猫の基底細胞腫とは
皮膚にできる良性腫瘍です。
基底細胞とは、表皮の最下層にある細胞です。
その部分の細胞が異常増殖してしこりを作ったものを基底細胞腫といいます。
基底細胞腫は猫の皮膚にできる腫瘍の中で最も発生が多く、主に頭頚部や肩部の皮膚にみられます。
基本的には良性腫瘍で、転移や局所浸潤(周囲の筋肉や骨に入りこむこと)はありません。
しかし、稀に悪性の基底細胞癌の場合もあるため、外科切除を行った場合は必ず病理検査を行い、腫瘍の種類(良性・悪性の判定)と、再発の可能性についても評価を行うことが必要です。
検査の結果、良性であれば切除によって予後は良好で、再発もありませんが、猫の皮膚では多発することもあるため、他の部位に新たに基底細胞腫が形成されることもあります。
猫の基底細胞腫の症状とは
皮膚の中に固いしこりができます。
基底細胞腫は皮内にできるドーム状の腫瘤で、腫瘤部分の毛は抜けて皮膚表面が見えることが多く、割と見つけやすい腫瘤です。
頭部や頚部、肩部の皮膚にできることが多く、大きさは数ミリ~1cm前後がほとんどで、成長は非常にゆっくりですが、稀に大きく成長し表面を掻いて傷つけると潰瘍を形成することがあります。
腫瘤は硬いことが多いですが、中に液体を含んだ嚢胞を形成している場合には弾力性のこともあります。
腫瘤の中にメラニン細胞の増殖を含むと黒い色をしていることもあり、悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別も必要になります。
皮膚にできる腫瘤で、筋肉や骨に浸潤することも転移することもないため、全身的には目立った症状は見られません。
猫の基底細胞腫の原因とは
発生原因は不明です。
基底細胞腫ができる原因はわかっていません。
猫の基底細胞腫の好発品種について
好発する品種はありません。
特定の品種に発生しやすいということはなく、どんな猫にでも発生します。
猫では11歳以上の中~高齢猫にみられます。
猫の基底細胞腫の予防方法について
効果的な予防方法はありません。
腫瘍の発生を予防できる方法はありません。
日ごろから猫とよくスキンシップを取り、できるだけ早く発見して小さい内に切除することをお勧めします。
猫の基底細胞腫の治療方法について
手術で切除します。
治療方法は主に外科切除です。
高齢や持病などのために麻酔をかけることが難しい場合は、急激に大きくなるなどといったことがない限りは経過観察することもありますが、可能であればできるだけ小さい内に手術で切除し、病理検査を行うことをお勧めします。
検査の結果、良性と診断された場合は、他の臓器に転移したり周囲の組織に浸潤したりすることはなく、術後の予後は良好です。
しかし、まれに基底細胞腫から基底細胞癌(悪性)に移行するものもあるため、注意が必要です。
また、猫の基底細胞腫は多発することもよくあります。
その場合はすべての腫瘤が同じものだと思い込まず、一つ一つに同様の対応をすることが必要になります。