猫の眼球の腫瘍とは
主にリンパ腫と悪性黒色腫が見られます。
猫の眼球腫瘍はあまり多くはありませんが、リンパ腫の眼内転移病変や虹彩にできる黒色腫などは時折見られます。
その他にも様々な腫瘍が発生するとされていますが、リンパ腫などに比べると頻度は多くありません。
原発性の腫瘍としてはメラニン細胞性腫瘍(黒色細胞腫や悪性黒色腫:メラノーマ)が最も多く認められます。
犬と異なり、猫の眼の悪性黒色腫は他臓器へ転移しやすく、死亡率の高い疾患です。
眼に腫瘍ができるとほとんどの場合、眼の色の変化や眼の炎症反応などが起こり、外観にも変化が見られます。
眼の様子に変化が見られたら、すぐに病院を受診するようにしましょう。
猫の眼球の腫瘍の症状とは
眼の外観に変化が現れます。
眼の腫瘍では多くの場合、病変がある側の眼の色や瞳孔の開き具合に変化が表れ、正常な側の眼との違いがあることで異常に気付きます。
認められやすい症状としては以下のようなものがあります。
・眼の色が変わる
・眼の中に黒い斑点ができる
・左右の瞳孔の大きさが違う
・片方の眼が大きくなる
・眼をショボショボする
・白目に充血がある
・瞼が痙攣する
・眼の表面が白く濁る
・眼の中に出血がある
これらの症状は他の眼科疾患でも認められることがあるため、それらとの鑑別が重要です。
猫でよく見られる虹彩黒色腫は、初期には虹彩に黒い色素沈着のような病変を作り、進行とともに色が濃くなり、厚みを増して周囲に拡大していきます。
しかし中には単なる色素沈着の場合もあり、その鑑別は経過を追ってみていくことでしかできません。
また、肉眼では見えない眼内に腫瘍ができた場合には、進行した状態になるまで腫瘍が見つからない場合もあります。
腫瘍の可能性が高いかどうかの判断には、超音波検査や一般的な眼科検査を繰り返し行い、慎重に経過観察をしていくことが大切です。
眼の腫瘍は、皮膚などの腫瘍と異なり組織を取って検査をすることは難しく、腫瘍かどうか、または良性腫瘍なのか悪性腫瘍なのかという診断は、治療として眼球摘出を行った後に下されることがほとんどです。
しかし良性腫瘍であっても、転移や周囲組織への浸潤は見られませんが、腫瘍が存在することによって高率にブドウ膜炎や緑内障を起こし、その管理が非常に困難になります。
そのため、明らかに腫瘤性の病変がある場合や腫瘍の可能性が高い場合には、できるだけ早く治療を行うことをお勧めします。
猫の眼球の腫瘍の原因とは
原発性の腫瘍ができます。
猫の目にできる原発性腫瘍には以下のようなものがあります。
眼球結膜・角結膜腫瘍
・扁平上皮癌
・黒色腫
・リンパ腫
・線維肉腫
虹彩・毛様体腫瘍
・虹彩黒色腫
・前ブドウ膜の肉腫
・毛様体の上皮系腫瘍
これらの腫瘍ができる原因はわかっていません。
また、猫のみに発生する眼の腫瘍として、
・原発性眼球肉腫
・創傷後肉腫
というものがあります。
これらは眼の外傷によって水晶体が破裂した病歴を持つ猫で見られる悪性腫瘍で、眼球内を腫瘍細胞が埋め尽くした後、視神経を介して眼の奥(眼窩)や脳に腫瘍が浸潤することもあります。
転移性腫瘍ができることもあります。
以下のような様々な腫瘍が眼にも転移することがあります。
・リンパ腫
・乳腺癌
・血管肉腫
・耳や肺の扁平上皮癌
・子宮や肺の腺癌
特に血管が豊富な網膜や脈絡膜は、転移性の腫瘍の発生が多くみられます。
猫の眼球の腫瘍の好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
猫の眼球の腫瘍の予防方法について
効果的な予防方法はありません。
眼に発生する腫瘍に対する効果的な予防方法はありません。
猫の眼球の腫瘍の治療方法について
多くは眼球摘出を行います。
猫の目に見られる腫瘍には悪性のものが多く、原発性の腫瘍はできるだけ早く眼球摘出を行うことが勧められます。
角膜の縁から発生する輪部黒色細胞腫という腫瘍は、境界が明瞭なため、眼球摘出ではなく腫瘍を摘出することができるとされていますが、その判断は難しく、手術も専門的なため、眼科専門医に紹介してもらうことも検討しましょう。
摘出した腫瘍が悪性腫瘍であっても、他の臓器や周囲の組織に転移・浸潤する前に摘出できれば、予後は比較的良好です。
補助療法が必要な場合があります。
腫瘍がリンパ腫だった場合や、腫瘍の転移、周囲組織への浸潤が見られた場合には、抗がん剤による化学療法や放射線療法を補助的に行います。
どのような薬剤や治療方法を行うかは、腫瘍の種類によって異なります。