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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の蛇の咬傷とは

マムシやハブによる咬傷で蛇毒による中毒症状を示します。

海外に比べると日本は有毒の蛇がもともと少なく、室内飼育が一般化してきているために蛇による咬傷・蛇毒による中毒は減少しつつありますが、外に出る猫ではマムシ、ヤマカガシ、ハブなどの有毒の蛇による咬傷が起こる可能性があります。
特に多いのはマムシやハブによるものです。

猫の蛇による咬傷では、蛇毒によって貧血や出血傾向、血圧低下、組織の壊死などを起こすことがあるとされていますが、実際には咬まれた部分の傷、腫れや感染等に対する治療を行うことで良好に経過するケースが多いようです。

しかし全身が被毛で覆われている猫では蛇に咬まれたことに気づくまで時間がかかることが多く、毒液の量に対して体が小さいため咬まれた部位や注入された毒液の量によっては重症化するケースもあるため、できるだけ早急な対応が必要です。

蛇に咬まれた可能性がある場合には、様子を見ずにできるだけ早く病院へ連れて行きましょう。

猫の蛇の咬傷の症状とは

有毒の蛇に咬まれた場合は牙痕が存在します。

日本にいる有毒の蛇は鋭く長い毒牙を持ちます。
マムシやハブは上顎の先端に左右対称に2本、ヤマカガシは上顎の奥に2本の毒牙があり、数秒以上咬まれることで毒液が注入されます。
そのため、受傷部には毒牙の牙痕が2カ所存在することが多いのですが、被毛に隠れて発見が遅れる、または腫れによって発見できないこともあります。

受傷部分は体のどこにでも起こりえますが、顔面や前肢にあることが多く、四肢の場合は跛行などが顕著にみられるため比較的異常に気付きやすくなります。
受傷部分は間もなく腫脹し、徐々に周囲に腫れが拡大していきます。
蛇に咬まれても毒液が注入される前に離れた場合には牙痕だけが残り腫れませんが、ヤマカガシの毒液は患部が腫れないこともあるため、腫れがないからといって安心はできません。

また、無毒の蛇に咬まれた場合には毒牙特有の鋭い牙痕は残りません。

毒液が吸収されると全身的な症状がみられます。

有毒の蛇に咬まれ毒液が注入されると、咬傷部の傷と腫れの他に以下の様な症状がみられます。

・元気消失
・食欲不振
・嘔吐
・下痢
・発熱
・咬傷部からの出血、腫れ
・出血傾向
・呼吸困難
・血圧低下
・頻脈や不整脈
・震えや痙攣
・眼振
・赤色尿(溶血と筋肉などの組織損傷による)

蛇に咬まれた後にこれらの症状がみられた場合には、発見時に軽症であっても後に急激に重症化する場合もあるため、24時間は特に注意して経過を見ます。

血圧の低下や神経症状がみられる場合、あるいは咬まれた部分が頭頚部で腫れによって呼吸困難などが起こると予想される場合には、入院管理で状態を慎重に観察する必要があります。

猫の蛇の咬傷の原因とは

蛇と接触し、咬まれることによっておこります。

外に出る猫が蛇と遭遇することで咬傷事故がおこります。
蛇は草むらや林、森にいることが多く、住んでいる環境の自然が豊富であればあるほど蛇との接触機会が多くなります。

ヤマカガシは他の毒蛇に比べると臆病な性格であるとされており、自分から攻撃を仕掛けてくることは少ないようですが、猫から攻撃を受けると自己防衛のために咬むことがあります。
一方、ハブは夜行性ですが攻撃性が高いとされ、草むらなどにも潜んでいることがあるため注意が必要です。

猫の蛇の咬傷の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。
外に出る猫であればどんな猫でも蛇と接触する可能性がありますが、特に山間部やハブが多く生息する温かい地域などでの発生が多くみられます。

猫の蛇の咬傷の予防方法について

室内飼育で予防できます。

蛇との接触は基本的には外で起こるため、室内飼育を徹底していれば毒蛇に咬まれることはありません。

猫の蛇の咬傷の治療方法について

毒液の排泄を試みます。

咬まれた場所が特定でき、咬傷事故発生から間もない場合には、可能であれば患部から毒素を吸い出す処置を行います。
毒液の吸引にはポイズンリムーバーという吸引器や先端を切り落とした注射器を使用し、牙痕部分にあて陰圧をかけて吸引します。

しかし患部の形状によってはこの処置が難しい場合もあるため、その場合は毒液の中和のために5%タンニン酸液や1~5%過マンガン酸カリウムで洗浄します。
これらがない場合には水で十分に洗い流します。

これらの処置は自宅で行うのではなく、できるだけ早く病院へ連れて行き、病院で行ってもらいましょう。

抗毒素血清によって治療します。

蛇毒に対しては抗毒素血清があるため、海外では治療の第一選択肢として抗毒素血清を点滴して治療します。
しかし、日本では動物の治療にはあまり使用されず、以下に示すような対症療法で状態が回復することが多いようです。

安静にして輸液や対症療法を行います。

蛇毒が体内に拡散するのを防ぐため、極力安静にして筋肉を激しく動かさないようにします。

蛇毒の作用によって心臓の働きに異常が見られると、循環不全から腎不全や肝不全などをおこし多臓器不全に陥ってしまう可能性があるため、循環を維持するために静脈点滴を行い、血圧や心電図をモニタリングしながら状態を観察します。

出血傾向が重度の場合には輸血を検討します。

また咬傷部分からの感染を予防するために抗生物質の投与を行い、咬傷部分の炎症や疼痛管理のために鎮痛剤や消炎剤を使用することがありますが、消炎剤は腎障害を助長したり消化管出血を起こす可能性のあるものもあるため、慎重に使用します。

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