猫の眼瞼欠損とは
先天的に瞼が欠損している異常です。
先天的に眼球を覆う瞼の一部あるいは全体が欠損している状態を眼瞼欠損といいます。
ここでいう瞼とは、眼の縁取りをしている、睫毛と眼の間にある皮膚と結膜の境界部(眼瞼縁)のことです。
正常な眼瞼縁は、瞬きをすると上下でぴったりと閉じ、眼に水分や油分を行き渡らせ、同時に目を保護する役割を持っています。
しかし眼瞼縁が欠損すると、眼を完全に閉じることができないため乾燥性の角膜炎や角膜潰瘍などができやすく、目ヤニや涙が多くみられるようになります。
また、眼瞼縁がないことによって睫毛や眼の周りの被毛が角膜に常に刺激を与えてしまい、それによっても角膜潰瘍などを起こします。
治療のためには眼瞼の形成手術が必要ですが、成長期には眼や瞼の大きさも変化するため、成長期が終わってから手術を行います。
それまでは点眼薬や睫毛に対する処置を行い、眼に傷がつかないよう管理を行います。
猫の眼瞼欠損の症状とは
角膜に傷ができやすくなります。
眼瞼欠損では眼瞼の縁が部分的あるいは全体的に欠損するため、睫毛や眼の周囲の被毛が眼の中に入ってしまうことが多く、その刺激によって角膜に傷ができたり炎症が起こりやすくなります。
主に見られる症状は以下の通りです。
・眼の形がいびつに見える
・眼の開きが小さい
・左右で眼の形が違う
・眼を閉じれない
・目ヤニ
・涙が多い
・眼の表面が白く濁っている
・眼の表面に黒い色素が沈着している
欠損の程度によって症状の出方は様々です。
軽度の場合は流涙が多い程度ですが、慢性的に角膜に強い刺激があると角膜炎や角膜潰瘍を起こし、角膜穿孔を起こした場合には失明の危険もあります。
自宅で生まれた子猫や保護した子猫の眼に異常が見られた場合は、健康診断を兼ねて一度獣医師の診察を受け、どのようなケアが必要になるのかを教えてもらいましょう。
猫の眼瞼欠損の原因とは
先天性におこります。
眼瞼欠損は先天性の異常です。
子猫がお母さんのおなかの中にいる段階で、瞼が正常に形成されなかったために起こります。
詳しいメカニズムやその要因となりうる因子についてはあまりわかっていませんが、同腹子(兄弟猫)に同様に欠損が見られることが多い傾向があります。
猫の眼瞼欠損の好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
猫の眼瞼欠損の予防方法について
予防は困難です。
眼瞼欠損を予防できる方法はありません。
子猫が生まれたあるいは子猫を保護した場合には、一度獣医師の診察を受け、全身的な健康診断を受けましょう。
異常があれば、その段階からケアの方法を教えてもらえます。
猫の眼瞼欠損の治療方法について
角膜保護を行います。
眼瞼欠損がある場合には、眼が乾燥しがちになり、また眼に傷がつきやすくなります。
猫がまだ成長期の途中の場合は根本的な治療はできないため、対症療法として角膜に傷がつかないように保護する治療を行います。
睫毛が眼に刺激を与える場合には、点眼麻酔を施した後で睫毛を定期的に抜去する処置を行います。
眼には眼軟膏や角膜保護の目薬を点眼し、乾燥と傷から眼を保護します。
目ヤニはこまめに除去し、眼の周りが不衛生にならないようにすることも二次感染の予防のために重要です。
眼の表面に白い濁りが出てきた場合や、眼を痛そうにショボショボしている場合には、傷ができている可能性があるため、すぐに病院へ連れて行きましょう。
眼瞼の形成手術を行います。
欠損があっても上記の様な角膜保護治療で問題なく過ごせている場合には手術は必要ありません。
しかし成長期が終わり、眼や瞼の成長が完了した時点でも眼瞼欠損により角膜潰瘍を繰り返し、生活に支障が出ている場合には瞼を形成する手術を検討します。
手術では下瞼や口の周りの皮膚を欠損部に移植することで瞼を形成します。
眼の手術は専門性が高いため、眼科専門医に紹介される場合もあります。