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Youtube 病気辞典
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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の「多尿」症状とは

尿量が増えたと感じたら要注意です。

暑い時期や、興奮しやすくハアハアしやすい子は飲水量が多くなるため、尿量が増えてしまうことがあります。このような場合は問題無いと言えますが、このような理由も無く飲水量が増えて尿量が増えている場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があります。

朝一番などの長時間我慢した後の排尿が薄い場合は、疾患の可能性が高いため特に注意が必要です。

犬の「多尿」症状の考えられる病気(原因)とは

慢性腎不全

慢性腎不全とは、さまざまな腎臓の疾患が原因となり、慢性的な腎機能の障害が見られる疾患です。慢性腎不全は、悪性腫瘍、心臓病に次いで多い犬の死因になります。

慢性腎不全では腎臓のろ過、再吸収機能が低下していき、体内の水分を保持できなくなることで多尿が引き起こされます。多尿が引き起こされた結果、常に脱水の状態になってしまい、多飲が引き起こされます。
血液中に含まれる老廃物を体外に排出できなくなることで、蛋白質の代謝物である尿素窒素による中毒症状である尿毒症が引き起こされます。尿毒症とは、腎不全で起きる症状の全てを指します。尿毒症では全身の臓器が障害され、嘔吐や食欲低下などの消化器症状や、意識障害、沈鬱、痙攣などの神経症状が見られることがあります。

さらに、腎臓から産生されていた造血ホルモンが産生されなくなることで、貧血(腎性貧血)が見られるようになります。

糖尿病

糖尿病は原因の違いによりⅠ型糖尿病、Ⅱ型糖尿病に区分されます。
Ⅰ型糖尿病ではインスリンを分泌する組織である膵臓がウイルスや自己免疫疾患(免疫機構が自己組織を攻撃する)、急性膵炎などの原因によって破壊され、インスリンを分泌することができなくなる、もしくはほとんど分泌できない状態になります。クッシング症候群、ステロイド剤の長期投与が原因となることもあります。
Ⅱ型糖尿病ではインスリン分泌能ではなく、細胞のインスリンを受け入れる力が低下します(インスリン抵抗性が発生する)。遺伝的要因や肥満などの因子によりⅡ型糖尿病は発生しますが、犬では稀です。
また、避妊手術を受けていない雌の場合、発情後の黄体期にインスリン抵抗性が見られることで糖尿病を発症することがあります。

血糖値の上昇は血液の浸透圧を上昇させ、血管外の水分を血管内に引き込みます。血管内の水分が過多になり尿から排出される多尿が見られます。細胞は脱水状態になり、脱水を解消しようと水を過度に飲む多飲が引き起こされます。
高血糖による血管障害により腎不全が引き起こされることもあります。
高血糖が続くと眼球内の水晶体にソルビトール、糖化蛋白と呼ばれる物質が蓄積することで水分を引き込み、白濁が広がっていきます。これを糖尿病性白内障と呼びます。
高血糖が続くことで、白血球の働き自体が悪くなる、血流が悪くなることで白血球が感染部位に到達しにくくなる、などの理由から感染症にかかりやすくなります。特に膀胱炎や子宮蓄膿症などの泌尿生殖器の感染症や皮膚の感染症が多く見られます。

クッシング症候群

副腎皮質機能亢進症は、慢性的に過剰なコルチゾール分泌によって生じる臨床的・生化学的変化のことを言います。

副腎皮質機能亢進症の自然発生性の原因は、下垂体ACTH産生腫瘍を原因とする下垂体依存性、副腎腫瘍を原因とする副腎依存性、過剰または長期的なグルココルチコイド投与を原因とする医原性があります。犬では下垂体依存性の発生頻度が厄85%を占めるとされています。

臨床症状としましては多飲多尿が見られますが、これはコルチゾールの過剰分泌により多飲が引き起こされ、その結果多尿が見られます。その他に多食、腹部膨満、皮膚のトラブル(脱毛、石灰沈着、菲薄化)などが見られます。

犬の「多尿」症状の好発品種について

以下の犬種で好発がみられます。

慢性腎不全は、ケアーンテリア、サモエド、シーズー、ジャーマンシェパード、チャウチャウ、バセンジー、ビーグル、ブルテリア、ラサアプソなどに遺伝的素因があるとされています。

糖尿病は、ゴールデン・レトリーバー、キースホンドが好発犬種とされています。

クッシング症候群は、トイプードル、ミニチュアダックスフンド、ミニチュアシュナウザー、ボストンテリア、ボクサー、ビーグルなどの犬種が好発犬種として挙げられます。

犬の「多尿」症状の予防方法について

早期発見・早期治療します。

予防方法は無いため、早期発見、早期治療が重要になります。
今までよりも尿量が多いと感じた時はなるべく早くかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

犬の「多尿」症状の治療方法について

慢性腎不全

慢性腎不全の場合、吸着剤の投与、血管拡張薬の投与、輸液、療法食の給餌をおこないます。
貧血改善のために鉄補給剤の投与をおこないます。鉄欠乏の無い腎性貧血が疑われる場合は、造血ホルモン製剤の投与を行います。週1回から投与を開始し、貧血の改善が見られたら投与間隔を延長します。ビタミンB12の筋肉内投与を同時に行うこともあります。

糖尿病

犬の糖尿病の治療では、生涯インスリンの投与が必要となります。一般的には1日2回のインスリンの皮下投与をおこないます。定期的な検査を受け、その都度インスリンの投与量や食事量の調節が必要となることもあります。また、食事は糖尿病療法食が推奨されます。これは、低炭水化物、高繊維のフードによって食後の高血糖が抑えられるためです。しかしながら、インスリンの投与で良好な血糖コントロールが出来ている場合は、一般の総合栄養食の給与も可能とされています。

クッシング症候群

クッシング症候群の治療方針は、下垂体依存性か副腎依存性によって異なります。

下垂体依存性の治療法には、高コルチゾール血症の緩和を目的とした内科療法、疾患の原因である下垂体腫瘍の切除を目的とした外科療法、下垂体腫瘍の縮小を目的とした放射線療法があります。
下垂体腫瘍の直径が10mmを超える場合は外科療法や放射線療法を第一に検討されますが、犬の下垂体腫瘍の多くは直径10mm未満であるため、内科療法が選択されることが多いです。

副腎依存性の治療法の第一選択は、外科的な副腎摘出となります。しかし、副腎付近の大血管への浸潤や遠隔転移などによって外科的な治療が困難な場合は、QOL改善を目的とした内科療法が選択されます。

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