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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の骨肉腫とは

骨にできる悪性腫瘍です。

猫の骨にできる腫瘍は比較的稀ですが、骨に発生する腫瘍のほとんどが骨肉腫です。

骨肉腫は悪性腫瘍で、犬では特に進行が早く、診断時には多くがすでに肺に転移してしまっています。
しかし、猫では転移は少なく、その場合は切除手術(多く断脚手術)を行えば比較的予後は良いとされています。

骨肉腫は痛みが非常に強く、進行すると腫瘍によって骨が弱くなり病的に骨折を起こすこともあります。
治療には多くが断脚が必要になります。
かわいそうに感じるかもしれませんが、痛みを早く取り除き、命を守るためには飼い主さんの決断が必要です。

猫の骨肉腫の症状とは

疼痛が強く歩行に異常が見られます。

猫の骨肉腫は全身の骨のどこにでもできますが、大腿骨の遠位と脛骨の近位、つまり膝の周囲にできることが多いとされています。

よくみられる症状は以下の通りです。
・病変部の変形や腫れ
・跛行(びっこを引いて歩く)
・病的骨折
・元気消失
・食欲不振

四肢の骨のどこかにできた場合は、患肢を着かなくなることが多くみられます。
腫瘍細胞は正常な骨を壊して成長するため、進行に伴って骨が弱くなり、それが原因で骨折してしまうこともあります(病的骨折)。

猫の骨肉腫の原因とは

原因は不明です。

犬では過去に骨折した部位にできやすい、あるいは体重の負荷がかかる大型犬で起こりやすいなどといった要因が報告されていますが、猫では発生自体が稀で、発生に関わる要因もよくわかっていません。

猫の骨肉腫の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。
主に高齢猫に発生しますが、1~20歳まで発生報告があります。

猫の骨肉腫の予防方法について

予防方法はありません。

発生原因が不明なため、効果的に予防できる方法はありません。

猫の骨肉腫の治療方法について

外科手術が第一選択です。

骨肉腫の治療の第一選択は外科手術です。
前述したように、猫では膝にできることが多いため、おもに股関節からの断脚手術が選択されることが多くなります。

猫は体が小さく体重が比較的軽いため、断脚後もバランスよく活発に動き回ります。
極端に肥満している猫では減量が必要ですが、多くの猫は断脚後も走ったりジャンプすることが可能で、生活に支障が出ることはほとんどありません。

断脚手術を実施した際に肺転移などがなければ、比較的予後が良いとされています。

切除が難しい場合は緩和療法を行います。

四肢ではなく、頭蓋骨や椎体(背骨)に発生してしまった場合などは、切除ができません。
その場合は、放射線照射などによって治療を行いますが、疼痛の緩和と二次的に生じている症状の緩和(麻痺等)が主な目的となり、外科手術に比べると予後は良くありません。

また、化学療法(抗がん剤)は猫の骨肉腫ではまだ効果的な方法が確立しておらず、効果のほどは不明です。

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