猫の「脚をつかない」症状とは
違和感や痛みのある脚を挙上しています。
犬や猫は歩くときに四肢のパッド(肉球)を着いてリズミカルに歩くのが普通です。
しかし、脚に痛みや違和感などが生じると、びっこを引いて歩いたり、症状が強くなると脚を着かずにケンケンをして歩くようになります。
脚を着かずに歩くときには、以下のような変化を伴っていることがあります。
・脚の一部が腫れている
・脚がぶらぶらしている
・出血している
・脚を触ると痛がる、怒る
・動きたがらない
・足先を気にしてしきりに舐める
・食欲低下
・元気がない
いずれの場合であっても足を着かない場合には治療が必要な状態ですので、すぐに病院へ連れて行きましょう。
猫の「脚をつかない」症状の考えられる病気(原因)とは
外傷によって起こります。
脚を着かないときの最も多い原因は外傷です。
その程度は様々で、皮膚表面に起こった外傷が原因の場合もあれば、骨折や脱臼など外科的な処置が必要な場合もあります。
以下に代表的なものを挙げます。
・爪が折れている
・巻き爪になりパッドに刺さりこんでいる
・異物がパッドなどに刺入している
・パッドの火傷
・ケンカ傷などが化膿して腫れている
・捻挫
・靱帯の損傷
・関節の脱臼
・骨折
これらの異常が起こっている時には、患部の腫れなどが顕著に表れることが多く、痛みが強い場合には食欲や元気が低下し、動きたがらない様子が見られます。
皮膚炎の悪化などによっても起こります。
猫ではあまり多くありませんが、足の裏、パッドの間の皮膚炎が重度になり、腫れて痛みが生じることで脚を着かなくなることがあります。
ニキビダニ症やアレルギー性の疾患などの他、ストレスがかかった際に不安感を取り除くために過度のグルーミングをした結果、脚の先端をしきりに舐めることで皮膚炎が起こってしまう場合(舐性皮膚炎)などがあります。
腫瘍性疾患が原因の場合があります。
四肢の皮膚や骨、軟部組織などに腫瘍ができた場合に、脚を着かなくなることがあります。
皮膚の腫瘍ではあまり痛みは起こらないことが多いですが、脚の付け根(脇の下や内股)などに大きな腫瘍ができたり、悪性腫瘍によって同部分のリンパ節が大きく腫れると、その圧迫によって脚を着きにくくなることがあります。
また、骨自体の腫瘍や骨に浸潤するような軟部組織の悪性腫瘍の場合には、強い痛みが生じるため、脚を挙上して全く着かなくなってしまいます。
猫の「脚をつかない」症状の好発品種について
好発する品種はありません。
品種による好発傾向は特にありません。
猫の「脚をつかない」症状の予防方法について
外に出さないようにしましょう。
外傷の多くは、屋外で交通事故や高所から落下する、あるいは猫同士のケンカなどによって起こります。
室内飼育を徹底することでそれらのリスクをかなり少なくできると考えられます。
爪をこまめに切ってあげましょう。
爪が伸びていると、引っかけて折れてしまったり巻き爪になって皮膚に刺さってしまうことがあるほか、伸びた爪が歩行の妨げになり、フローリングで滑って転んだりバランスを崩すことで不意に怪我をすることにもつながります。
特に高齢の猫では爪とぎの頻度が落ち、爪が太く分厚くなってしまうことが多いため、こまめに爪を切って、肉球でしっかりと着地できるようにしてあげましょう。
猫の「脚をつかない」症状の治療方法について
外傷に応じた治療を行います。
外傷が原因の場合、それぞれに対応した治療を行います。
表面的な傷に対しては洗浄や包帯などによる保護を行い、感染予防・治療のために抗生物質を投与します。
脱臼や骨折が起こっている場合には、手術による整復が必要です。
皮膚炎に対する治療を行います。
ニキビダニ症など感染症が原因の場合は、内服薬や外用薬、必要に応じて薬浴・シャンプー療法などを組み合わせて治療を行います。
アレルギー性疾患の場合、根本的な解決のためにはアレルゲンを除去することが必要です。
しかしアレルゲン除去が難しい場合には、ステロイド剤や免疫抑制剤などの投与で症状を緩和する治療が必要になる場合もあります。
ストレスなどによって手足の先を舐めてしまう場合には、ストレスを緩和する環境づくりに努め、スキンシップを積極的に行うことでストレスを発散させてあげるようにしましょう。
腫瘍性疾患の治療の多くは手術が必要です。
腫瘍によって脚を着かなくなっている場合、ほとんどの場合は手術が必要になります。
肢端付近にできた腫瘍や、大きな腫瘍による圧迫のために脚が着きにくくなっている場合は、腫瘍自体が良性であれば切除によって予後は良好です。
しかし、骨自体の腫瘍や、骨に浸潤するような腫瘍の場合は悪性のことが多く、痛みを取り除くために断脚を余儀なくされる場合もあります。
進行の程度(転移している、腫瘍が取り切れない場合など)によっては術後に抗ガン剤治療などを併用することが必要になります。