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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の「頭を強くふる」症状とは

耳を気にする様子が見られます

猫は耳に違和感があると頭を強く振ったりしきりに掻いたりする仕草を見せます。
耳の中に小虫や毛が入り、一過性に頭を強く振るだけであれば特に問題はありませんが、何度もしきりに頭を振っている場合には耳の中などに何らかの異常が生じている可能性があります。
頭を振る様子が継続する場合や、以下のような症状がみられる場合には一度病院で診てもらいましょう。

・耳の中が汚れている
・耳をしきりに掻く
・耳や顔の毛が抜けてうすくなっている
・耳や顔を掻いて傷になっている
・皮膚に瘡蓋や湿疹がある
・耳から悪臭がする
・耳垂れがある
・耳が腫れている

まっすぐ歩けない、首が傾いているなどといった症状がみられる場合もあります。

耳を気にする症状の他に、耳の奥にある平衡感覚をつかさどる「前庭」という部分に異常がみられる時のような症状や、神経症状がみられることがあります。
以下にその例を挙げます。

・首が片方に傾いている(斜頚)
・立とうとするが転んでしまう
・まっすぐ歩けない(フラフラする)
・グルグル回る
・目が小刻みに揺れている(眼振)
・嘔吐する
・涎を大量に垂らす
・けいれん発作を起こす
・意識が朦朧としている

これらの症状がみられる場合は、命に関わる問題が起こっている可能性もあるため、速やかに病院へ連れて行きましょう。

猫の「頭を強くふる」症状の考えられる病気(原因)とは

耳の中や皮膚に問題が起こっています。

耳に違和感を生じる原因には、外耳炎などの耳の炎症と、皮膚炎によるものがあります。

耳の異常
・外耳炎
・中耳炎
・内耳炎
・耳ダニ症
・耳の中の異物
・鼻咽頭ポリープ
・耳道内腫瘍
・耳血腫

皮膚の異常
・疥癬症
・アレルギー性皮膚炎(食べ物やノミなど)
・アトピー性皮膚炎
・免疫介在性皮膚炎(天疱瘡など)
・皮膚血管炎
・マダニの刺咬 など

外に出る猫でよくみられるのは耳ダニ(耳ヒゼンダニ)症です。
耳の中に黒っぽい耳垢が多くたまり、激しく掻いている場合には耳ダニ症の疑いが強くなります。
同居の猫がいる場合には容易にうつってしまいますので、できるだけ早く治療を行うことが必要です。

他には耳の中に炎症や刺激を起こす疾患、耳周囲の皮膚に痒みや炎症を起こしやすい皮膚病などが考えられます。
いずれの場合も自然に治ることはあまりありませんので、悪化する前に治療しましょう。

前庭疾患の可能性があります。

外耳炎が悪化して中耳・内耳まで波及した場合や、外耳炎とは関係なく特発性に前庭に問題が生じていることが原因の場合もあります。

前庭は耳の奥にある平衡感覚をつかさどる器官で、異常が起こった時の症状は割と特徴的です。
斜頚や眼振などがみられるため異常には気づきやすいですが、炎症によるものなのか中耳や内耳にできた腫瘍性の病変が原因なのか、あるいは原因不明の特発性前庭疾患なのか、耳の奥の異常を詳しく検査するためには、CT検査などが必要になる場合もあります。

脳や神経の異常によって起こっている可能性があります。

頭を振る仕草に加え、前庭症状や神経症状がみられる場合には、脳や神経に異常が起こっている可能性もあります。

脳炎や髄膜炎、脳腫瘍などが隠れている場合もありますので、他の原因が除外された場合には精密検査としてCT・MRI検査などが必要になります。

猫の「頭を強くふる」症状の好発品種について

好発する品種はありません。

品種による好発傾向は特にありません。

猫の「頭を強くふる」症状の予防方法について

寄生虫症は室内飼育で予防できます。

耳ダニ、疥癬、ノミ、マダニなど、外部寄生虫は屋外で感染が成立することがほとんどです。
室内飼育を徹底していればこれらの感染機会を減らすことになり、予防効果は非常に高いといえます。

