攣する

大量の涎が出ているときは体調不良のサインです。
明らかに刺激物(調味料や苦いものなど)を舐めた場合は一過性で済みますが、何らかの他の症状を伴っている場合や症状が続く場合には、すぐに病院を受診し原因を調べてもらいましょう。

猫の「よだれが大量にでる」症状の考えられる病気(原因)とは

口腔内の異常が考えられます。

口内炎・舌炎や歯肉炎、歯周病など、口腔内で炎症が起こっている場合には涎の分泌が盛んになることがあります。

猫の口内炎はウイルス疾患に関連して起こることが多く、カリシウイルス感染症によるものや猫エイズウイルス感染症、猫白血病ウイルス感染症の発症時に重度の口内炎がみられます。

他には口腔内の腫瘍などによって口腔内に痛みがある、舌をうまく動かせないなどといった状態が原因となっていることもあります。
猫の口腔内腫瘍で最も多いのは扁平上皮癌で、初期は口内炎や歯肉炎に類似していますが、進行すると腫瘍部分が壊死してえぐれたり、骨にも浸潤してしまいます。

唾液腺が大きく膨らむ唾液腺嚢胞によって舌が圧迫され、うまく唾液を飲み込めなくなり涎を垂らすこともあります。
中でも舌の裏が大きく水疱状に膨らむガマ腫は、舌が横に押されて変位し、食事をとることにも支障が出てしまうことがあります。

吐き気や嘔吐を起こす内臓疾患の可能性があります。

腎臓病や肝臓病、膵炎や食道炎、胃腸炎などの消化管の疾患によって強い吐き気が生じると涎の分泌が多くなり、涎を垂らすようになります。

若い猫では異物摂取による腸閉塞や腸重積が原因のこともあり、逆に高齢の猫では腫瘍による腸の通過障害・腸閉塞によって起こることがあります。

また、重度の便秘によって涎や吐き気が強くみられる場合もあります。

神経系の疾患や中毒によって起こる場合もあります。

前庭疾患では首が捻れる捻転斜頚とともに、目が規則的に一定方向に揺れる眼振が症状として高率に認められます。
これらの症状が起こっている時は、常に乗り物酔いを起こしているような状態で、強い吐き気が起こり涎を大量に垂らすようになります。

てんかん発作や脳疾患(脳炎、頭部の外傷、腫瘍、感染症など)によるけいれん発作時、あるいはその前兆が起こっている時にも涎が大量に分泌され、口をクチャクチャしたり、口の周りを泡だらけにして唸る様子などが見られます。

それ以外では、中毒症状を起こす物質や刺激物を摂取した際にも大量の涎を垂らします。
室内であれば人の食べ物や調味料、洗剤などを誤って舐めた可能性がありますが、屋外の場合は殺虫剤や農薬など命に関わる劇毒物を摂取した可能性も考えられます。

元気な若い猫が急に涎を垂らし、ぐったりしているような場合は猫の行動範囲を確認し、誤飲・誤食などが起こった可能性がないかどうかをチェックする必要があります。

猫の「よだれが大量にでる」症状の好発品種について

好発する品種はありません。

好発品種は特にありません。
猫エイズウイルスや猫白血病ウイルス、猫カリシウイルスに感染している猫では口内炎が重度になることが多い傾向があります。

猫の「よだれが大量にでる」症状の予防方法について

定期的に予防接種を受けましょう。

猫カリシウイルス感染症は、猫に口内炎を起こす代表的な病気です。
発症すると治りが悪く、一度感染したカリシウイルスは体から完全には排除されないため、症状が一旦良くなっても体調が悪化した際に再燃することがあります。

しかしカリシウイルスは猫のコアワクチンに含まれる疾患ですので、ワクチンで感染や発症を抑えることができます。
定期的に予防接種を受け、ウイルスに対する抵抗力を維持するようにしましょう。

室内飼育でウイルス感染を予防しましょう。

猫カリシウイルスだけでなく、猫エイズウイルスや猫白血病ウイルス感染症は発症すると免疫不全を起こし、重度の難治性口内炎の原因となります。

これらのウイルスは感染猫との濃厚接触やケンカによって感染が成立します。

感染猫との接触を断つためには、外に出さないことが一番です。
室内飼育を心がけるようにしましょう。

デンタルケアで予防しましょう。

歯磨きやデンタルリンス、歯磨き効果のあるフードなどで日ごろからデンタルケアを行うようにすると、歯肉炎や歯周病の発生を予防でき、口腔内のトラブルにも早く気付くことができるようになります。
歯磨きは猫の性格的に難しいケースもありますが、できる範囲内でデンタルケアと口腔内チェックをしてあげましょう。

猫の「よだれが大量にでる」症状の治療方法について

口腔内のケアを行います。

口内炎・舌炎のほとんどはウイルス感染によって起こります。
そのため、インターフェロンや抗生物質、消炎剤などを使用して、ウイルスに対するケアと炎症に対する治療を行います。

歯周病が原因の場合は口腔内のクリーニング(歯石除去など)を実施し、必要に応じて抜歯を行います。

口腔内腫瘍の場合、多くは手術が必要です。
特に扁平上皮癌は局所の浸潤性が強い腫瘍のため、顎の骨にまで浸潤していることが多く、その場合は顎骨を含めた切除手術を行います。

唾液腺嚢胞(ガマ腫)の場合も手術が必要です。
嚢胞に針を刺して一時的に中身を吸引する処置をとる場合もありますが、すぐに再発するため、根本的な治療としては造窓術という手術を行い、唾液が舌下に貯留しないようにすることが必要です。

内臓疾患にはそれぞれのケアが必要です。

内臓疾患が原因で起こる吐き気に対しては、疾患そのものに対する治療とともに吐き気止めや消化管粘膜保護剤などで対症療法を行います。

腸閉塞が原因で起こっている場合には、閉塞物の除去が必要です。
異物が原因であれば異物を摘出するために内視鏡や状況に応じて開腹手術を、腫瘍による腸閉塞では腫瘍の切除を、重度の便秘によって起こっている場合には浣腸処置などを行います。

神経疾患の治療を行います。

神経疾患によって起こっている場合は、原因疾患の治療を行いながら対症療法を行います。

前庭疾患で起こっている場合には対症療法として吐き気止めなどを使用します。

発作に伴って起こる場合は一過性のため、吐き気や涎の分泌に対する治療は必要ないことが多く、脳炎や脳腫瘍などによって脳圧が上がって起こるような吐き気などに対しては、脳圧を下げるために浸透圧利尿剤の点滴などを行います。

ナンバーサプリのウィズメディカ
ページ先頭へ SSL グローバルサインのサイトシール