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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の好酸球性角結膜炎とは

猫に起こる角膜の増殖性疾患です。

角膜は眼の表面を覆っている透明な膜です。
好酸球性角結膜炎は、眼の色がついている部分と白目の境界部分(角膜輪部)から発生する炎症性疾患で、猫特有の眼の病気です。

好酸球は血液中の炎症細胞の一つで、寄生虫感染やアレルギー物質に反応して体を守るために働く細胞です。
好酸球性角結膜炎では、何らかの原因により好酸球が角膜の一部に集簇し、組織が増殖して盛り上がり、やがて角膜全体や結膜、瞬膜などに広がります。
病変部の周囲には角膜潰瘍を形成することがあり、多くの場合は通常の角膜潰瘍の治療をしてもなかなか完治しない病変として認められます。

好酸球性角結膜炎の発症には、猫ヘルペスウイルスの感染が関わっているとも考えられていますが、その他の免役の異常な反応によっても起こると考えられており、詳細はまだ不明な部分が多い疾患です。
治療にはステロイド剤が有効ですが、ヘルペスウイルス感染を伴っている場合にはステロイド治療によって角膜潰瘍が悪化することがあるため、感染の有無や治療に対する反応については慎重に経過を見ていく必要があります。

猫の好酸球性角結膜炎の症状とは

眼に特徴的な白い病変を作ります。

角膜は正常であれば無色透明で、表面はなめらかで光沢があり、血管なども入り込むことはありません。
しかし傷や炎症などが起こると、表面が不整になり、白く白濁したり、傷を治すために血管が伸びて入り込む(血管新生)様子が見えるようになります。

好酸球性角結膜炎は、角膜輪部という、眼の色がついている部分(ヒトでいう黒目)と白目の境界部から病変が発生するのが特徴です。
白からピンクあるいは黄色の不整な組織が増殖して盛り上がり、徐々に角膜全体や結膜、瞬膜などに拡大していきます。

角膜の病変では病変の周囲に角膜潰瘍を作ってしまうことが多く、進行に伴って眼の痛みなどの症状も見られます。

主に見られる症状は以下の通りです。
・眼の表面が白く濁る
・眼の表面に組織がもりあがり、凸凹になる
・まぶしそうに眼をしょぼしょぼする
・涙が多くなる
・目ヤニが多く出る
・眼を気にしてこする
・眼の白濁した部分に血管が伸びているのが見える(血管新生)
・白目の充血、腫れ
・瞬膜が出て腫れている

病変は片側だけにできる場合と両側に同時にできる場合があります。

猫の好酸球性角結膜炎の原因とは

何らかの免疫異常によると考えられます。

好酸球とは、体の中にある免疫細胞の一種です。
血液中にも存在し、主に寄生虫感染やアレルギー性疾患の際に増殖し、体を守るために炎症を起こして戦う細胞です。

好酸球性角結膜炎では、好酸球が病変部で増殖しているのが特徴です。
病変部の細胞を検査すると、通常は認められない好酸球が他の炎症細胞とともに認められることで診断ができます。

しかし、なぜ好酸球が増殖するのかという部分についてはわかっていません。
猫ヘルペスウイルスの感染が発症に関与しているともいわれていますが、必ずしも感染が見られるわけではなく、逆にヘルペスウイルスにかかっているからといって好酸球性角結膜炎が必ず起こるものでもありません。
(ヘルペスウイルス性角結膜炎という似た病気も別に存在します)

何らかの免疫異常が生じることで発症すると考えられていますが、詳細はよくわかっていません。

猫の好酸球性角結膜炎の好発品種について

好発する品種はありません。

品種による好発傾向はありません。

猫の好酸球性角結膜炎の予防方法について

猫ヘルペスウイルス感染をケア・予防しましょう。

必ずしも発症するわけではありませんが、猫ヘルペスウイルス感染ではやはり目に病変を作ることが多いため、感染歴がある場合には気を付けたいところです。
多くは子猫の時に感染が成立し、治療によって症状が改善した後も体内にウイルスは残っており、体調不良時や過度のストレス状態(多頭飼育や妊娠)などによって再燃することがある感染症です。

発症時には抗ウイルス薬やインターフェロンなどでしっかりと治療を行い、ヘルペスウイルスによる症状をしっかりとケアしてあげましょう。

また、猫が一般的に接種する3種混合ワクチンにはヘルペスウイルスの予防が含まれています。
定期的にワクチンの追加接種を受けることで体に抵抗力をつけておくことが発症予防となり、それに関連して起こる好酸球性角結膜炎の予防にもつながります。

室内飼育を徹底することも新たな感染を予防する上で重要なポイントです。

猫の好酸球性角結膜炎の治療方法について

ステロイド剤の投与が効果的です。

好酸球性角結膜炎は、ステロイド治療に非常によく反応します。
そのため、多くはステロイド剤の点眼薬で治療し、点眼が困難な場合は内服薬で治療を行います。

治療開始時には点眼頻度は多いですが、症状が改善してきたら点眼回数を徐々に減らしていきます。
症状が全く消失した場合には休薬もできますが、多くは投薬をやめると再発してしまうため、週1~2回程度で生涯治療が必要な場合もあります。

ステロイド剤の投与中は副作用に注意が必要です。
猫ヘルペスウイルスに感染している場合や角膜に潰瘍がある場合には、ステロイド剤の使用によって症状が悪化することがあります。
経過をよく観察し、悪化が見られる場合には治療の追加や変更が必要です。

また、内服薬でステロイドを投与する場合には、糖尿病や医原性の副腎皮質機能亢進症の発症、肝障害などに注意する必要があります。
飲水量の極端な増加や食欲の変化などに気をつけ、定期的に血液検査を受けることも必要です。

猫ヘルペスウイルスの感染がある場合には注意が必要です。

猫ヘルペスウイルスの感染を伴って発症している場合には、ステロイド剤の使用によって症状が悪化してしまうことがあります。
そのため、ヘルペスウイルスに対する治療を先に、あるいは並行して行う必要があります。

猫ヘルペスウイルスの治療には、抗ヘルペスウイルス薬、インターフェロン、L-リジンなどの投与が行われます。

角膜潰瘍の治療を並行して行います。

角膜潰瘍がある場合も、ステロイド剤の投与によって悪化する可能性があります。
潰瘍が悪化して深くなると角膜穿孔を起こし、失明の可能性もあるため、慎重な治療・経過観察が必要です。

角膜潰瘍の治療をまずは優先して、あるいは症状が軽度であれば並行して行います。
角膜潰瘍の治療としては角膜保護剤や自己血清点眼などを行い、二次感染の予防のために抗菌剤の投与なども行います。

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