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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の進行性網膜萎縮とは

網膜の変性・萎縮によって視覚を喪失してしまう病気です。

網膜は、眼に入ってきた光や映像を映すスクリーンのような組織です。
眼から入ってきた情報は網膜に映し出され、それが視神経を通じて脳に伝達されることで見たものを認識することができるのです。
つまり、物を「見る」うえで網膜は必要不可欠な組織です。

進行性網膜萎縮という病気は、網膜に存在する視細胞が変性・萎縮してしまうことで、網膜の機能が徐々に失われていき、最終的には視覚を喪失してしまう病気です。
通常両側性に起こり、進行性で、治療する効果的な方法はありません。
また、多くの場合は白内障を続発してしまいます。

視力を喪失してしまった場合は、落下したり怪我をする可能性がある部分は立ち入れないように生活環境を整える必要がありますが、嗅覚や触覚などが優れているため、部屋の配置を大きく変化させることがなければ、日常生活をある程度維持することは可能です。

視覚を喪失してしまい、治療法もない、ということで病院から足が遠のいてしまいがちですが、白内障の発症チェックとその治療は継続して必要です。
定期的に病院を受診し、眼のチェックをしてもらいましょう。

また、この病気は遺伝する可能性があるため、繁殖は避けるようにしましょう。

猫の進行性網膜萎縮の症状とは

徐々に視覚を喪失します。

進行性網膜萎縮を初期で発見することは難しく、診断がついた時点でほぼ視覚を喪失していることが多い病気です。

進行性網膜萎縮で見られる症状には以下のようなものがあります。

・夜盲症(初期)
・ものにぶつかって歩く
・音に敏感になる
・体を触ると驚く、怒る
・高いところに登らなくなる
・段差につまづく
・玩具に反応しなくなる
・瞳孔が開いたままになる
・眼の奥が白く濁る(白内障)

網膜には2種類の視細胞が存在します。
・杆体細胞…光を感じとる細胞。微量の光にも反応する。
・錐体細胞…明るい場所で光や色を感じとる細胞。

進行性網膜萎縮は、視細胞の中でも杆体細胞の変性から始まります。

そのためはじめに見られる症状として、薄暗い部屋などで物にぶつかるようになる、段差につまづくなどといった変化が見られます。
進行に伴って徐々に錐体細胞の変性・萎縮も起こり、明るい場所でも物にぶつかる、高さのあるものに飛び乗らない、水を飲む際に水面の高さを測れず、鼻先に水がつくと一瞬驚いたようなしぐさをする、などといった変化が現れます。

最終的には完全に視覚を喪失してしまいますが、ゆっくりと進行するため、その間に猫は生活環境を臭いや触覚などである程度記憶し、食事や排泄に支障を来たすようなことはあまりありません。

視覚を喪失した後も気を付けたいのが白内障です。
網膜には血管が豊富に走行しており、水晶体に栄養を供給しています。
網膜が変性・萎縮することによって栄養供給が減少し、さらに変性した視細胞に由来する過酸化脂質の影響によって、白内障を高率に発症してしまいます。
白内障が進行すると、ブドウ膜炎や緑内障など、眼に痛みや違和感を生じる症状を示すようになり、また水晶体脱臼によって角膜穿孔を起こしてしまうこともあるため、定期的に眼のチェックをしてもらうようにしましょう。

猫の進行性網膜萎縮の原因とは

遺伝性におこります。

進行性網膜萎縮はアビシニアンやペルシャで遺伝性におこることが確認されている疾患です。
発症した猫を繁殖させてしまうと、子どもにも発症する危険があります。

タウリン欠乏で発症します。

アミノ酸の一種であるタウリンの不足によっても発症します。
以前はキャットフードに含まれるタウリンの量が十分でなかったために、進行性網膜萎縮や拡張型心筋症という病気が見られることが多い時期がありました。

しかし、タウリンの必要性が認識されるようになってからは、キャットフードにタウリンが十分添加されるようになり、タウリン欠乏による発症は減少しました。

その他の原因で起こることもあります。

緑内障やブドウ膜炎などの眼の他の病気の影響や、使用した薬剤の影響(中毒)、全身性の高血圧症の影響などによって、網膜に変性が起こり発症することがあります。

猫の進行性網膜萎縮の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

アビシニアンでは若いうちに発症する早期発症タイプと中高齢で発症する晩期発症タイプがあります。
ペルシャで起こるものは多くが早期発症タイプです。
しかし、猫に進行性網膜剥離が起こること自体、それほど多くありません。

猫の進行性網膜萎縮の予防方法について

繁殖を控える必要があります。

この病気は遺伝的に起こるものなので、発症を予防する方法はありません。

将来的にこの病気の遺伝子を持つ猫を減らすために、進行性網膜萎縮を発症した猫は繁殖させないようにすることが望まれます。

バランスの取れた食事を与えましょう。

現在販売されているキャットフードは、ほとんどが十分な量のタウリンを含んでいるため、食事が問題になることはあまりありません。

しかし、ホームメイド食やドッグフードを与えている場合には、タウリンが不足してしまうことがあるため注意が必要です。
猫用のバランスが取れた、タウリンも必要量添加されたフードを与えるように心がけましょう。

猫の進行性網膜萎縮の治療方法について

変性した網膜を治療する方法はありません。

遺伝性の進行性網膜萎縮を治療する方法は現在ありません。
視覚がある程度残っている状態で診断された場合でも、最終的には完全に視覚を喪失してしまいます。

また、他の疾患に伴って起こった網膜の変性も、回復させることはできません。
原因となっている疾患をしっかり治療することでそれ以上の進行を抑制することができる可能性はあります。

白内障に対するケアが必要です。

進行性網膜萎縮を発症した動物のほとんどが、白内障を続発してしまいます。
白内障が進行すると、やがて眼の中の水晶体が融解し、それによってブドウ膜炎や緑内障、水晶体脱臼などに発展すると、眼の炎症や痛み、角膜穿孔(水晶体が前眼房に脱臼した場合)などを起こすことがあります。

視覚を喪失してしまった後も定期的に眼の検診を受け、白内障の進行状況を把握し、その時々に合ったお薬(消炎剤など)を処方してもらうことも必要です。

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