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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の多発性嚢胞腎とは

腎臓にたくさんの嚢胞ができる病気です。

多発性嚢胞腎は、腎臓にたくさんの嚢胞(液体をためた袋)が形成され、正常に機能する腎臓組織が減少し、腎機能が低下する遺伝性の病気です。
比較的若い時期から腎嚢胞が形成され始め、加齢とともに徐々に嚢胞の数、大きさが増加、腎機能が進行性に低下し、将来的には腎機能不全により命を落としてしまいます。

猫の多発性嚢胞腎の症状とは

初期は無症状です。

初期にはほとんど症状を示しません。
腎臓は多少機能が低下しても正常に機能する組織がある程度残っていれば、その部分が機能を代償して働くことができるため、腎機能の75%が障害されても目立った症状は出ないとされています。

しかし、無症状の期間にも腎臓には徐々に嚢胞が形成されていきます。
運が良ければ、健康診断や他の疾患に対して行う超音波検査で、偶発的に発見されることがあります。

正常な腎臓の組織が減少すると症状が現れます。

多くの場合、3歳~10歳の間に症状が出始めます。
腎嚢胞が重度になり、残された正常な腎臓組織による体の老廃物の排泄が間に合わなくなると、腎不全の症状が現れ始めます。

水をたくさん飲んでおしっこをたくさんする多飲多尿や、食欲不振、元気消失、嘔吐、脱水などの他、貧血なども徐々に進行します。

末期になると尿毒症によって強い吐き気が起こり、涎を垂らしたり、ごはんが食べられなくなり、痙攣などの神経症状を示すこともあります。

猫の多発性嚢胞腎の原因とは

遺伝性疾患です。

多発性嚢胞腎は遺伝によっておこる病気です。
常染色体優性遺伝によって、親猫から子猫に遺伝します。
親猫のどちらかが多発性嚢胞腎の遺伝子を持っていた場合、子猫が発症する確率は50%以上となるため、繁殖させないことが望まれます。

初期には症状が出ない病気のため、一般的な検査ではなかなか気づくことができません。
しかし、遺伝子検査を受ければ、発症前でもほぼ診断できる病気です。
1~2歳で繁殖を希望する場合には、一度遺伝子検査をしておくと安心です。

猫の多発性嚢胞腎の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

とくにペルシャで認められています。ペルシャの約40%が多発性嚢胞腎に罹患しているという報告もあるようです。
他にもエキゾチックショートヘア、ブリティッシュショートヘア、ヒマラヤン、スコティッシュフォールド、アメリカンショートヘアなどで、多発性嚢胞腎の遺伝子を持つことが報告されています。
しかし、純血種だけでなく、雑種猫でも発生はあるので、注意が必要です。

猫の多発性嚢胞腎の予防方法について

遺伝子に異常がみられた場合は繁殖させないようにしましょう。

多発性嚢胞腎の遺伝子を持つ猫を繁殖させないことでしか予防することはできません。
遺伝子検査で、多発性嚢胞腎の遺伝子を持つことがわかったら、できれば早めに避妊・去勢手術をしましょう。

遺伝子検査をしていなくても、両側の腎臓に嚢胞が多数形成されているような猫は、ブリーディングしない方が無難です。

治療法のない病気なので、不幸な動物を増やさないためにも、繁殖を控えることが大切です。

猫の多発性嚢胞腎の治療方法について

できるだけ正常な腎臓を保護する治療を行います。

多発性嚢胞腎を治す方法は現在のところありません。
残った腎臓をできるだけ保護し、負担をかけないように生活することで少しでも長く生きられるようにしてあげることが治療のメインになります。

治療法は慢性腎不全の治療と同じ方法になります。

できるだけ腎臓にかかる負担を減らすため、食事療法として、早期に腎臓病用の処方食に切り替えることをお勧めします。

また、腎不全の進行段階で起こるタンパク尿や高血圧を抑制する内服薬を服用して、できるだけ残った腎臓組織に負担をかけないようにします。

多尿によって脱水が起こっている場合には、皮下点滴などで水分補給し、脱水の改善とともに老廃物の排泄を促しましょう。

また、進行するにつれ吐き気が強くなり、食事をとることが難しくなってしまいます。
食欲がなくなると、一気に体力が落ち、トイレや水場へも歩いていけなくなってしまい、そのまま寝たきりになってしまうことが多いため、積極的に吐き気止めを使用し、食欲があまり落ちないようにしてあげましょう。

末期になると、腎臓から分泌される造血ホルモンが足りなくなり、貧血がおこります。
これは注射で補給することができるので、定期的に血液検査を受け、必要に応じて注射をしてもらいましょう。

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