猫の線維軟骨塞栓症とは
脊髄の血管に線維軟骨が塞栓して麻痺が起こります。
線維軟骨塞栓症とは、脊髄の血管内に線維軟骨による塞栓が起こった状態をいいます。
猫での発生は非常に稀です。
線維軟骨塞栓症を起こすと、塞栓部分より先の血流が途絶え、その支配領域に麻痺が起こります。
特徴としては突然発症する四肢、片側の前後肢、あるいは一趾だけの麻痺で、椎間板ヘルニアや血栓塞栓症のような痛みの症状はありません。
同様の症状を示す疾患として、リンパ腫や猫伝染性腹膜炎、脊髄腫瘍などがありますが、その鑑別診断は困難なことがあり、臨床症状と合わせてMRI検査や脳脊髄液検査、治療に対する反応から診断されます。
猫の線維軟骨塞栓症の症状とは
急性発症する足の麻痺が特徴的です。
線維軟骨塞栓症は、突然発症します。
主に見られる症状は足の麻痺ですが、痛みなどの症状はなく、意識も明瞭です。
どの肢に麻痺が起こるか、四肢に起こるのか、一本だけの足に起こるのかは塞栓した部分がどこなのかによって変わります。
犬猫では頚髄や腰髄にある脊髄膨大部という部分での梗塞が多いとされ、頚髄の場合は四肢の不全麻痺、腰髄の場合は後肢の麻痺が見られます。
多くの場合には足に起こる麻痺が主な症状ですが、排尿障害が起こることもあります。
自力で排尿できない場合、膀胱がパンパンになるまで尿が貯留し、その後は尿漏れとして尿が排泄されるため、排尿の介助が必要になります。
猫の線維軟骨塞栓症の原因とは
線維軟骨の塞栓によっておこります。
線維軟骨塞栓症は脊髄の血管に線維軟骨が塞栓することによっておこります。
この線維軟骨は、背骨と背骨の間にある椎間板に由来すると考えられていますが、どのようにして血管に入るのかは明らかになっていません。
猫の線維軟骨塞栓症の好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
猫の線維軟骨塞栓症の予防方法について
予防は難しい疾患です。
線維軟骨が閉塞する原因がわかっておらず、突然発症するため予防は難しい疾患です。
猫の線維軟骨塞栓症の治療方法について
ステロイド療法を行います。
線維軟骨塞栓症の場合、発症初期にステロイド剤の投与を行うことで改善が認められることがあります。
発症から1~2週間で改善傾向が見られる場合、予後が良いとされています。
理学療法が機能回復に役立つことがあります。
ステロイド治療に加え、麻痺した足のマッサージや屈伸運動などで関節の可動性を保ち、刺激してあげることも、麻痺の回復に有効な場合があります。