またこれらを予防・治療するためのお薬もあります。
全身に吹きかけるスプレータイプや背中に垂らすスポット剤などがあり、一度つけると1か月~3か月ほど効果が持続します。

愛猫の生活スタイルに合わせてこのような予防薬を使用することも検討してみましょう。

猫の「頭を強くふる」症状の治療方法について

耳や皮膚の炎症には内科治療を行います。

耳の中や皮膚で起こった炎症を抑えるためには、耳の洗浄や点耳薬、皮膚の外用薬、二次感染予防のための抗生物質投与、消炎剤投与などを行います。

それとともに、外部寄生虫が原因の場合は駆虫薬で駆虫を行います。
駆虫薬としては注射薬(疥癬などに対して)や体に塗布するタイプ(スプレー剤、スポット剤)のお薬などがあります。

外耳炎以外の皮膚疾患の場合は、原因によって治療方法は様々ですので、診断に基づいて内科治療を行います。

アレルギーやアトピー性皮膚炎によって耳に炎症が起こっている場合は、アレルゲンをできるだけ除去することが必要ですが、難しい場合には抗ヒスタミン剤やステロイド剤、免疫抑制剤などの投与で症状を緩和します。

免疫異常によって起こる皮膚炎の場合には、診断のために皮膚生検が必要です。
天疱瘡などでは免疫抑制剤やステロイド剤の内服、外用薬を併用して治療を行います。
皮膚血管炎などの場合は、皮膚の血流を改善するお薬(ペントキシフィリン)や、症状が重度の場合にはステロイド剤や免疫抑制剤を投与します。

ステロイド剤の長期にわたる高用量投与や免疫抑制剤の投与にあたっては、副作用が現れることもあるため、投与量の調整などは慎重に行う必要があります。

外科治療が必要なケースもあります。

鼻咽頭ポリープや耳道内の腫瘤・腫瘍、耳血腫などの場合は、外科的な治療も必要になることがあります。

耳道内に占拠した腫瘤が、耳道を狭窄させたり閉塞させることが耳の違和感や炎症の原因となっている場合、病変が良性であっても切除を検討します。

鼻咽頭ポリープなどは耳の奥の鼓室胞という部分から発生していることがあり、それが耳の中に突出してくると耳を気にするようになります。
引き抜くような形で切除することもありますが、再発することもあり、その場合は鼓室胞を切開することが必要になります。

耳道の腫瘍は、有茎状であれば付け根で切除できるケースもありますが、多発している場合や付け根がくびれていないようなタイプのもの、あるいは悪性腫瘍が疑われる場合には、耳道切開や耳道切除など、やや侵襲性の高い手術が必要です。

これらの手術に伴って顔の神経に後遺症(麻痺)などが起こる可能性もあるため、手術前にそれらのリスクをしっかりと説明してもらいましょう。

耳血腫の場合には、血腫になっている部分を切開し、皮膚を縫合して圧着する手術を行うことがありますが、血腫を切開せずに注射薬を注入して治療する方法もあります。

脳や神経の異常に対しては内科治療や外科治療を検討します。

脳の腫瘍等が見つかった場合には、根本的な治療としては外科切除が必要です。
しかし腫瘍の大きさや場所によっては、手術が難しいこともあり、その場合には対症療法で症状を緩和する治療を行います。

脳炎や髄膜炎などの場合には、感染が疑われるケースでは抗生物質、抗真菌剤など感染原因に対する治療を行いながら、症状に応じて抗けいれん薬、炎症を抑えるためにステロイド剤などを慎重に投与します。

特発性前庭疾患の場合には効果的な治療方法はありません。
特に投薬を行わなくても数日で症状が改善傾向になることが多く、それまでの間はバランスを崩すことで二次的に怪我をしないよう、サークルに入れる、ぶつかりやすい場所には緩衝材を設置するなど、環境を整えてあげることが必要です。
後遺症として斜頚が残ってしまうことがありますが、多くは猫自身が徐々に順応してうまく生活できるようになります。

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