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監修: 葛野 宗 獣医師
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

犬の眼瞼炎とは

眼瞼が炎症を起こしている状態です。

眼瞼炎とは、眼瞼が炎症を起こしている状態のことで、全身性の皮膚疾患に関連して発言することがあります。

犬の眼瞼炎の症状とは

眼瞼に様々な症状が見られます。

眼瞼炎の症状は様々で、眼瞼痙攣、眼瞼浮腫、充血、痒み、脱毛などが見られます。診断を確定させるためには、身体検査、血液検査、培養、細胞診、皮膚バイオプシーなど様々な検査が必要になります。

犬の眼瞼炎の原因とは

様々な原因で眼瞼炎を引き起こします。

犬の眼瞼炎の原因としましては、細菌性、真菌性、寄生虫性、アレルギー性、免疫介在性などが挙げられます。

細菌性の眼瞼炎は、膿皮症に関連して発症することがあります。
真菌性の眼瞼炎は、皮膚糸状菌症に関連して発症することがあります。
寄生虫性の眼瞼炎は、疥癬症や毛包虫症に関連して発症することがあります。
アレルギー性の眼瞼炎は、ワクチン接種、食物、薬剤、虫の刺咬、日光などのアレルギーに関連して発症することがあります。

免疫介在性眼瞼炎

免疫介在性の眼瞼炎には、以下の疾患が挙げられます。

・内眼角の潰瘍性眼瞼炎
内眼角に潰瘍を形成する免疫介在性眼瞼炎です。慢性表層性角膜炎や天上表層性角膜炎などの免疫介在性角膜炎を併発することがあります。診断は潰瘍部分の眼瞼皮膚の生検でおこない、リンパ球や形質細胞の浸潤を認めます。

・ぶどう膜・皮膚症候群
メラノサイトを攻撃する免疫介在性疾患で、両眼性にぶどう膜炎症状が強く現れ、その他に眼瞼、口唇、肉球など皮膚の脱色素や炎症などを引き起こします。

・天疱瘡
皮膚の細胞間マトリクスに対して自己抗体がつくられることにより、細胞間接着が障害されて発生する疾患であり、表皮、眼瞼、粘膜皮膚移行部に水疱、潰瘍、痂皮を形成します。落葉状天疱瘡と紅斑性天疱瘡は、主に顔や眼瞼に症状を現し、尋常性天疱瘡は口、爪床、皮膚(眼瞼、口唇、外鼻腔、耳)に潰瘍を形成します。

犬の眼瞼炎の好発品種について

全犬種で好発します。

感染性の眼瞼炎はどの犬種でも起こり得ます。

アレルギー性の眼瞼炎は、ウェストハイランドホワイトテリア、秋田犬、ジャーマンシェパード、柴犬などでよく見られます。

内眼角の潰瘍性眼瞼炎は、ジャーマンシェパード、ロングヘアのミニチュアダックスフンドでよく見られます。

ぶどう膜・皮膚症候群は、秋田犬、シベリアンハスキー、サモエドでよく見られます。

天疱瘡は、秋田犬、ドーベルマン、ニューファンドランド、ミニチュアダックスフンドでよく見られます。

犬の眼瞼炎の予防方法について

早期発見、早期治療をおこないます。

アレルギーの原因となるものを避けることでアレルギー性の眼瞼炎は予防できる可能性はあります。また、原因疾患の早期発見、早期治療をおこなうことで眼瞼炎の予防につながります。
免疫介在性眼瞼炎は予防の難しい疾患ですので、早期発見、早期治療が重要になります。

犬の眼瞼炎の治療方法について

原因疾患の治療と眼瞼炎の治療をおこないます。

細菌性、真菌性、寄生虫性、アレルギー性の眼瞼炎は、原因疾患の治療をおこないます。抗生剤、抗真菌剤、駆虫剤、抗アレルギー剤、消炎剤などの投与をおこないます。

眼瞼の治療は、皮膚疾患の治療と同様と考えますので、抗生剤や免疫抑制剤などの全身投与をおこないます。

免疫介在性眼瞼炎

免疫介在性眼瞼炎の治療は、長期に渡る薬剤の使用を必要とするため、肝機能障害や骨髄抑制などの副作用に注意が必要です。

・内眼角の潰瘍性眼瞼炎
免疫抑制剤の全身投与をおこないます。併発する角膜炎に対しては、消炎剤、抗生剤、角膜保護剤などを点眼します。

・ぶどう膜・皮膚症候群
免疫抑制剤及び抗生剤の全身投与をおこないます。ぶどう膜炎に対しては、消炎剤を点眼し、角膜障害に対しては、角膜保護剤を点眼します。

・天疱瘡
免疫抑制剤の全身投与をおこないます。眼瞼炎及び角膜障害に対しては、抗生剤や角膜保護剤を点眼します。

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