ウィズぺティ
初めての方へ会員登録ログイン買い物かご
TOP > 猫の病気辞典 > 猫の膿胸
Youtube 病気辞典
Youtube 病気辞典

執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の膿胸とは

胸腔内に多量の膿が貯留した状態です。

膿胸とは、何らかの原因によって胸腔内に膿性の胸水が貯留した状態をいいます。

膿胸の原因は様々で、外傷(主に猫同士のケンカ)によって胸腔内に感染が起こって発生する場合や、肺炎からの波及、異物の刺入、全身性の感染症の結果として起こることなどが挙げられますが、多くの場合は原因不明です。

膿胸になると、胸腔内に膿性胸水が溜まることによって呼吸状態が悪化する他、感染に伴う発熱や食欲低下、元気消失などといった全身状態の悪化も見られます。

治療には胸腔内にドレーンを入れ、できるだけ膿を取り除き、胸腔内を洗浄することや、抗生物質を全身的に投与して体の感染を抑える必要があります。
発見が遅れると敗血症などから死亡する危険もあるため、呼吸に異常が見られたらすぐに病院を受診するようにしましょう。

猫の膿胸の症状とは

呼吸器症状と全身症状の悪化が見られます。

膿胸の初期にはあまり目立った症状が見られないことが多く、数日かけて膿の貯留が増えてきて初めて症状を示します。
症状としては、溜まった膿によって肺が膨らむスペースが小さくなることによる呼吸器症状と、感染に伴う全身症状が現れます。

主に見られる症状は以下の通りです。
・呼吸が浅く速い
・開口呼吸している
・咳をする
・元気がない
・発熱
・食欲不振
・活動性の低下
・痩せてきた

胸腔は縦隔によって左右に分かれていますが、片側だけの胸腔に発生することも、両側の胸腔に発生することもあります。
感染が重度になると敗血症をおこし、多臓器不全から命に関わることもあるため、注意が必要な病気です。

猫の膿胸の原因とは

外傷性におこります。

ケンカによる傷や異物の刺入によって、外傷性に胸腔内に感染が起こり発症する場合があります。
外に出る猫や多頭飼育の場合はケンカによる発症が多いとされてはいますが、実際にはケンカして数日たってから発症することが多く、表面的な傷が治癒してしまうことにより、その原因を特定できないこともしばしばです。

感染性の疾患によっておこります。

肺炎や、寄生虫の感染、全身性の感染症などから、胸腔内に膿が溜まる場合があります。
全身性の感染症に伴って起こる場合には、膿胸だけでなく他の臓器にも膿瘍を作ったり、内臓機能が低下して命に関わる場合が多いため、より迅速な診断と治療・処置が必要になります。

猫の膿胸の好発品種について

好発する品種はありません。

好発する品種は特にありません。

猫の膿胸の予防方法について

室内飼育でケガや感染症の機会を減らしましょう。

外の猫との縄張り争いや発情期にケンカすることを防ぐために、外には出さないようにしましょう。
室内飼育にすることで各種感染症からも猫を守ることができ、ウイルス性疾患や寄生虫感染による肺炎などの予防にもなります。

スキンシップを取りながらボディチェックをしましょう。

感染症を見つけることはなかなか難しいことですが、ちょっとした変化に気づくことで早期発見できることがあります。

体に傷がないかどうか、呼吸がいつもより速い・苦しそうな様子がないか、体が熱っぽく元気がないといった異常がないかどうか、ブラッシングなどをしながら時々チェックするようにしましょう。
食欲や排尿・排便状態の変化も重要です。
いつもと違う様子が見られたら、できるだけ早く病院を受診しましょう。

猫の膿胸の治療方法について

膿を抜去します。

膿胸の治療では、胸腔内に溜まった膿性の胸水をできるだけ速やかに除去することが重要です。

はじめは針を刺して抜去し、抜いた胸水で細菌の検査や細胞検査を行います。
ほとんどの場合は一度抜いただけではすぐに再発してしまうため、胸腔内にチューブ(ドレーン)を設置して、繰り返しあるいは持続的に胸水を抜けるようにします。

ドレーンを設置すると、何度も胸に針を刺さなくてよくなるため、猫の苦痛を軽減できる他、針を刺すことによって医原性に肺を傷付ける危険を回避でき、ドレーンを介して胸腔内を洗浄することもできます。
治療効果も、ドレーンを設置した方が良好なことが多いようです。

数日間、ドレーンからの抜去状況を観察し、膿性胸水の貯留がなくなったらドレーンを抜去します。

抗生物質の投与を行います。

感染制御のために抗生物質を全身投与します。
どんな抗生物質が有効なのかは症例ごとによって異なるため、抜いた膿を検査して決定します。
それまでは広域スペクトルの(一般的な感染症で検出される菌に広く効果のある)抗生物質を使用して、感染を抑えていきます。

手術で異物や膿瘍を摘出します。

胸の中に異物が確認されている場合や、肺に膿瘍ができてしまっている場合には、手術によってそれらを除去しなければなりません。
体の状態が悪ければ麻酔のリスクも高くなるため、まずは上記の様な内科治療で状態を安定させ、落ち着いたらできるだけ早く手術を行うことが推奨されます。

ナンバーサプリのウィズメディカ
ページ先頭へ SSL グローバルサインのサイトシール