猫の三叉神経麻痺とは
原因不明の神経炎によっておこる閉口障害です。
三叉神経とは、脳から分岐する5番目の脳神経です。
三叉神経はその名の通り大きく3本に分岐し、眼神経、上顎神経、下顎神経となり、頭や顔の感覚や顎の開閉運動に関わっています。
三叉神経麻痺は、主に下顎神経の障害によって、口を閉じることができなくなる病気です。
猫での発生は稀ですが、口を閉じることができないために食事や飲水が困難になります。
原因不明で消炎剤治療にも反応せず、効果的な治療方法はありませんが、多くの場合は2~4週間ほどで自然に回復が見られます。
顔の神経に障害を起こす他の疾患(脳腫瘍や筋炎など)との鑑別が重要になります。
猫の三叉神経麻痺の症状とは
下顎を閉じることができなくなります。
三叉神経麻痺がおこると、下顎を自分で閉じることができなくなり、口が開きっぱなしになります。
主に見られる症状は以下の通りです。
・常に口が開いている(下顎下垂)
・涎を垂らす
・食事や飲水が困難になる
・頭の筋肉が痩せる(側頭筋萎縮)
症状は突然発症し、両側性に起こります。
口を開くことには問題はなく、手で口を触ると何の抵抗もなく口が開き、そのまま閉じることができません。
噛むことができないため、咀嚼する時に使う側頭筋(頭の前側の筋肉)が萎縮して、頭がへこんだように見えることもあります。
三叉神経麻痺は、主に下顎に分岐する下顎神経に障害が起こりますが、他の上顎神経や眼神経にも異常が見られると眼の角膜の知覚が低下し、ものに触れても瞬きができないことがあるため、眼に外傷を生じやすくなることもあり注意が必要です。
猫の三叉神経麻痺の原因とは
原因不明です。
三叉神経麻痺は三叉神経の炎症によっておこりますが、その原因は不明です。
そのため、特発性三叉神経麻痺とも呼ばれます。
猫の三叉神経麻痺の好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
一般的に猫での発生は稀です。
猫の三叉神経麻痺の予防方法について
予防する方法はありません
原因がはっきりせず突然発症するため、予防することは難しい病気です。
猫の三叉神経麻痺の治療方法について
無治療で経過観察します。
三叉神経麻痺に対する効果的な治療方法はありません。
ステロイド剤などの消炎剤を投与しても効果が見られないことから、無治療で経過観察をしつつ、食事の補助などを行います。
食事・飲水の補助を行います。
顎を閉じることができなくなるため自分で食事を摂ることは難しくなりますが、舌は動かせるため、飼い主さんが補助してあげることで摂食は可能になります。
食事はドライフードのままよりも、ふやかしたりウェットタイプにして小さな団子状にすることで食べこぼしが減り、口の奥へ運びやすくなります。
飲水がなかなかできない場合はスポイトなどで少量ずつ口に含ませてあげましょう。
このようなケアがなかなかうまくいかず、脱水や体の痩せ具合がひどくなる場合には、食道チューブや胃チューブなどを設置してチューブから食事を入れることも視野に入れなければなりません。
しかし、多くの場合は食事の補助で対応でき、2~4週間ほどで自然に症状が改善します。