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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の角膜潰瘍とは

角膜に傷ができる眼の疾患です。

角膜は、眼の表面を覆う透明な膜です。
健康な角膜は無色透明で、常に表面が涙の層によっておおわれて光沢を放っています。

角膜には外傷やウイルス感染等、様々な要因で炎症を起こしたり傷ができることがあり、それによって角膜表面の組織が削れて滑らかさがなくなった状態を角膜潰瘍といいます。

角膜潰瘍の治療経過は、傷の深さや原因によって異なります。
外傷によって生じた浅い傷は、通常数日で治癒しますが、角膜実質という角膜の深部に至る傷では、適切に治療がなされないと角膜穿孔(角膜に穴が開くこと)によって失明してしまう危険があります。

また、小さくても角膜に傷ができると強い痛みが生じるため、眼を気にしてこすることによって症状を悪化させてしまうこともあります。

眼の表面に濁りがある、眼をショボショボさせる、目ヤニや涙が多いなどといった異常が現れた場合には、できるだけ早く病院を受診し、適切な治療を行いましょう。

猫の角膜潰瘍の症状とは

眼の表面や開き具合に異常が見られます。

角膜潰瘍時に見られる症状は以下の通りです。
・眼をショボショボする
・眼を開けていられない
・涙目
・目ヤニ
・白目が充血している
・眼を気にしてこする
・眼瞼痙攣
・眼の表面が白く濁る
・角膜に血管が入り込む(血管新生)

角膜は無色透明で、通常は血管が入り込むようなことはありません。
角膜に炎症を起こしたり傷ができた時には、その部分を修復しようとする反応によって眼の表面が白く濁ったり血管が伸びて入り込む様子が見えるようになります。

また、角膜は痛みの刺激が強く出やすい部分でもあります。
傷があると痛みによって眼の開きが小さくなったり(左右の眼の開き具合が違う)、眼瞼の痙攣がよく見られますが、猫は目が痛いときに前足で眼をこすってしまうことが多く、その刺激によって傷を悪化させてしまうケースが多くあります。

角膜潰瘍に細菌感染を伴ってしまうと、目ヤニが多くみられます。
細菌感染があると角膜が融解して傷が深くなり、それによっても角膜穿孔の危険があります。

眼に何らかの症状が見られる場合や、しきりに目をこすっている場合にはとりあえずエリザベスカラーなどで眼を保護し、すぐに病院を受診しましょう。

猫の角膜潰瘍の原因とは

ウイルス感染が原因です。

猫ではヘルペスウイルス感染症に伴う角膜炎から角膜潰瘍になるケースが非常に多く見られます。
ヘルペスウイルス性の角膜潰瘍は通常の角膜保護治療だけでは治りが悪いのが特徴です。

また、外傷など他の原因によってできた角膜潰瘍でも、ヘルペスウイルス感染が根底にあると症状を悪化させる要因になります。

外傷によっておこります。

角膜潰瘍は外傷によっても起こります。
猫同士のじゃれあいやケンカなどで起こることが多いですが、猫の爪が眼に入った場合は感染や二次的な眼内炎に発展することがあるため、注意が必要です。

他には異物が目に入ることや、シャンプー液などが誤って目に入り、化学やけどのような状態から角膜潰瘍になることもあります。

眼の周りの異常が原因となることがあります。

睫毛の異常(逆さ睫毛)や瞼にできた腫瘤の刺激、あるいは涙の減少や閉瞼不全(瞬きができない、瞼が閉じきらない)などといった異常によって角膜潰瘍ができることがあります。

中には先天的に眼瞼が内側に入り込む眼瞼内反症や、瞼が欠損している眼瞼欠損等が原因となっている場合もあります。

猫の角膜潰瘍の好発品種について

全猫種で好発します。

どんな猫にも起こります。
様々な原因で多くの猫に発生する疾患です。

猫の角膜潰瘍の予防方法について

ウイルス感染対策で予防しましょう。

猫の角膜潰瘍の中で、ヘルペスウイルスが関連した角膜潰瘍は非常に多くみられます。
定期的に混合ワクチンを追加接種して体にしっかりと免疫を付けておくこと、発症時にはできるだけ早く治療を行い、悪化させないようにすることが重要です。

猫の角膜潰瘍の治療方法について

角膜保護と二次感染予防を行います。

角膜潰瘍の治療の第1歩は、角膜保護剤の点眼と抗生剤の点眼(または内服)です。

角膜保護剤には一般的にはヒアルロン酸ナトリウムなどの点眼薬を使用しますが、重度の角膜潰瘍の場合は血清点眼(血液の上澄みである血清を目薬として使用する)などを使用する場合もあります。

治療の初期には頻回の点眼(1日5~6回)が必要になることもありますが、経過が良好であれば徐々にその頻度を減らしていけます。

瞬きがうまくできない、涙の量が少ないなどといった原因から角膜潰瘍を起こしている場合には、液体の点眼薬では眼の表面がすぐに乾いてしまい、長時間の角膜保護は難しいため、眼軟膏による保護を行います。

感染症に対する治療が必要です。

ヘルペスウイルス性の角膜炎では抗ウイルス薬の内服薬などを併用します。
他にも、クラミジア感染やマイコプラズマ感染を併発している場合は、それぞれに対応した抗生物質での治療が必要となります。

そのためには角膜潰瘍が起こっている原因や感染の状況をしっかり検査することが重要になります。

外科療法を行う場合もあります。

角膜潰瘍の治療では、外科的な処置が必要になることがあります。

先天的な瞼の異常や瞼にできた腫瘤などが原因の場合は、手術によって瞼を形成する、瞼の腫瘤を切除するなどといった処置を行います。

潰瘍部分から角膜の表層がはがれかかったまま残り、治りを悪くしている場合には、点眼麻酔を施した上でその部分を一度きれいに除去する必要があります。

また、点眼が非常に困難な場合や、眼の保護を目的として、一定期間眼瞼を縫合する処置を行う場合もあります。

傷が角膜の深層に達しており、角膜穿孔の危険がある場合や、既に穿孔を起こしてしまっている場合には、角膜の欠損部を白目部分にある結膜で覆って保護する「結膜フラップ術」、あるいは瞬膜で覆う「瞬膜フラップ術」などが行われます。

非常に大きな角膜潰瘍では、欠損部を覆うために角膜移動術や角膜移植、あるいは培養角膜シートの移植なども行われる場合がありますが、非常に専門性の高い手術となり、その適応の判断も含めて眼科専門医に紹介されることが多くなります。

角膜穿孔によって既に失明してしまっている場合で、感染のコントロールができない場合や二次的な炎症によるブドウ膜炎・緑内障などがある場合には、感染や痛みのケアのために眼球摘出が選択される場合もあります。

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