猫の眼瞼腫瘍とは
発生率は低いですが悪性の腫瘍が多くみられます。
猫の眼瞼にできる腫瘍の発生率は高くはありません。
しかし、犬の眼瞼にできる腫瘍と比較すると、悪性の腫瘍の発生が多いのが特徴です。
最も多いのは扁平上皮癌で、白い猫に発生することが多く、また紫外線の刺激が腫瘍の発生を誘発するといわれています。
他にもリンパ腫、肥満細胞腫、黒色腫、線維肉腫、線維腫、扁平乳頭腫、基底細胞癌など様々な腫瘍が発生します。
腫瘍が大きい場合や急速に拡大する場合は、腫瘤が目にあたる刺激によって角膜に障害が出ることがある他、外科治療が困難になることが予想されるため、できるだけ早く検査を行い、大きくなる前に切除手術をすることが勧められます。
猫の眼瞼腫瘍の症状とは
眼の縁にしこりや潰瘍ができます。
眼瞼腫瘍では眼瞼の皮膚や眼瞼結膜に隆起性の病変を作ります。
腫瘍の種類によってその外観は様々で、表面が脆い肉芽組織のような場合もあれば、ドーム状の膨らみやツルっとした隆起物として認められる場合もあります。
扁平上皮癌は表面が凸凹して組織が脆く出血性のことが多く、進行に伴って組織が削れて潰瘍を形成し、周囲に拡大していく傾向があります。
いずれの腫瘤も、大きくなると眼の表面に刺激を与えたり、睫毛の向きが変化することで目ヤニや涙目、角膜潰瘍を続発してしまうこともあります。
また、瞬きによって眼がしっかり閉じなくなり、乾燥性の角膜炎などもおこす可能性があります。
眼瞼腫瘍は比較的見てわかりやすい腫瘍なので、しこりを見つけたら様子を見ずにすぐに病院で診てもらうようにしましょう。
猫の眼瞼腫瘍の原因とは
紫外線の刺激によっておこるものがあります。
猫の眼瞼腫瘍で最も多い扁平上皮癌は、日光(紫外線)の刺激によって発生することがわかっており、また皮膚色素のない猫(白猫)に多く発生します。
リンパ腫はウイルス疾患に関連しておこります。
リンパ腫は猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスの感染があると発生率が高くなります。
その他の腫瘍の発生要因は不明です。
その他の腫瘍の発生要因はよくわかっていません。
猫の眼瞼腫瘍の好発品種について
以下の猫種で好発がみられます。
- ヒマラヤン
- ペルシャ
アポクリン腺という皮脂腺の良性腫瘍であるアポクリン汗嚢腫は、ペルシャやヒマラヤンに好発します。
最も多い扁平上皮癌は品種による好発傾向はありませんが、白猫の内眼角に近い部分に好発する傾向があります。
また、肥満細胞腫は他の腫瘍に比べ、比較的若齢の猫(平均6.5歳)に発生するといわれています。
猫の眼瞼腫瘍の予防方法について
室内飼育が予防策の一つになる可能性があります。
直射日光による刺激を防ぎ、またウイルス感染のリスクを下げるという意味では、室内飼育が一つの予防方法になるかもしれません。
しかし、すべての眼瞼腫瘍を予防できる方法はありません。
猫の眼瞼腫瘍の治療方法について
外科手術で治療します。
猫の眼瞼に発生する腫瘍は悪性腫瘍が多いため、リンパ腫以外の腫瘍ではできるだけ早期に完全切除することが勧められます。
手術では可能な限り広範囲に切除することが再発を防ぐ上で重要ですが、そのためには多くの場合、皮膚移植や結膜移植などの眼瞼再建術が必要になります。
化学療法で治療できるものもあります。
眼瞼にできた腫瘍がリンパ腫の場合は、抗がん剤による化学療法を行います。
その他の治療方法も可能な場合があります。
外科的切除以外の治療として、冷凍凝固術や炭酸ガスレーザーなどを使用した腫瘍の蒸散術や、これらと放射線療法を組み合わせた治療を行う方法もあります。
しかし、それぞれの治療の度に麻酔処置が必要となることや術後の再発のリスクを考慮すると、やはりできるだけ早期に外科切除をする方が有効と考えられます。
腫瘍の範囲が広く外科手術単独で治療が難しい場合には、手術に先立って放射線治療や化学療法を行い、腫瘍が縮小した時点で切除を行う場合もあります。