猫のハエウジ症とは
皮膚の損傷部にハエの幼虫が寄生した状態です。
ハエウジ症とは、皮膚の損傷部分にハエの幼虫である蛆が寄生した状態で、主にハエが活発に活動する夏季にケガをした野良猫や外で活動する猫に見られます。
室内であっても、寝たきりの猫にできた褥瘡部分などに見られることがあります。
ケガをした部分は血液などの体液の浸潤によって周囲の被毛が汚れ、その湿潤部分にハエが卵を産み付け、孵化した蛆が寄生します。
傷口に白い小さな虫が密集してうごめいているため、見た目には非常にグロテスクですが、蛆は基本的に壊死した組織や漏れ出た体液などを食べるため、命に関わることはありません。
海外ではヒトの医療で蛆に壊死した組織を除去させる治療方法もあるほどです。
しかし屋外の環境下で蛆が寄生するような傷があるという状況は衛生上やはり良くありませんので、蛆を除去し、傷の洗浄・感染対策をしながら治療を行うことが必要です。
猫のハエウジ症の症状とは
外傷部分に蛆が寄生します。
ハエウジ症では皮膚の損傷部分に白い小さな虫が多数付着しているのが特徴です。
蛆は盛んに動き、損傷部分の壊死組織を食べています。
傷口から皮膚の下や筋肉の間に入り込み、開放していない皮膚の下で動いている様子が観察されることもあります。
猫自身は損傷部分を気にして舐めたりすることもありますが、損傷の程度によって全身状態は様々で、元気に動き回っている場合もあれば食欲や元気が低下している症例もいます。
屋外で保護した猫や寝たきりの猫などに蛆がついている様子があった場合は、すぐに病院へ連れて行きましょう。
猫のハエウジ症の原因とは
損傷部にハエが卵を産み付けることによって起こります。
ハエウジ症は、傷口などにハエが卵を産み付け、孵化した蛆が損傷部に浸潤している体液や組織を餌にして成長することで起こります。
一般的にはケガをした野良猫で夏季によく見られますが、室内であっても寝たきりで褥瘡ができている場合や、屋外によく出る猫がケガをしたことに気づくのが遅れると発生することがあります。
また傷口以外で、目や口、外陰部、肛門などの皮膚と粘膜の移行部分に寄生が起こる場合もあります。
猫のハエウジ症の好発品種について
好発する品種はありません。
特にありません。
猫のハエウジ症の予防方法について
ケガをした場合に不衛生にならないようにすることで予防できます。
ハエウジ症は傷口が不衛生になると起こりやすくなります。
傷口から浸み出した血液や体液で周囲の被毛がベトベトに汚れていたり、化膿して臭いを放った状態になっているとハエもつきやすくなります。
ケガをした場合にはできれば一度病院で診てもらい、周囲の毛をキレイに刈る、感染がある場合には抗生物質の内服や外用薬で治療する、必要に応じて包帯などで保護するなどといった適切なケアを行いましょう。
猫のハエウジ症の治療方法について
蛆をすべて除去します。
ハエウジ症の治療の第一歩は、患部に寄生している蛆を手やピンセットなどですべて除去することです。
蛆は明るいところを嫌がる傾向があり、除去しようとすると皮膚の中に逃げ込もうとするため、手早く除去することが必要です。
蛆は生命力が強く、また非常に速く動いて移動するため、除去した蛆は熱湯などを入れた容器に入れて確実に死滅させます。
損傷部分の治療を行います。
蛆を除去した後は、周囲の毛を広く刈り傷口をキレイに洗浄します。
ハエウジ症を起こすような傷口では皮膚が欠損したり大きく開放していることが多く、そのような場合はガーゼを当てて包帯やテープを巻き、傷口を保護することが必要になります。
また、感染を起こしている場合には抗生物質の内服薬や外用薬を使用します。