猫の鼻咽頭ポリープとは
耳の奥から発生する炎症性のポリープが呼吸や嚥下に悪影響を及ぼします。
鼻咽頭ポリープとは、耳の奥にある耳管や鼓室胞という部分で起こった炎症によって、細長い有茎状のポリープを形成し、鼻と喉の奥に垂れ下がることによって呼吸や嚥下に影響を及ぼす病気です。
耳の奥と鼻の奥にある咽頭は、耳管という細い管でつながっており、耳管等にできたポリープが鼻咽頭側に伸びると主に呼吸器症状を、外耳道側に伸びると中耳炎などを起こし、前庭症状を示します。
中には鼻咽頭と外耳道、両側に伸びていくタイプもあります。
鼻咽頭ポリープがあることは外表上は全くわかりませんが、大きなポリープでは、口を大きく開けた際に喉の奥に垂れ下がるポリープが見えることがあります。
症状から鼻咽頭ポリープの疑いを持っても、鼻の奥、口の奥、耳の奥をじっくり観察させてくれる猫はなかなかいないため、検査・診断・治療のためには麻酔処置が必要です。
治療には外科切除が必要となり、一般的には切除後の予後は良好とされていますが、再発例の報告もあるため、術後は経過をよく見ていくことが必要です。
猫の鼻咽頭ポリープの症状とは
呼吸器症状がみられます。
鼻咽頭に占拠するポリープによって、空気の通りが妨げられ、以下のような症状を示します。
・大きないびき
・いびきのような呼吸音
・努力性呼吸
・鼻汁
・くしゃみ
重症例では呼吸困難やチアノーゼがみられることもあります。
また喉の奥まで垂れ下がることによって、嚥下にも影響を及ぼし、飲み込みにくい様子が見られることがあります。
その状態が長期にわたると食欲が低下し、体も少しずつ痩せてしまいます。
前庭症状が現れます。
耳管から発生したポリープが外耳道に向かって拡大した場合には、以下のような外耳炎~中耳炎症状を示します。
・頭を振る
・耳を掻く
・耳だれが出る
・斜頸(首が傾く)
・眼振(眼が小きざみに揺れる)
・まっすぐ歩けず回ってしまう
・顔面神経の麻痺
耳の奥には平衡感覚を司る三半規管があり、また耳の近くを顔面神経が通過します。
耳の中に慢性炎症が存在することによってそれらに障害が生じ、外耳炎症状のみならず神経障害が現れます。
猫の鼻咽頭ポリープの原因とは
発生原因は不明です。
鼻咽頭ポリープが発生する原因は不明です。
先天性という説もあるようですが、詳細はわかっておらず、ウイルス感染や上部気道感染症、中耳炎の結果として起こるとも考えられています。
猫の鼻咽頭ポリープの好発品種について
好発する品種はありません。
好発品種は特にありませんが、発症する猫のほとんどは若齢です。
猫の鼻咽頭ポリープの予防方法について
効果的な予防方法はありません。
発生原因がはっきりしていないため、効果的な予防方法はありません。
治療してもなかなか改善しない鼻風邪症状や外耳炎の際には、漫然と治療を続けるのではなく、精密検査を受けることをお勧めします。
猫の鼻咽頭ポリープの治療方法について
外科治療で切除します。
鼻咽頭ポリープの治療は外科治療です。
内科治療として抗生物質などを投与することもありますが、あくまでも対症療法であり、ポリープ自体がなくなることはありません。
外科治療では、麻酔をかけ口の中から内視鏡でポリープの付け根を確認して切除します。
ポリープが耳にもつながっている場合には、耳側からもアプローチして切除することが必要になります。
鼻咽頭ポリープは炎症性の隆起物であり、腫瘍とは異なるため、一般的には外科切除によって予後は良好ですが、稀に再発することもあります。