猫の鼻腔内腫瘍とは
多くは鼻腔のリンパ腫です。
猫の鼻腔内には数種類の腫瘍ができることがありますが、中でもリンパ腫が多く見られます。
他には腺癌や扁平上皮癌、線維肉腫などといった腫瘍ができることがありますが、そのほとんどは悪性腫瘍に分類されるものです。
初期症状としては鼻汁や鼻づまりなどが見られ、ウイルス性疾患で鼻炎症状を示すことが多い猫では猫カゼの症状と間違われることも多いですが、症状が進行するにつれて鼻出血や鼻の変形などが見られるようになります。
このような症状を示す病気には、真菌感染症も挙げられます。
見た目や経過だけで腫瘍かどうかは判断できないため、しっかりとした検査を受けることが重要です。
鼻の腫瘍では麻酔をかけて行うようなCT検査や放射線治療などが必要になることも多く、一般病院では検査・治療が難しい場合があります。
しかし進行すると外貌が変形してしまうことが多いため、できるだけ早い段階で異常を見つけ、検査・治療可能な病院を紹介してもらうなど、早目に対処してあげたい病気です。
猫の鼻腔内腫瘍の症状とは
鼻炎と似たような症状がみられます。
鼻腔内腫瘍では、猫カゼで見られる鼻症状と類似した症状が見られます。
・鼻水
・くしゃみ
・鼻づまり
・流涙
・鼻出血
・鼻筋が盛り上がってくる
・顔の変化(眼が圧迫されるなど)
・食欲不振
・元気消失
症状は初めから両側性に見られることもありますが、猫カゼと異なり初期は片側性に見られることもあります。
しかし、鼻腔内腫瘍の多くは悪性腫瘍で、周囲の組織を破壊しながら大きくなるため、進行すると鼻の中央にある鼻中隔という骨を壊して腫瘍が反対側にも浸潤し、両側に症状が見られるようになります。
このように局所への浸潤性は強いものが多いですが、肺などの他の臓器への遠隔転移は稀とされています。
鼻の中にできた腫瘍が大きくなると、徐々に空気の通り道をふさぐようになり、鼻の通りがどんどん悪くなります。
そのため、呼吸の度に鼻の奥でズーズー音がしたり、鼻呼吸ができなくなって口を開けて呼吸するようになります。
口呼吸をしていることに加え、臭いも感じにくくなってしまうために食欲は落ち、元気もなくなってしまいます。
また鼻と眼は鼻涙管という管でつながっているため、腫瘍の圧迫・浸潤によって鼻涙管が閉塞すると涙が鼻に流れず、涙が目からこぼれるようにもなります。
多くの腫瘍は成長する際に鼻の中の骨を溶かしながら大きくなり、進行すると鼻梁(顔の鼻筋あたり)が盛り上がってきます。
重症例では盛り上がった腫瘍に圧迫されて眼を開けづらくなったり、外側に向いてしまうこともあります。
愛猫の顔が変形してしまうのは見ている飼い主さんも辛いものです。
そうなる前にできるだけ早く病院で検査・治療を受けましょう。
猫の鼻腔内腫瘍の原因とは
リンパ腫が最も多く発生します。
猫の鼻腔内腫瘍で最も多く発生するのはリンパ腫です。
リンパ腫は免疫細胞の一種であるリンパ球が腫瘍性に増殖する血液の腫瘍で、全身のどこにでも病変を作ることがあり、鼻腔もその好発部位の一つです。
リンパ腫は猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスに感染していると発症リスクが高い腫瘍ですが、鼻のリンパ腫に関してはそれらのウイルス感染との関連性は認められていません。
その他の腫瘍もおこります。
リンパ腫の他には、腺癌、扁平上皮癌、線維肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、未分化癌などが発生することがあります。
これらはすべて悪性腫瘍です。
腫瘍が発生する原因はわかっていません。
猫の鼻腔内腫瘍の好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
猫の鼻腔内腫瘍の予防方法について
予防方法はありません。
どのような要因が腫瘍の発生に影響しているのかわかっていないため、予防は困難です。
猫の鼻腔内腫瘍の治療方法について
リンパ腫の場合は抗がん剤または放射線療法を行います。
リンパ腫の場合は、治療として抗がん剤治療や放射線療法が選択され、外科手術をすることはありません。
どちらの治療もリンパ腫には非常に有効ですが、放射線治療は治療設備のある大学病院や高度医療センターなどでしか実施できず、場合によっては複数回麻酔をかける必要があり、治療費も高額になります。
そのため、麻酔処置がハイリスクである場合や、治療費に制限がある場合などは、抗がん剤治療が選択肢となります。
また、リンパ腫は鼻腔以外にも発症する可能性があるため、放射線治療後のアフターケアとしても抗がん剤治療が行われます。
抗がん剤治療は長期にわたって抗がん剤を注射や点滴、飲み薬などとして投与します。
副作用が出る場合も多いため、かかりつけの先生とよくコミュニケーションをとりながら、慎重に治療していきましょう。
リンパ腫以外の治療では切除または放射線療法を行います。
リンパ腫以外の腫瘍では、可能であれば腫瘍の切除手術を行いますが、周囲の組織に浸潤している場合も多く、また外科手術による顔貌の変化が重度になると予想される場合には、放射線治療を行います。
腫瘍の種類によってその治療効果はまちまちですが、比較的良好な反応が得られることが多いようです。