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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の肺線維症とは

肺が線維化して硬くなる病気です。

肺は、肺胞という非常に小さな袋の集合体です。
肺胞内には呼吸によって新しい空気が取り込まれ、肺胞を流れる毛細血管内の血液のガス交換(二酸化炭素を排出し、血液中に酸素を取り込む)を行っています。

肺線維症とは、肺胞の壁にあたる間質が線維化し、硬くなることにより、肺の伸縮性が低下してガス交換がうまくできなくなってしまう病気です。
一度線維化した肺は元に戻ることはなく、進行に伴って咳や呼吸困難などの呼吸器症状が重度になります。
また、肺が十分に伸展しないことで、心臓から肺への血流が滞り、結果として右心不全を起こすことがあります。(肺高血圧症)

いずれの場合でも症状が重度になるにつれて命の危険が生じるため、進行する前に適切に診断し、進行を抑えながら症状を緩和する治療を行うことが重要です。
しかし実際は、明確な症状が現れた時にはある程度進行してることが多いため、早期診断は非常に難しく、また確定診断のためには組織を採取して病理検査を行うことが必要です。

猫の肺線維症の症状とは

主に呼吸器症状が現れます。

肺の線維化が起こると、以下のような症状が見られます。

・咳
・呼吸が速い
・呼吸困難
・開口呼吸
・チアノーゼ
・疲れやすい
・食欲低下
・元気消失

肺は全身を巡る血液のガス交換を行うため、非常に小さな肺胞という袋が集合した形態をとっています。
それぞれの肺胞には毛細血管が張り巡らされ、その中を血液が循環することで効率良くガス交換を行っています。

肺が硬くなると肺への血液の流入が悪くなり、ガス交換機能も低下してしまいます。
そのため、進行するにつれて呼吸が苦しくなり、重症例では酸素欠乏の症状であるチアノーゼ(粘膜の色が青っぽくなる)などが見られます。

また、肺が十分に拡張できなくなる結果として、肺に血液を送り込む右心に血液がうっ滞するようになり、腹水が溜まったり、四肢のむくみなどが見られるようになります(右心不全)。

猫の肺線維症の原因とは

慢性呼吸器疾患に伴って起こります。

線維化という変化は、何らかの原因で組織が傷ついたときに、そこを修復するために炎症細胞が集まり細胞が増殖して組織が厚くなったり、線維性の組織が現れて硬くなることによっておこります。

肺の線維化は、慢性経過をたどる長期の呼吸器疾患などで起こりやすいと考えられ、肺炎、気管支炎など、他の呼吸器疾患に続発・併発して起こる可能性があります。

呼吸器に刺激を与える化学物質の吸引や、アレルゲン、埃等に長期間暴露されていることも危険因子となります。
中には肺に寄生する寄生虫などが原因となることもあります。

その他の原因もある可能性があります。

人では全身性の免疫異常によっておこるものや、腫瘍の形成によっておこるもの、薬剤の投与によって肺の血管が傷害されて起こるものなどが知られていますが、猫でも同様の原因によっておこるものがあるかどうかはあまりわかっていません。
はっきりした原因がわからずに起こる肺線維症は、「特発性肺線維症」と呼ばれます。

猫の肺線維症の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。

猫の肺線維症の予防方法について

呼吸器症状がある場合は早めに治療を行いましょう。

猫は喘息や猫カゼといった呼吸器の感染症が割と多い動物です。
特に幼少期にかかりやすいヘルペスウイルスやカリシウイルスなどによっておこる猫カゼは、ウイルスを完全に体から排除できないため症状をぶり返すことが多く、飼い主さんもその症状に慣れてしまうことが多い傾向があります。

しかし、症状が現れる度に早めに対応すれば、呼吸器にあまり大きな負担をかけずに終息させることができます。
治療をおろそかにしてしまうと、その分、肺にも炎症によるダメージが蓄積し、後に線維化などを起こす可能性も高くなるため、できるだけ早く治療してあげるようにしましょう。

猫の肺線維症の治療方法について

線維化した肺は元には戻りません。

肺線維症を根本的に治療する方法はありません。
一度線維化して硬くなった肺は元に戻ることはないため、残っている肺機能を温存し、できるだけ進行を抑える治療と、肺の線維化に伴って現れる右心不全に対する治療がメインとなります。

呼吸器症状の治療を行います。

背景にある呼吸器疾患の治療のために、抗生物質、消炎剤、気管支拡張剤などを投与します。

抗生物質は細菌感染による呼吸器疾患が疑われる場合に使用しますが、実際には試験的な治療(治療をしてみてその反応を見る)として治療の初期に投与します。

咳の頻度が多く、体力を消耗している場合には、鎮咳薬も使用することがあります。

また呼吸器症状の引き金となりうる刺激物(タバコの煙や芳香剤、ハウスダストなどのアレルゲン)との接触をできるだけ少なくし、機能が残っている肺にできるだけ負担をかけないように生活させるようにします。

酸素吸入が必要になる場合があります。

肺の線維化が進行し、重度の呼吸障害が見られる場合には、酸素吸入が必要です。
酸素吸入は入院下で行うだけでなく、場合によっては在宅酸素のレンタルサービスなどを利用すれば自宅でも可能です。

右心不全の治療を行います。

肺の線維化に伴って右心不全を発症している場合には、そのケアのために、血管拡張剤や利尿剤などの投与を行います。

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