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Youtube 病気辞典
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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の気管内異物とは

気管の中に小さな異物が侵入してしまった状態です。

稀ですが、猫は気管内に誤って異物を吸引してしまい、激しい呼吸器症状を示すことがあります。

発症は急性で、吸引した異物の大きさによっては呼吸困難や気道閉塞による窒息も起こることがあるため気を付けたい病態ですが、偶発的に起こる病態であるため予防は難しいのが実際です。

発症時には迅速に異物を取り除くことが必要で、咳込んでいる間に自力で排出できる場合もあれば徐々に状態が悪化してしまうこともあるため、呼吸がおかしい場合には様子を見ずにできるだけ早く病院へ連れて行きましょう。

猫の気管内異物の症状とは

急性に呼吸器症状が現れます。

気管内に異物が侵入した時点から発症するため、症状は急性に現れます。
認められる症状には以下のようなものがあります。

・持続的な咳
・大量に涎を垂らす
・チアノーゼ(舌が青くなる)
・開口呼吸
・努力性呼吸
・呼吸困難

チアノーゼがみられるケースは、呼吸による体への酸素供給が不十分となっている状態で、酸素吸入などの緊急治療が必要な状態です。
いずれの場合も呼吸器症状は命に関わることがありますので、急いで病院へ連れて行きましょう。

猫の気管内異物の原因とは

小さな異物が気管に侵入したことが原因です。

気管内異物の原因となる物質は様々なものがあります。

代表的なものとしては植物のノギや種、小石、プラスチック片、時には抜けた歯などが気管内に誤って吸引され、部分的に閉塞することで呼吸困難を起こします。

より小さな異物の場合は呼吸困難には至りませんが、気管粘膜に張り付いて常に刺激を与えるため、慢性的な咳の原因となり、気管の奥の気管支内に入り込んだ場合には局所的に肺炎を起こすこともあります。

これらはレントゲン検査で診断がつくこともありますが、小さな植物片などはレントゲンで診断することは難しく、麻酔をかけて気管内に内視鏡を入れて初めて診断がつくこともあります。

猫の気管内異物の好発品種について

好発する品種はありません。

どんな猫にでも起こりうるため、好発品種は特にありません。

猫の気管内異物の予防方法について

完全に予防できる方法はありません。

外に出る猫は草むらなどに入るため、発症する機会が室内猫よりは多い可能性がありますが、室内であっても羽毛布団から出た羽の一部や埃、小部品などあらゆるものが原因となりうるため、完全に予防できる方法はありません。

室内飼育を心掛け、できるだけ生活環境を掃除してきれいに整え、猫に触れられたくない小さなものは片づけておくようにすることなどが予防策の一つになるかもしれません。

猫の気管内異物の治療方法について

気管鏡で気管内の異物を除去します。

気管内に異物が確認できている場合や、状況的に気管内に異物がある可能性が疑われる場合には、気管鏡という細い内視鏡を気管に入れて気管内を確認し、異物が確認できた場合には鉗子で掴んで除去します。

異物が除去できた後は、二次的に起こった気管や肺の感染や炎症を投薬治療で治療します。

外科手術が必要なケースもまれにあります。

気管鏡で異物が確認されているのに除去できなかった場合は、気管を切開して異物を取り出す手術が必要になることもあります。

さらに、異物が気管支の奥に存在し気管鏡での除去ができず症状が重篤な場合や、肺に重度の炎症が起こっている場合には、肺の一部を切除しなくてはならないケースもあります。

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