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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の扁平上皮癌とは

白猫に皮膚腫瘍として発生することが多い腫瘍です。

扁平上皮細胞とは、体の表面を覆う上皮細胞の一種で、皮膚や粘膜の表面に存在します。
扁平上皮癌とは扁平上皮細胞が腫瘍性に増殖した悪性腫瘍です。

扁平上皮細胞は皮膚や口腔内粘膜、鼻腔内、咽頭、気管や肺、扁桃など、外界に接している様々な部分の皮膚や粘膜面に存在するため、扁平上皮癌は同様に様々な部分に発生します。
しかし、発生部位によってその挙動が少し異なり、早期発見・早期切除で予後が比較的良好なものもあれば、発見時には転移してしまっている場合など様々です。

猫では特に白猫の耳などに発生することが多く、発生には紫外線の刺激が関与していることが知られています。

いずれにしても、治療にはできるだけ早期の外科手術が重要ですが、口腔内や鼻先にできる扁平上皮癌では、切除によって外貌が大きく変化したり摂食に問題が出ることがあり、どのような治療を行うかは事前によく相談する必要があるでしょう。

猫の扁平上皮癌の症状とは

皮膚の扁平上皮癌は耳に好発します。

皮膚の扁平上皮癌は、主に頭部の皮膚や指先に発生することが多く、特に耳の先端での発生が多くみられます。

初期には皮膚表面の小さなしこり、あるいは皮膚炎の様な赤み、小さな傷のように認められることが多いですが、数日経っても良化することなく徐々に拡大していきます。
進行するにつれて中心部分に潰瘍ができることが多く、しばしば出血も伴います。

耳以外では、鼻鏡(鼻先)、眼瞼、第三眼瞼(瞬膜)、指先などが好発部位で、発生部位によってその局所での浸潤性や転移性に差が見られます。

鼻鏡や第三眼瞼の扁平上皮癌は局所での浸潤性が強く、深部の組織に浸潤しやすい傾向を持ちますが、転移はあまり起こりません。

一方、眼瞼に発生する扁平上皮癌は局所浸潤も転移もあまりなく、表面のみに腫瘤を形成することが多くなります。

指先にできる扁平上皮癌は浸潤性が強く、骨浸潤やリンパ節への転移率が高い傾向があります。
骨に浸潤すると強い疼痛が起こり、患肢をかばうような歩き方になります。

扁平上皮癌の猫では、腫瘍に随伴する症状として高カルシウム血症を起こすことがあり、その場合には多飲多尿や食欲不振・元気がなくなるといった症状も見られます。

口腔内の扁平上皮癌は口内炎様の症状を示します。

口腔内の扁平上皮癌は、猫に発生する口腔内腫瘍の中で最も多い悪性腫瘍です。
歯肉や舌に腫瘤や潰瘍のような病変を作り、初期には口内炎や歯肉炎などと類似しています。
症状としては以下の様なものが見られます。

・口腔内に腫瘤ができる
・口腔内に出血がある
・口を気にする
・涎を垂らす
・食欲不振
・元気がなくなる
・食べづらそうな様子がある(食べこぼしが増える)

口腔内の扁平上皮癌は局所の浸潤性が強く、しばしば骨にも浸潤します。
痛みから食事をあまり摂れなくなることが多いですが、猫はじっくりと口の中を見せてくれる動物ではないため、発見が遅れることが多い腫瘍です。

扁桃の扁平上皮癌は悪性度の高い腫瘍です。

口の奥、喉の入り口辺りに左右に存在する扁桃は、免疫に関与するリンパ組織の一つです。

この扁桃にも扁平上皮癌が発生することがあります。
扁桃の扁平上皮癌は最も悪性度が高く、発見時には他のリンパ節や肺に転移が起こっていることが多いタイプです。

また腫瘍が大きくなることによって、気管が圧迫され呼吸状態が悪化したり、食べ物を飲み込みづらくなることがあります。

猫の扁平上皮癌の原因とは

紫外線の刺激が発生に関与しています。

扁平上皮癌は、白猫や白い毛の多い猫の皮膚で発生することが多く、紫外線による刺激が発生要因となっていることがわかっています。

しかし、口腔内や扁桃、肺に起こる扁平上皮癌などの発生要因はわかっていません。

猫の扁平上皮癌の好発品種について

好発する品種はありません。

品種による好発傾向はありません。
白い猫や白い毛の多い猫で好発します。

猫の扁平上皮癌の予防方法について

紫外線対策をしましょう。

腫瘍発生に紫外線の関与が指摘されているため、できるだけ室内飼育にする、長時間日の当たる場所にいないようにする、紫外線カット効果のあるカーテンを使用するなど、紫外線対策に気を付けましょう。

猫の扁平上皮癌の治療方法について

外科切除でできるだけ早期に切除します。

扁平上皮癌の治療の第一選択は外科切除です。
できるだけ早期に病変を切除することが重要です。

扁平上皮癌は発生部位によっては周囲組織への浸潤が強く起こるため、再発を予防するにはできるだけ広く切除することが必要です。
皮膚にできた扁平上皮癌で、手術で完全に切除できた場合は予後が割と良好です。

しかし鼻鏡や口腔内などでは大きく切除することによって顔貌が変化することがあり、切除できる範囲にも限界があるため、他の治療方法を併用した治療が多く行われます。

指先の扁平上皮癌では骨浸潤が高率に起こっているため、断指術を行います。

口腔内の扁平上皮癌ではしばしば顎の骨も含めた切除が必要です。
その範囲によっては摂食に障害が出ることがあり、広範囲の顎骨切除手術を行う場合には、手術と同時に食道や胃にチューブを設置して流動食をそこから入れることができるようにします。

放射線治療は補助的に行います。

放射線治療だけで腫瘍を完全に治療することはできませんが、外科手術と組み合わせて切除しきれなかった腫瘍細胞を抑える治療を行います。

抗がん剤を併用することで放射線治療の効果をより増強する治療方法もあります。

しかし、放射線治療は大学病院などの高度医療設備の整った病院でなければ実施できず、治療には毎回麻酔をかけることが必要です。

また放射線治療の副作用として皮膚障害や口内炎などの放射線障害が一過性に出ることもありますので、治療を受ける前によく説明を受けるようにしましょう。

抗がん剤治療はまだ確立していません。

扁平上皮癌に非常に治療効果の高い抗がん剤治療方法はまだ確立されてはいません。

外科手術や放射線療法との組み合わせ、または転移病巣の拡大を抑える目的で抗がん剤治療を行う場合があります。

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