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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の乾性角結膜炎とは

涙の分泌が減少し眼の表面が乾いてしまう病気です。(ドライアイ)

動物の眼の表面には角膜という透明な膜があり、角膜表面は常に涙の膜が覆って異物による刺激や乾燥から角膜を保護しています。

乾性角結膜炎は、何らかの異常によって涙の分泌が低下してしまう眼の病気で、いわゆる「ドライアイ」です。

涙の層には角膜を乾燥や異物による刺激から保護するだけでなく、瞬きの際の瞼の摩擦を減らす潤滑剤としての役割や、眼の表面を洗い流す役割があります。
涙が減少して角膜表面が乾いてしまうと、瞬きの度に眼の表面に刺激が起こり、角膜炎や角膜潰瘍を起こしてしまいます。
細菌感染なども起こりやすくなり、眼の表面には分泌された眼脂がべっとりと付着して不衛生な状態になることもあります。

治療が遅れると角膜穿孔や色素沈着を起こし、失明につながる恐れもあります。
猫ではあまり多く見られる病気ではありませんが、眼に異常が見られた場合には早目に病院を受診しましょう。

猫の乾性角結膜炎の症状とは

眼の光沢がなくなります。

眼の表面が涙の膜で覆われていると、眼の表面には光沢があり、眼もパッチリと開いています。

しかし涙が減少して眼の表面が乾くと、瞬きをするだけでも眼の表面に刺激を与え、角膜炎や結膜炎、角膜潰瘍などを起こしてしまい、以下のような症状を示します。

・眼表面の光沢がなくなる
・眼を気にしてこする
・眼の開きが小さくなる
・眼を痛がる
・眼が充血している
・眼の表面が白く濁る
・目ヤニが眼の表面や眼の周りに多く付着し、不衛生な状態になる
・眼の表面に黒い色素沈着が起こる

涙が不足すると、眼の表面を洗い流すこともできなくなるため、細菌感染なども起こりやすくなります。
感染によって目ヤニが出始めると、眼の表面にべったりと貼りつくようになり、それが徐々に蓄積して眼全体を覆う瘡蓋の様になってしまうこともあります。

そのような状態になると眼だけでなく眼の周りの皮膚がただれた状態になり、眼の辺りを触られること自体を嫌がるようになり、治療自体も難しくなってしまいます。
その間に眼の状態が悪化し、角膜穿孔などを起こしてしまうと、最悪の場合は失明につながります。

そのような状態を回避するためにも、できるだけ早い段階で病院を受診し、治療を始めることが重要です。

猫の乾性角結膜炎の原因とは

眼疾患に付随して起こります。

結膜炎や瞼の炎症を起こす眼の病気によって、涙を分泌する涙腺や瞬膜腺に炎症が起こり、涙が減少することがあります。

猫の目に角膜炎や結膜炎を起こす、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、クラミジア感染などがその原因になります。

眼の表面に脂を分泌するマイボーム腺の詰まりや炎症が起こった場合にも起こります。
マイボーム腺が分泌するのは涙ではなく皮脂の成分の一つですが、この脂の成分は涙の層の上に脂の膜を形成し、涙の蒸散を防ぎ、涙を目の表面に行き渡らせる作用を持っています。
マイボーム腺からの脂の分泌が低下すると、涙の膜が眼の表面をうまく覆うことができず、眼の表面が乾きやすくなってしまうのです。

また、瞬膜腺が突出する「チェリーアイ」の治療として瞬膜腺を摘出する治療を実施した際にも、ドライアイが起こりやすくなります。

その他の原因でもおこります。

眼に分布する神経の障害や、使用した薬剤の影響(サルファ剤やアトロピンの点眼)、内科疾患の影響(副腎皮質機能亢進症や糖尿病)、免疫異常などによっても起こることがありますが、はっきりとした原因がわからない場合(特発性)もあります。

先天性の異常として起こることもありますが、猫ではほとんど見られません。

猫の乾性角結膜炎の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。
この病気が猫で起こること自体が稀です。

猫の乾性角結膜炎の予防方法について

眼の異常を放置しないようにしましょう。

眼疾患に付随して起こる乾性角結膜炎は、原因となる眼の治療をしっかり行うことで予防できます。

日ごろから眼のケアを行いましょう。

眼の表面に脂を供給するマイボーム腺の炎症は、眼のマッサージによって予防することができます。
手のひらや40度くらいに温めたタオル、ジェルパッドなどで目を温め、やさしくマッサージし、その後手で瞬きを20~30回ほどパチパチとさせることで、マイボーム腺の脂を柔らかくし、分泌を促すことができます。(温罨法)

猫の乾性角結膜炎の治療方法について

原因疾患の治療を行います。

ドライアイを起こす原因となっている疾患があれば、まずはそれを治療します。

感染症に対しては抗生物質やインターフェロン、全身的な内科疾患に対してはそれぞれに対応した投薬を行います。

免疫の異常によって起こる涙の分泌減少には免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムスなど)の点眼薬が有効なことがありますが、感染症に対するケアを同時に行わなくてはなりません。

マイボーム腺からの分泌低下によって涙の膜を保持できない場合には、マイボーム腺の炎症を抑える消炎剤や、温罨法によってマイボーム腺の機能を回復させることが治療になります。

原因となっている疾患によって治療は異なるため、診断の段階でしっかりと眼や全身の検査を行っておくことが重要です。

角膜保護で治療します。

涙の分泌が回復しない場合には、眼の表面の目ヤニをきれいに洗い流し、角膜保護剤の点眼液や眼軟膏などで目の表面を覆って乾燥を防ぐ治療を行います。

点眼液を使用する場合は、効果が持続しにくいため、一日に5~6回の頻回点眼が必要になります。

多くの場合は生涯点眼治療が必要になりますが、色素沈着や潰瘍を作ることがなければ良好に維持・管理することができます。

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