猫の鼻咽頭狭窄症とは
鼻の奥に膜状の構造物が形成され、呼吸が苦しくなります。
猫の鼻は非常に小さいですが、鼻の穴の奥には鼻腔という空間が広がり、さらにその奥は鼻咽頭という部分を経て喉の奥に開口します。
鼻咽頭狭窄とは、鼻咽頭が何らかの原因で狭くなり、空気の通りが悪くなった状態です。
先天性にも後天性にも起こりますが、先天性は非常に稀で、ほとんどの場合は上気道感染やアレルギー性疾患に関連して起こる後天性のものです。
多くの場合は鼻咽頭に起こった炎症によって膜状の構造物が形成され、気道を狭窄させてしまうことによっておこるため、治療には膜様物の切除が必要になります。
猫の鼻咽頭狭窄症の症状とは
呼吸器症状がみられます。
鼻咽頭狭窄があると、主に呼吸器症状が現れます。
・呼吸が苦しそう
・口を開けて呼吸する
・鼻の奥からズーズー音がする
・鼻汁
・くしゃみ
・飲水時や食事の時に呼吸がさらに苦しくなる
・イビキをかく
猫は通常、鼻で呼吸しますが、鼻咽頭狭窄が存在すると口を開けて開口呼吸する様子が見られます。
症状は鼻炎の症状に似ていますが、一般的な抗生物質や消炎剤の治療では改善しません。
鼻からの呼吸が難しくなるため、口に物が入った状態(飲水時や食事の時)に呼吸器症状が顕著になる傾向があります。
猫の鼻咽頭狭窄症の原因とは
先天性に起こります。
生まれつき鼻咽頭の構造に狭窄が見られる場合がありますが、非常に稀です。
鼻炎などに続発します。
感染性の鼻炎やアレルギー性の鼻炎などによって、長期にわたり慢性の炎症があると、鼻咽頭付近に粘膜の潰瘍が形成され、それが瘢痕化する際に内腔を狭窄するように膜状の構造物を形成してしまうことがあります。
この膜が気道を狭めることで呼吸が苦しくなり、開口呼吸や呼吸時の異常音を起こします。
猫の鼻咽頭狭窄症の好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
猫の鼻咽頭狭窄症の予防方法について
感染症対策で鼻炎を予防しましょう。
猫は様々な原因で鼻炎を起こしますが、その中でも多いウイルス性の鼻炎やクラミジア感染症は、感染している猫との接触によっておこります。
そのため、できるだけ室内飼育を徹底し、定期的な予防接種で感染症を予防することで、鼻炎の発生とそれに続発する鼻咽頭狭窄の予防ができると考えられます。
猫の鼻咽頭狭窄症の治療方法について
狭窄を解除します。
鼻咽頭狭窄症の治療方法は、狭窄している部分の膜様の構造物を取り除き狭窄を解除することです。
手術によって切除する、または内視鏡で確認しながら先端が風船のように膨らむバルーンカテーテルを膨らませることで狭窄部分を拡張させる、などといった方法がありますが、処置後に再狭窄が起こることが多く、処置を繰り返し行わなくてはならないこともあります。
消炎治療を行います。
外科処置を行った後は消炎剤(主にステロイド剤)や抗生物質による治療を行います。