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執筆獣医師:齋藤厚子先生
[記事公開日]  [最終更新日]
[ 目次 ]

猫の水晶体脱臼とは

水晶体が脱臼し眼内に炎症が起こります。

眼の中にはカメラでいうレンズの役割をする「水晶体」という透明な組織がありますが、眼の炎症や眼圧の異常などがあると、本来の位置から外れて前方あるいは後方に脱臼してしまうことがあります。

水晶体脱臼が起こると眼球内に炎症が起こり、眼の痛みや角膜障害、眼圧の上昇などがみられます。
特に前方に脱臼した場合は症状が強く、治療には外科手術が必要になります。

猫の水晶体脱臼の症状とは

水晶体前方脱臼は症状が強く現れます。

眼の前側に脱臼した水晶体が落ちた場合(水晶体前方脱臼)は、眼を見ると水晶体がずれて落ちているのがわかります。
前眼房内は狭く、脱臼した水晶体が角膜内皮に接触していると、強い眼疼痛、角膜浮腫や炎症、緑内障などを起こし、角膜が白く濁る、瞳の色が変わる、虹彩が小刻みに震える、眼が充血する、などの症状がでます。
また、強い疼痛によって食欲不振や元気消失などを示し、眼をしょぼしょぼさせるようになります。

水晶体後方脱臼は症状が比較的軽度です。

水晶体が後ろに落ちた場合(水晶体後方脱臼)、眼を見ると瞳孔の奥にずれて落ちた水晶体の一部が見えることがあります。
前方脱臼に比べると症状が軽いことが多いですが、中には眼内出血、眼圧上昇(緑内障)、網膜や視神経に炎症を起こすことによる網膜剥離を起こすことがあります。
緑内障が起こっている場合は、眼の充血や角膜の浮腫(眼の表面が白く濁る)、食欲不振、元気消失などが起こります。

猫の水晶体脱臼の原因とは

先天性および他の眼疾患に伴って起こります。

水晶体はチン小帯という線維状の組織で毛様体に固定されています。
このチン小帯が部分的に断裂して少し水晶体がずれている場合は水晶体亜脱臼、全周断裂して水晶体が完全に可動する状態になっている場合を水晶体脱臼といいます。

チン小帯が断裂する原因には以下のようなものがあります。
・先天性の異常
・慢性的な炎症疾患(ブドウ膜炎など)
・緑内障
・眼の外傷による炎症
・眼内腫瘍

先天的にチン小帯に形成不全がある、または水晶体が小さい(小水晶体症)場合は、チン小帯の断裂が起こりやすくなります。
発症時に片目であっても、将来的に反対の眼も水晶体脱臼が起こる可能性が高く、注意が必要です。

その他には、ブドウ膜炎、緑内障、眼の外傷、眼内腫瘍などがあると、チン小帯に異常な圧がかかり、水晶体脱臼が起こりやすくなってしまいます。

猫の水晶体脱臼の好発品種について

好発する品種はありません。

特にありません。

猫の水晶体脱臼の予防方法について

眼疾患を適切に治療することが予防になります。

脱臼を起こしうる眼の病気を適切に治療・管理することで、二次的な脱臼を予防できます。

猫の水晶体脱臼の治療方法について

保存療法で経過観察する場合もあります。

水晶体の亜脱臼や後方脱臼で、眼圧の上昇がない場合は、縮瞳剤(瞳孔を小さくする目薬)を点眼して水晶体が前方に出てこないように予防しながら、経過を観察します。
経過観察中は激しい運動は避け、安静に過ごすようにしましょう。

水晶体摘出術を行います。

水晶体が前方に脱臼している場合や眼圧が上昇している場合は、痛みが強く、網膜剥離などを起こす場合もあるため、脱臼した水晶体を外科的に摘出します。

原因疾患の治療が同時に必要です。

併せて、脱臼の原因となった原疾患に対する治療も必要です。

ブドウ膜炎などでは点眼薬や内服薬で消炎剤を投与し、緑内障では眼圧をコントロールする点眼薬を継続して使用します。

眼内腫瘍が原因の場合には、眼球摘出などを検討しなくてはなりません。

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