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Youtube 病気辞典
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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の「粘膜が白っぽい」症状とは

貧血を引き起こしている可能性があります。

粘膜が白くなっている場合、貧血を引き起こしている可能性があります。

貧血は、血液中の赤血球が減少している状態のことを言います。赤血球は体内に酸素を送り届ける役割があります。貧血になってしまいますと、酸素が不足してしまうことで元気が無くなったり、食欲が落ちてしまうことがあります。

貧血の原因としましては、事故などによる大量の出血、赤血球が壊されてしまう疾患、赤血球が造られなくなってしまう疾患などが挙げられます。

犬の「粘膜が白っぽい」症状の考えられる病気(原因)とは

免疫介在性溶血性貧血

免疫介在性溶血性貧血は、自己免疫が関わっている疾患のひとつです。免疫細胞や抗体は、本来は自分と自分以外を見分けて、体内に侵入した異物を攻撃します。しかし、異物を認識する仕組みに何らかの原因で問題が生じてしまいますと、自分自身を攻撃してしまうことがあります。自分の赤血球を異物であると誤って判断して攻撃してしまい、溶血性貧血を引き起こす疾患が免疫介在性溶血性貧血です。

貧血の症状としましては、白眼や口の粘膜が白っぽくなる、活動性が低下するといったものが見られるようになります。さらに症状が進行してしまいますと、激しい溶血が起こり、血色素尿が排泄されたり、黄疸により白眼や口の粘膜が黄色っぽくなり、発熱する場合もあります。

バベシア症

バベシア症とは、赤血球に規制するバベシア原虫による感染症であり、とくに西日本で問題になっています。バベシア原虫は、マダニによって媒介されますが、輸血や闘犬時の血液の接触でも感染することがあります。

バベシア症が発症すると、溶血性貧血、血小板減少症、脾腫が見られることが多く、発熱やC反応性蛋白(CRP)の認められることがあります。全身的な炎症反応から白血球数が増加することが多いですが、まれに白血球減少症が見られることもあります。

バベシア症は、免疫介在性溶血性貧血と臨床所見がほぼ同一であるため、西日本などのバベシア症が認められる地域では特に注意が必要とされています。

慢性腎不全

慢性腎不全とは、さまざまな腎臓の疾患が原因となり、慢性的な腎機能の障害が見られる疾患です。慢性腎不全は、悪性腫瘍、心臓病に次いで多い犬の死因になります。

慢性腎不全では腎臓のろ過、再吸収機能が機能しなくなっていき、体内の水分を保持できなくなります。そのため、多飲・多尿が引き起こされます。
血液中に含まれる老廃物を体外に排出できなくなることで、蛋白質の代謝物である尿素窒素による中毒症状である尿毒症が引き起こされます。尿毒症とは、腎不全で起きる症状の全てを指します。尿毒症では全身の臓器が障害され、嘔吐や食欲低下などの消化器症状や、意識障害、沈鬱、痙攣などの神経症状が見られることがあります。
さらに、腎臓から産生されていた造血ホルモンが産生されなくなることで、貧血(腎性貧血)が見られるようになります。

犬の「粘膜が白っぽい」症状の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

免疫介在性溶血性貧血は、アイリッシュセッター、アメリカンコッカースパニエル、シーズー、トイプードル、マルチーズなどが好発犬種とされています。

バベシア症は、感染症であるためあらゆる犬種で見られます。

慢性腎不全は、ケアーンテリア、サモエド、シーズー、ジャーマンシェパード、チャウチャウ、バセンジー、ビーグル、ブルテリア、ラサアプソなどに遺伝的素因があるとされています。

犬の「粘膜が白っぽい」症状の予防方法について

バベシア症はマダニの感染を予防します。

バベシア症は、マダニによって媒介される寄生虫であるため、マダニによる吸血を避けることが重要です。マダニは5~10日間犬に寄生して抗凝固因子やバベシア原虫を含む唾液の注入と吸血を繰り返します。バベシア原虫が犬に寄生するには少なくとも2~3日間の寄生が必要となるため、定期的なマダニの寄生予防が重要です。

免疫介在性溶血性貧血および慢性腎不全は、早期発見、早期治療が重要になります。

犬の「粘膜が白っぽい」症状の治療方法について

免疫介在性溶血性貧血

免疫介在性溶血性貧血の導入療法としまして、副腎皮質ホルモン剤の投与が推奨されています。導入療法で7日以内に反応が見られなかった場合は、免疫抑制剤を加えます。

免疫介在性溶血性貧血の死亡原因の多くは肺血栓症や播種性血管内凝固であると言われています。免疫介在性溶血性貧血の治療において、抗血小板療法をおこなった症例では、おこなわなかった症例よりも明らかに生存期間が長かったという報告があります。そのため、抗血小板薬や抗凝固薬の投与をおこないます。

抗体産生抑制、赤血球貪食と破壊の場所を除く、といった目的で脾臓の摘出をおこなう場合があります。

バベシア症

バベシア症の治療には、寛解導入治療と寛解維持治療があり、それぞれの薬剤を併用することになります。

寛解導入療法に用いられる薬剤は、比較的速やかに虫体の駆除を可能としていますが、薬剤耐性を生じることがあるため再発が懸念されます。一方で寛解維持療法に用いられる薬剤は、虫体の迅速な駆除や臨床症状の早期改善には効果は低いとされていますが、再発には有用であるとされています。再発防止のために3か月程度投薬を継続することがあります。

バベシアは適切に治療していても体内から完全に駆虫することが困難であるとされているため、様々なストレス、免疫抑制剤の投与、脾臓摘出などにより再燃する可能性があるため、生涯再発を警戒する必要があります。

慢性腎不全

慢性腎不全の場合、吸着剤の投与、血管拡張薬の投与、輸液、療法食の給餌をおこないます。
貧血改善のために鉄補給剤の投与をおこないます。鉄欠乏の無い腎性貧血が疑われる場合は、造血ホルモン製剤の投与を行います。週1回から投与を開始し、貧血の改善が見られたら投与間隔を延長します。ビタミンB12の筋肉内投与を同時に行うこともあります。

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