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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の水頭症とは

脳の中に脳脊髄液が過剰に溜まる病気です。

脳や脊髄の周りには脳脊髄液という液体が存在し、脳や脊髄を衝撃から守ったり、脳の水分含有量を調整したり、神経伝達物質やホルモン栄養素、老廃物などを輸送する役割を果たしています。

脳脊髄液は脳の中で産生され、脳の中にある脳室という空間にある程度貯留し、脳や脊髄の周りを循環した後、静脈内に吸収されます。

脳脊髄液が産生されてもうまく循環されなくなってしまうと、脳室内に脳脊髄液が過剰に貯留し、脳の組織を圧迫して菲薄化させてしまいます。
この状態を水頭症といいます。

多くの水頭症は先天性ですが、外傷や炎症・腫瘍などによって脳の構造が変化して起こることもあります。

水頭症になると神経症状が現れ、診断・治療が遅れると重篤な神経障害から命を落とすこともあります。
猫ではあまり多い病気ではありませんが、行動に異常が見られたらまずは動物病院を受診しましょう。

猫の水頭症の症状とは

神経症状がみられます。

水頭症では主に神経症状が見られます。
程度によってその症状の出方は様々ですが、重度になればなるほど症状は悪化し、最悪の場合は命を落とすことにもなりかねません。

主に見られる症状は以下の通りです。

・頭が大きく丸い
・視力障害
・両目の外斜視(両目が少し外側を向いている)
・発育不良
・歩行障害(旋回やふらつき)
・学習能力が低い
・食欲不振
・元気がない
・寝てばかりいる
・痙攣発作
・異常な攻撃性
・昏睡状態

先天性の場合は体や知能の発育が悪く、体が小さく元気がないことが多く、しつけもなかなか覚えられないためにトイレの失敗などもよく見られます。

また、視力に障害があったり斜視が見られることもあり、物によくぶつかる、壁に沿って歩く、段差で転ぶなどといった様子が見られます。

治療が行われずに重症化すると、脳圧が亢進するために昏睡状態となり、痙攣発作などもおこすようになってしまいます。

猫の水頭症の原因とは

先天性の異常です。

猫の水頭症はあまり多くはありませんが、先天性に水頭症が見られることがあります。
特にシャムでの発生が多くみられます。
先天性の水頭症では子猫の時から体に対して頭が大きく、発育が悪い傾向があります。

後天性に発生する場合もあります。

何らかの原因によって脳脊髄液の産生が亢進する、脳脊髄液の流路が閉塞する、脳脊髄液の吸収が低下するといった変化が起こり、発症することもあります。

原因としては脳炎や腫瘍、頭部の外傷などが挙げられます。

猫では猫伝染性腹膜炎による全身の炎症性病変の一つとして水頭症が認められることがあります。

猫の水頭症の好発品種について

以下の猫種で好発がみられます。

猫の水頭症は犬に比べると稀な病気ですが、シャムには先天性の水頭症の好発傾向が若干あるようです。

猫の水頭症の予防方法について

感染症を予防しましょう。

猫伝染性腹膜炎に続発する水頭症は、コロナウイルスへの感染に配慮することで予防できますが、母猫から感染が成立することもあるため完全な予防は難しいのが実際です。
しかし新たな感染を予防するという意味では、室内飼育を徹底することが効果的です。

また、コロナウイルスに感染していても全ての猫が伝染性腹膜炎を発症するわけではなく、多頭飼育などのストレスがかかると発症しやすいとされていることから、多頭飼育をできるだけ避けることが予防策の一つになるかもしれません。

猫の水頭症の治療方法について

可能であれば外科治療が第一選択です。

猫伝染性腹膜炎による水頭症を除けば、水頭症治療の第一選択は外科療法です。

外科治療では過剰に貯留してしまう脳脊髄液をお腹の中に流して吸収させるために、脳からお腹にシャントチューブという特殊な管を設置します。(脳室腹腔短絡術)

シャントチューブが閉塞してしまったり、脊髄液が排出されすぎてしまうこともあるため、術後も定期的に経過をチェックしてもらうことが必要です。

内科治療で脳圧を下げます。

水頭症の内科治療としては、脳脊髄液の量を減少させて脳圧を下げる治療が行われ、主に浸透圧利尿剤やステロイド剤が使用されます。
症状が発症した急性期や、外科手術までの維持・管理として、あるいは外科手術ができない場合の対症療法として行われます。

浸透圧利尿剤として使用されるのはマンニトールという輸液剤です。
主に脳圧が高くなった急性期の治療として行われる治療で、浸透圧の高いマンニトールを静脈点滴することで血管内に水分を引き寄せ、脳の浮腫を取り除き、脳脊髄液の産生を低下させて脳圧の上昇を解除します。

ステロイド剤は、急性期から維持期に使用される薬剤で、脳の浮腫や炎症を改善させる他、脳脊髄液の産生速度を低下させ、吸収を促進する作用があります。
初期には高用量で使用しますが、副作用が現れる可能性が高いため、状態が安定したら徐々に量を減らして副作用が出ない程度の維持量で治療を継続します。

猫伝染性腹膜炎に続発した場合には予後は良くありません。

猫伝染性腹膜炎を発症してしまった場合、残念ながら効果的な治療方法はありません。
ステロイド剤などで一時的に症状が改善する場合がありますが、多くの場合は短期間で症状が再度悪化し、予後は良くありません。

現在は原因となっているコロナウイルスに対する新しい治療薬が検討されていますが、その効果を詳しくまとめた報告はまだありません。

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