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Youtube 病気辞典
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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の「頭を強くふる」症状とは

耳に炎症が起こっている可能性があります。

犬が頭を強くふる場合、耳に炎症が起こっている可能性があります。

耳の痒み、痛み、違和感などが原因となって頭を強く振ります。

頭を振り始めた初期の段階で放置してしまうと、様々な疾患が続発してしまうため注意が必要です。

犬の「頭を強くふる」症状の考えられる病気(原因)とは

外耳炎

外耳炎は、鼓膜より外側の耳道に発生する炎症により引き起こされる疾患です。

外耳炎の原因はアレルギー性疾患と関連している場合が多いですが、他の原因としましては、細菌感染、マラセチアの増殖、寄生虫、異物、腫瘤、角化異常、内分泌疾患、自己免疫性疾患などが挙げられます。これらのうちのいくつかが複合的に絡み合い、状態を複雑化して慢性化することがあります。

外耳炎の症状は、耳の痒みや疼痛から頭を振る、耳介の紅斑、腫脹、肥厚など様々です。

中耳炎

外耳炎と同じように、頭を振る、頭をこする、耳介や耳の穴を掻く、といった症状が見られることが多いとされています。飼い主さんが愛犬の異常な耳の臭いに気づかれることもあります。痛みや違和感があることもあり、耳周辺を触ると嫌がることもあります。

中耳炎の時の耳垢は、外耳炎の時の耳垢とは異なり、黄色く水っぽい膿汁が耳の奥から発生します。検耳鏡によって耳垢を観察することで診断できることもありますが、CT検査やMRI検査による評価が必要になることもあります。

耳血腫

耳介の皮膚と耳介軟骨の間、あるいは耳介軟骨内に血様漿液が貯留して耳介が腫れる疾患です。耳介が変形してしまうことや再発することもあります。

頭を強く振る、耳が急に腫れる、耳を気にする、などの症状が見られます。この耳の腫れは、耳介の皮膚と耳介軟骨の間、あるいは耳介軟骨内に血様漿液が貯留している状態です。

症状が出始めた急性期は、耳介内側の腫れや熱感、耳介の痛みから頭周辺を触られるのを嫌がる、といった症状が見られるようになります。耳介の腫れは、耳介全体で見られることが一般的ですが、耳介の先端など部分的なこともあります。

耳血腫は治療せず経過観察すると、1か月程度で腫れが引くとされています。この時に耳介が変形したり肥厚してしまいます。その結果、外耳道口(耳の穴)が狭くなり慢性の痒みを引き起こすことがあります。耳介の正常な形態を保つためにも治療が必要になります。

犬の「頭を強くふる」症状の好発品種について

全犬種で好発します。

外耳炎は、耳の垂れている犬でよくみられる疾患です。これは耳が蓋をしてしまうことで湿度が高まり、細菌やマラセチアの増加しやすい環境になってしまうことが原因です。

中耳炎、耳血腫は外耳炎から続発するため、耳の垂れている犬種が好発犬種と言えます。

犬の「頭を強くふる」症状の予防方法について

症状の早期発見・早期治療、耳の定期的なケアをおこないます。

外耳炎は、正しい方法で耳掃除をおこなうことである程度の予防効果を期待できます。また、定期的な耳のケアをおこなうことが早期発見・治療につながります。

外耳炎の予防をおこなうことが中耳炎、耳血腫の予防につながると言えます。

犬の「頭を強くふる」症状の治療方法について

外耳炎

外耳炎の治療は、何らかの基礎疾患を抱えている場合は、その治療と並行して外耳炎の治療をおこないます。

耳垢の蓄積が認められる、耳道の炎症が軽度~中等度、重度の疼痛がない、明らかな鼓膜の損傷がない、症例の性格がおとなしい、などの条件が揃っている場合、外耳道洗浄の適応となります。

軽度~中等度の外耳炎には、点耳薬が有効となります。外耳道の洗浄が可能な場合は、洗浄後に点耳薬を使用します。

場合によって内科療法もおこないます。
細菌感染が認められないもしくは軽度の場合、疼痛が重度の場合は、副腎皮質ホルモン剤の投与をおこないます。
耳垢検査にて多量の菌体や好中球が検出された場合は、抗生物質の投与をおこないます。
耳垢検査にてマラセチアの増殖が確認された場合は、抗真菌剤の投与をおこないます。

中耳炎

中耳の洗浄をおこない、中耳内に抗生物質を注入します。外耳炎の治療で抗生物質を長期間使っていた場合は、細菌培養検査、薬剤感受性試験をおこなうことが推奨されています。抗生物質の注入とともに、抗生物質の内服をおこないます。抗生物質の内服は4週間程度おこないますが、4週間で改善が見られない場合は、CT検査やMRI検査を検討する必要があります。また、抗生物質と一緒に消炎剤を内服することもあります。

耳血腫

耳血腫は、治療をしなくても1ヶ月程度で漿液の貯留が落ち着くとされています。また、どのような治療方法であっても1ヶ月程度で治療は終了するため、予後は良好と言えます。しかし耳介の著しい変形や肥厚を招いてしまいますと、慢性の痒みを引き起こしたり、美観を損なってしまうため、これらが起こらないような治療方法を選択しましょう。

最も簡単な方法としましては、貯留している液体を繰り返し吸引する方法があります。麻酔や鎮静処置などは必要ないというメリットはありますが、複数回になってしまう、処置による恐怖を与えてしまう、耳介が変形しやすい、といったデメリットがあります。

外科的療法としましては、パンチドレナージ法があります。これは、皮膚生検用のパンチで耳介に複数箇所穴を開ける方法です。貯留液、血餅を全て除去し、縫合します。抜糸まで可能な限り基礎疾患の治療をおこないます。この方法は再発が少ないとされています。

外科的療法ができない場合、内科的療法をおこないます。副腎皮質ホルモン剤の内服、副腎皮質ホルモン剤の耳介への注入、などの方法があります。
耳介へインターフェロンを注入する方法もあります。この方法は、簡単におこなうことができ、耳介が変形しにくいというメリットがありますが、薬剤が高価であるというデメリットがあります。

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