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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の「トイレの失敗」症状とは

何らかの疾患が隠れている可能性があります。

犬は猫と違い一所で排泄する習慣を持っているわけではありません。犬が決まったトイレで排泄するのは、寝床を綺麗に保てる、飼い主さんからご褒美がもらえる、などのメリットがあるためです。
一度決まったトイレでの排泄を覚えた犬は、メリットがあるためトイレでの排泄を続けますが、様々な理由でトイレ以外の場所で排泄してしまうことがあります。

トイレが汚れているためトイレで排泄したくない、ご褒美がもらえなくなったためトイレで排泄するメリットが無くなった、未去勢のオスや未避妊のメスの発情期に見られるマーキング、などの可能性が考えられます。

その他の原因として、何らかの疾患が隠れている可能性があります。

犬の「トイレの失敗」症状の考えられる病気(原因)とは

泌尿器疾患

・膀胱炎

膀胱炎は犬でよく見られる疾患、膀胱内で何らかの炎症が起きている状態です。

会陰部、消化器、生殖器などの常在菌が尿道を介して感染します。原因菌としては、大腸菌、ブドウ球菌、腸球菌などが多く見られます。
症状としては、不適切な排尿、頻尿、血尿、異臭を伴う混濁尿などの症状がよく見られます。



・膀胱結石

膀胱内に結石が溜まってしまう疾患を膀胱結石と呼びます。膀胱内に結石があると膀胱炎症状が見られます。
初期は、不適切な排尿、頻尿、血尿が見られ、排尿痛などが見られることもあります。
ストルバイト結石が見られる場合、細菌感染を伴うことが非常に多く認められます。細菌感染ある場合は尿臭が変化したり、尿に膿が混じってくることもあります。

膀胱内の結石が、膀胱から尿道への入り口である内尿道口に詰まってしまう可能性はありますが、完全閉塞を起こすことは稀です。万が一閉塞を起こしてしまいますと、急性腎不全になり、食欲不振、嘔吐、下痢、乏尿、無尿、腹痛などが見られるようになります。

多飲多尿になる疾患

・糖尿病

糖尿病は、インスリンの不足、欠乏により、血糖値の上昇を引き起こした状態です。

血糖値の上昇は血液の浸透圧を上昇させ、血管外の水分を血管内に引き込みます。血管内の水分が過多になり尿から排出される多尿が見られます。細胞は脱水状態になり、脱水を解消しようと水を過度に飲む多飲が引き起こされます。
その結果尿量が増え、不適切な排尿、頻尿などの症状が見られます。



・副腎皮質機能亢進症

副腎皮質機能亢進症は、慢性的に過剰なコルチゾール分泌によって生じる臨床的・生化学的変化のことを言います。

副腎皮質機能亢進症の自然発生性の原因は、下垂体ACTH産生腫瘍を原因とする下垂体依存性、副腎腫瘍を原因とする副腎依存性、過剰または長期的なグルココルチコイド投与を原因とする医原性があります。犬では下垂体依存性の発生頻度が厄85%を占めるとされています。

臨床症状としては、多飲多尿による不適切な排尿や頻尿、多食、腹部膨満、皮膚のトラブル(脱毛、石灰沈着、菲薄化など)が見られます。

犬の「トイレの失敗」症状の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

膀胱炎はあらゆる犬種で見られる疾患です。

膀胱結石の中でもストルバイト結石は、シーズー、ウェルシュコーギーペンブローク、柴犬などが好発犬種となります。シュウ酸カルシウム結石は、ミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリア、ラサアプソ、パピヨンなどが好発犬種となります。

糖尿病は、ゴールデンレトリーバー、キースホンドが好発犬種です。これらの犬では若齢で糖尿病が発症しやすいと言われています。

副腎皮質機能亢進症は、トイプードル、ミニチュアダックスフンド、ミニチュアシュナウザー、ボストンテリア、ボクサー、ビーグルなどの犬種が好発犬種として挙げられます。

犬の「トイレの失敗」症状の予防方法について

泌尿器疾患は予防できる場合があります。

健康診断や膀胱炎などの疾患の際、尿検査を受けることがありますが、ストルバイト結晶やシュウ酸カルシウム結晶が見つかった場合は注意が必要です。結石の生成を防ぐためには、結晶ができにくい療法食を与える、おやつを与え過ぎない、など食餌面で気を付けましょう。

また、結石の予防、膀胱炎の予防には飲水量の管理も重要と言われています。飲水量を増やすことで結石のもととなる物質の濃度を薄める、膀胱を洗浄する尿の産生を増やす、などが有効とされています。ウェットフードを与える、ドライフードをふやかして与えるなどして、飲水量の確保をしましょう。

副腎皮質機能亢進症、糖尿病には予防方法は無いため、早期発見・早期治療をおこないます。多飲多尿に気が付いたらすぐに動物病院に相談しましょう。

犬の「トイレの失敗」症状の治療方法について

泌尿器疾患

・膀胱炎
膀胱炎の治療の中心は抗菌剤になりますが、抗菌剤が適切に使用されなかった場合には、感染の持続や再発、薬剤耐性菌の出現などの問題が発生する可能性があるため注意が必要です。

排尿痛など強い炎症が疑われる場合、臨床症状を緩和するために抗炎症剤を使用することもあります。

初期治療に対して反応が悪かった場合、尿の好気性細菌培養検査、薬剤感受性試験をおこない、その結果から抗生剤の選択をします。



・膀胱結石
膀胱結石がストルバイト結石のような溶解性の結石である場合は、内科療法によってゆっくりと結石を溶解する治療を試みます。ストルバイト結石である場合、同時に細菌感染が認められることが多いため、抗生物質の投与をおこないます。尿のpHを低下させる療法食やサプリメントを摂取し、飲水量を増やすようにします。

尿道結石が非溶解性であるシュウ酸カルシウム結石である場合や、内尿道口で閉塞を起こしている場合は、外科療法が第一選択となります。膀胱を切開して結石を取り除きます。

多飲多尿になる疾患

・糖尿病
生涯インスリンの投与が必要となります。一般的には1日2回のインスリンの皮下投与をおこないます。定期的な検査を受け、その都度インスリンの投与量や食事量の調節が必要となることもあります。

食事は糖尿病療法食が推奨されます。これは、低炭水化物、高繊維のフードによって食後の高血糖が抑えられるためです。しかしながら、インスリンの投与で良好な血糖コントロールが出来ている場合は、一般の総合栄養食の給与も可能とされています。



・副腎皮質機能亢進症
下垂体依存性の副腎皮質機能亢進症の治療には、高コルチゾール血症の緩和を目的とした内科療法、疾患の原因である下垂体腫瘍の切除を目的とした外科療法、下垂体腫瘍の縮小を目的とした放射線療法があります。
下垂体腫瘍の直径が10mmを超える場合は外科療法や放射線療法を第一に検討されますが、犬の下垂体腫瘍の多くは直径10mm未満であるため、内科療法が選択されることが多いです。

副腎依存性の副腎皮質機能亢進症の治療の第一選択は、外科的な副腎摘出となります。しかし、副腎付近の大血管への浸潤や遠隔転移などによって外科的な治療が困難な場合は、QOL改善を目的とした内科療法が選択されます。

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