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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の黄色脂肪症とは

脂肪が炎症を起こす栄養性疾患です。

黄色脂肪症とは、食事の栄養バランスの乱れ(不飽和脂肪酸の過剰摂取とビタミンE不足)によって脂肪の性状が変化し、炎症を起こす病気です。
汎脂肪織炎とも呼ばれます。

脂肪の炎症反応は全身で起こるため、猫は元気や食欲がなくなり、動くことを嫌がりうずくまっていることが多くなり、触られることを嫌うようになります。
体を触ると、硬くなった脂肪がデコボコしている様子が触知できることもあります。

魚ばかり食べている若齢の猫で起こりやすい病気です。
昔に比べると発生は少なくなりましたが、バランスの取れた質の良い食事管理を心がけるようにしましょう。

猫の黄色脂肪症の症状とは

全身の脂肪が炎症を起こし硬くなります。

黄色脂肪症では、皮下脂肪・腹腔内脂肪の両方に変化が起こります。
猫の脂肪は通常白っぽく、弾力があって柔らかいですが、黄色脂肪症になると黄色く硬くなり、顆粒状あるいはしこりの様に触知することができるようになります。
特にわかりやすいのは腹部や鼠径部です。

主に見られる症状は以下の通りです。
・食欲不振
・元気消失
・動きが緩慢になる
・全身の疼痛
・知覚過敏
・発熱
・皮下脂肪が硬く触知できる

全身の脂肪に炎症が起こるため、猫は元気がなくなり、動くことを嫌がります。
炎症によって発熱がみられることもあり、食欲もなくなってしまうため、そのような状態で数日過ごしてしまうと脱水や肝リピドーシスなどを合併してしまう危険もあります。

身体が熱っぽい、食欲がないなど、異常が見られたらできるだけ早く病院へ連れて行きましょう。

猫の黄色脂肪症の原因とは

食事の栄養成分のアンバランスが原因です。

黄色脂肪症は食事中の不飽和脂肪酸の過剰摂取と、ビタミンE不足によっておこる栄養性疾患です。
具体的には、サバ、アジ、マグロ、イワシなどの青魚を主原料にして作られた魚油を多く含む食事ばかり食べていると起こる病気です。

魚が体に悪いというわけではありませんが、これらの魚の油に含まれる不飽和脂肪酸の過剰摂取によって、体の脂肪組織に不飽和脂肪酸の含有率が高くなり、それに対して抗酸化作用のあるビタミンEが不足してしまうと、不飽和脂肪酸の酸化が起こります。
酸化によってできた過酸化物がタンパク質と結合すると、セロイドという物質が作られて脂肪組織に沈着し、それを異物と認識した免疫細胞が攻撃するために脂肪組織の炎症が起こります。

総合栄養食でも、魚油を多く含む魚類ベースの総合栄養食を多給した場合に発症することが報告されており、特に若齢の猫に成猫用の魚類ベースの食事を与えると発症しやすいともいわれています。
若齢猫の食事管理には特に注意が必要です。

猫の黄色脂肪症の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。

猫の黄色脂肪症の予防方法について

バランスの取れた質の良い食事で予防できます。

この病気は食事が原因で起こる栄養性疾患です。
魚の多給や魚油を多く含む食事だけでは、不飽和脂肪酸の過剰摂取となり発症リスクが高いため、一般的な総合栄養食でも魚類だけでなく鶏肉などを主原料とした、ビタミンEが適量添加された食事を与えるようにしましょう。

猫の黄色脂肪症の治療方法について

食事内容の変更を行います。

治療にはまず食事内容を変更することが必要です。

現在与えている食事は中止し、魚類以外の鶏肉などをベースとした、ビタミンEが適量添加された総合栄養食に変更します。
また、おやつとして同様の魚を原料とした缶詰などを与えている場合もすべて中止することが必要です。

ビタミンEを補給します。

食事以外にビタミンE製剤の投与も行います。
症状が改善し、皮下脂肪の塊が消失するまでは数週間から数カ月の投与が必要になります。

消炎治療を行います。

治療開始時は炎症による痛みや発熱があり、日常生活に支障をきたすことがあります。
それを改善するために、治療の開始時には炎症を抑える効果のあるステロイド剤を投与することが多くなります。

治療を開始してもなかなか食欲が戻らない場合には、強制給餌や入院治療などが必要になることもあります。


食事療法・投薬治療を合わせても、改善するまでには数週間~数カ月という長期の治療が必要です。
そうならないためにも、偏った食生活にならないように日ごろから気を付けるようにしましょう。

ナンバーサプリのウィズメディカ
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